現状[終章]:森林騒乱④でした!
ようやくここまでこれました!!
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“「進化の系譜」最終適応パーセンテージ「99%」に到達。開放条件1/3を確認。開放条件を認識・・・個体名「オークキング」を打ち倒して下さい。”
ナビちゃんの言っていることはなんだかよくわからない事が多い。
それでも唯一つ分かる事。それは目の前の豚をぶっ倒せってことだろう。
妙に体が軽く感じられ、力が漲ってくる感覚。
目の前の化物にも負ける気がしない程の力の奔流が俺の体を巡っている。
唯一つ、毎度言っていることだが俺はスライムである。
絶対に勝てる自信があるとしても、俺はあの最弱種、経験値稼ぎ第一位のクソ雑魚モンスターなのだ。
だけど・・・今はそんな弱気になんてなってられない。
俺を応援してくれるエルフっ娘や女騎士、大切な者を失った俺の配下達。
後ろにいる仲間達を守るためにも、俺は一歩たりとて退く事は出来ない。
オークキングは二刀のマチェットを構え、こちらに斬り掛かる。
巨大なダンプが迫って来る様な錯覚を感じながら、空中で弄ばせていた触手をオークキングに向かわせる。暴れ狂う暴風の様に地面を削りながらオークキングに迫る触手にマチェットを振り下ろす。
キィィィィィィン
体に変化が起きる前は、豆腐を切る様に触手を軽々と斬り裂いていたマチェットが硬質な音を立てて弾かれる。
野生の勘であろうか、オークキングはマチェットが触れた瞬間に横に飛び、荒れ狂う触手からなんとか避けきる。
マチェットを手放さなかったオークキングだが、手を見やれば軽く震えているのが分かる。触手と接触した際に生じた衝撃がオークキングを襲っているのだろう。
マチェットにはヒビ一つ入っていないが、その表情からどれだけの衝撃がオークキングを襲ったのかが伺い知れる。
その顔を驚愕に歪めながら、こちらを見つめる視線からは殺気と怒気がありったけ含まれている。
マチェットを握る手に力を込め、耳障りな奇声を発して、再度こちらへと突撃を施行する。
それに先程と同じように触手を合わせるが、やはりオークの上位種。そこは学んだようで力で合わせるようなことはせず、マチェットの腹を利用して後ろに受け流し、こちらへと徐々に距離を詰めてくる。
そのマチェットの使いこなしは魔物とは到底思えない程卓越したもので、数々の触手を流し、とうとう目の前まで迫る。
オークキングの巨腕でもって振り下ろされたマチェットは俺を捉えたと言わんばかりに、空中に残像を残し地面に叩きつけられる。
地面は砕け散り、周囲に破砕音が響き渡る。
エルフっ娘ミリエラは目を両手で覆い、女騎士サテラは目を見開き何かを叫ぶ。
ハルウ達も目を見開き尻尾をピンッと上に立てる。
いつの間にか戦闘が終わったのであろう、コクヨウ達とショウゲツ達、そしてエルフ族の人達が俺とオークキングとの戦闘の行く末を見守っていた。
以前の様相を残すことなく大きく抉られた地表が、跡形も残っていない俺の姿を晒し出す。
マチェットが振り下ろされた場所から3mは亀裂が走り、そこからは土煙が濛々と立ち込める。
その煙は大地を覆い、俺の存在など何処にも無いのだと証明する。
「嘘・・・」
「リー・・・ダー・・・」
「そんな・・・まさか」
BUUUUUUUUUUUUUROOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!
オークキングは勝った証にと、勝鬨の雄叫びを上げる。
その咆哮は森の生物全てを震え上がらせる音の暴力となり、俺とオークキングとの戦闘を見ていた者に襲い掛かる。
その血走らせた瞳はやがて、一人のエルフを捉える。その視線で見つめられてしまえば、力量差のある者なら恐怖のあまり身動きがとれなくなってしまう、
「・・・・・・!!」
声にならない悲鳴を上げ、その場に脚を折り逃走が不可能となってしまう。
金色の髪を風に揺らすミリエラの下に、双眸を光らせ二本のマチェットを携えたオークキングがもはや急ぐ意味なしとゆっくりと迫る。
その圧倒的なまでの格から誰もが身動きがとれない中・・・動けるのは。
まぁ俺だわな。
「その娘に手は出させねぇよ。 『精霊顕現』、ディーレ!!」
空中にいた俺の体からディーレが躍り出る。
小さな精霊の姿から、あの日見た美の権化の精霊へと変わり、その手には膨大な量の魔力が集められる。
「『水霊怒る暴風の宴!!!』」
ディーレの掌に集められた膨大な魔力は一点へと収束する。
やがてそれは膨大な水の奔流へと変化を遂げ、行き場を失い圧縮された水は今にも全てを喰らい尽くさんとディーレの手の中を暴れまわる。
俺の意思がリンクしたディーレさんにイメージを送り込む。
掌はオークキングへと突き出され、放たれるのは膨大な量の水刃によって生み出された竜巻。
地面に到達したそれはありとあらゆる物を切り刻み、跡形も残さずに細切れにする。
荒れ狂う暴力はオークキングに迫り、その愚かな性欲豚を無に帰さんと圧倒的な暴力は更に勢いを増していく。
最近気付いたのだが、上位の精霊と契約を行い、魔法を行使した場合には既存の魔法に囚われない全く新しい魔法を創造できる。
下級、中級の精霊達が用いる魔法は精霊魔法でない「魔法」を精霊達が放つことによって「精霊魔法」へと変わる。
つまり「最上級の精霊」と「誓約」を交わしている俺は、水系統の魔法であるならば魔力・精霊力がもつ限りはどんなことだって再現可能になっている。普通の魔法はもうお払い箱ってわけだ。
さすがのオークキングも堪らないと竜巻から逃げ出そうとしているが・・・それも織り込み済みで既に対策は打ってある。
オークキングは竜巻から少しでも離れようと、足を動かそうとするが・・・動かない。それどころか、体が竜巻へと吸い寄せられていく。
オークキングは驚愕に目を見開き、奇声を発しながら必死に逃れようともがき続けているが無駄な足掻きである。
俺がディーレさんにイメージしたのは二つ。竜巻と渦潮を掛け合わせた精霊魔法を作ってみた。
地上で渦潮というのも変なものだが、ディーレさんができるというのでやってみたけど、効果は上々でオークキングは竜巻へと徐々に引き込まれていく。引き込まれていくほどその強さは高まり、最後には細切れになって終わるのみだ。
オークキングは最後の足掻きとマチェットをこちらに投擲する。だが、それさえも軌道は逸れ、竜巻へ吸い込まれ触れた直後に粉微塵と化す。
竜巻とオークキングとの彼我の距離は大凡10mを切った。
涎を撒き散らしながらも尚耐え偲んでいるオークキングへと、死鎌を発動させた触手が迫る。
踏ん張ることしかできず迎撃もできないオークキングに襲い掛かった触手は、頭、心臓、足へと突き刺さる。
体中を駆け巡る激痛に咆哮と見紛う悲鳴を上げ、身を貫かれたほんの一瞬体から力を抜いてしまったオークキングは宙に浮く。そうなってしまうともう抗えない、その巨体は竜巻の周辺をグルグルと舞いながら中心に引き込まれていく。
そして、オークキングはついに竜巻と接触する。無駄に防御力が高いせいで、接触した部分は細切れにならず、ズタズタに切り裂かれるに留まる。
一瞬で死ねれば、苦しみも痛みも感じずに安らかに死ねるであろうが、オークキングのステータスはそうはさせじと生かし続ける。肉体が再生しようとする度に体中に想像を絶する激痛が走っているのであろう、無様な悲鳴を上げながらジタバタと手足を動かしている。
最初にマチェットを振りかざし、余裕の表情を見せていたオークの長とは思えない程に、その姿は滑稽であり無様であった。
徐々に体を切り刻まれ、オークキングのHPも残り僅かとなる。怒気を孕んだ視線をこちらに投げ掛けるオークキングだが、そんなもの痛くも痒くもない。
俺の大切な配下を殺し、剰えエルフにも手を出そうとしたこのクサレオークを断じて許すつもりはない。
地獄に落ちて一生詫びていろ。
視界からオークキングのHPバーが消滅する。そういえば、もう悲鳴も聞こえてこない。
漸くオークキングも絶命したらしい、その身は竜巻に全て飲み込まれ、強力な再生能力があったとしても流石に追いつかなかったようだ。
「ふぅ・・・疲れた」
「ふふふ。お疲れ様」
あぁ・・・オークキングで胸焼けしていた俺に、美人姿のディーレさんの笑顔は心に来るものがある。
これを見れただけでも頑張った甲斐があるってものだ。
「もっと笑ってディーレさん。俺に癒しを・・・」
「やっぱり変なスライムさんね」
やがて竜巻は小さくなり、まるで何事もなかったように消える。しかし、その竜巻が残した爪痕だけは大地にまざまざと残されている。
俺とオークキングとの戦闘を惚けた様に見ていたエルフ達は、何があったのかを理解しきれておらず、唯呆然と俺とディーレさんの交互を見つめている。
「勝鬨だ!!!」
「「「「「オオオオオオオォォォォォォォ!!!!!!!」」」」」
コボルドとゴブリンからは大地に響き渡るような勝鬨を上げ、両者関係なくオークの打倒に歓喜し、涙し、包容し合っている。
そりゃぁ当然だろう。自分達の領地を追い出され、たくさんの同胞達が蹂躙されたのだから。悔しさとやるせなさが彼らを支配していたであろう。どう足掻いても勝ち目のないこの戦争に・・・彼らは涙を飲んだろう。
そして、死んでいった者達の仇討ちとして全滅必至の戦争を行うことにした彼らの前に俺が現れ、このとおり。
ゴブリン達は一匹たりとて死んでいないが、俺を慕うコボルド達は少数だが死んでしまった。しかし、今回の戦闘ではおそらく一匹たりとて死んでいないだろう。
負ける筈の戦争に勝ったのだから、この喜びようは普通のと言えるのだろう。
エルフ達はこの現状に流石に動揺を隠せないようであるけど、まぁ仕方ない。
俺がエルフの立場なら、オロオロして隊長あたりにしがみついているだろう。
そうこうしていると、ショウゲツ達とコクヨウ達がこちらへと向かってくる。
抜き身だった剣は今は鞘に戻され、物々しい雰囲気は感じないけれど・・・その瞳にはなんだか不安そうな色が見える。気のせいかな?
「オークジェネラル・・・いえ、オークキングの討伐お見事で御座いました」
「流石・・・アタイ達の主君・・・」
「その手腕、是非とも見習いたいものですな」
彼らは何かに焦っているように、口々に俺を称賛している。配下の表情だけで機微をわかるようになっているのは嬉しいことなんだけど・・・なんだこの違和感。
俺の顔をチラチラ見ながら、眉を下げて目が少し潤んでいる。
「えっと・・・皆どうしたんだ? いつもとなんか違うぞ?」
「け、決してその様なことは・・・」
そう言って全員が俯いてしまう。
まずいぞ・・・俺は何かやらかしてしまったのか? 身に覚えはないんだけどなぁ。
そうこうしていると、遂にキクが涙を流し始めてしまった。
うえぇ、何でだ!? やっぱりなんかしてしまっていたらしい。
オークキングばかりに気をとられて、配下達への何らかの配慮が足りていなかったのか?
いや、で俺はなにもして・・・いないことがダメだったのか?
コクヨウ達もゴブリン達も今にも泣き出してしまいそうな・・・一体全体何がどうなってるんだ? ど・う・し・て・こ・う・な・っ・た!
「しゅ、じゅくん。アタイだちを"ずでないでぇぇぇっ!!!」
・・・・・・・・・・・・え?
うわーんと泣きじゃくりながら、抱き付いてくるキクには物凄い破壊力がある。なんだこの一生可愛がってあげたくなる生物は・・・じゃなくて、なんで?
あれ、俺が皆を捨てるなんて有り得ないぞ。
終いにはゴブリン達も抱きついてきたぞ。向こうの方では背中を向けたコクヨウ以下二匹、内一匹のルリヒックヒックと声を抑えきれていない。
「主人様、俺達これからも頑張ります! 言うことだってなんでも聞きます!! だ、だから・・・だから俺達を捨てないでください!」
「主君に、は我々の様なも、者は要らないとは・・・存じ上げます」
「だけど、私達にはヒック、主君がひ、必要ヒック、なのです」
ショウゲツにコクヨウ、ルリも何を言い出すんだ!?
ディーレさん何なのこれ? どうしてなのこれ?
『私にもよくわからないわ。ただ、さっきの私とあなたで造った魔法。あれがあれば、コクヨウさん達やショウゲツさん達はいらなかったでしょう。あなたの強さを改めて実感して居場所がなくなってしまうと感じたんじゃないかしら?』
「えぇと、つまりだ。俺がこいつらは今回の戦いで役に立ってなくて、弱いから切り捨てるんじゃないかと思っていると?」
『確証は持てないけど、多分そうじゃないかしら?』
そうだったのか・・・俺をこんなにも信じて付いて来てくれるこいつらを見捨てるなんて万に一つもない。可能性は99%じゃない100%有り得ないぞ。
俺みたいなくだらない唯のオタク野郎に、涙してまで忠義を誓う配下達をどうして見捨てることなどできようか。
「はぁ、俺がお前達を捨てたりするわけないじゃないか」
「主君」
「お前達は俺を忠義を示して、ここまで付いてきてくれたんだ。一人で寂しかった俺の下にハルウ達が来てくれた。そしてお前達と出会った。初めて会った時は良い出会いじゃなかったとは思うけど、お前達は俺を信じて配下になってくれたじゃないか。ここまでハルウの背に揺られながら向かう途中にも、回りの魔物が俺のところに来ないようにしてくれていたのも知っている」
「ご主人」
「そんな可愛い配下をどうして見捨てる事なんて出来るんだ?」
そう言いきった途端、全配下が俺の下へと雪崩れ込む。
「うわーーーん。主君!主君!!主君!!!」
「ご主人様ぁぁぁぁ!!!」
やばい。圧壊する。まぁスライムなんで、変形するだけだけども。
どうも俺の配下達は変なところで凝り固まった考え方をするようだ。俺が魔物らしくないだけで、普通は切り捨ててもおかしくない事だったのか。
そこんところをよくわかってもらわなくてはいけないな。
配下の群がりからなんとか脱出すると、ハルウ達が俺を出迎えていた。
尻尾を振りながら舌を出している姿は、まさに「犬」。「狼?」違います、「犬」です。
で、ハルウ達が来ているって事は当然・・・。
「「・・・」」
まぁ、ナーヴィも来ている訳で、その上で揺られているミリエラとサテラがいるんだよな。目をまん丸に見開いてこちらを見つめている巨乳エルフ。切れ長の目をこちらに向け、腰に下げた剣に手をかけている女騎士・・・魔物だしやっぱりまだ警戒されているのだろうね。
ここは俺が話しかけたほうがいいのかな?
「・・・はひめますぃて」
やっちまったぁぁぁぁ!!!
完全に噛んでしまった。そりゃそうだ! 俺みたいな凡人街道まっしぐらだった奴がこんな容姿端麗、才色兼備なお嬢さん方に普通に話しかける事なんて出来るはずがなかろうに。
ほら、キョトンってしてる。恥ずかしい、非常に恥ずかしい。前世ではコミュ障ではなかったはずなんだけど、女の子となんて話すことなかったし、あったとしてもキョドって・・・ねぇし。
頭の中がはち切れそうになっている所に、綺麗な音が流れ始める。
オークが流したおびただしい量の血に濡れた凄惨な大地には似つかわしくない程透き通った音色。
それが、ミリエラの膝の上に乗せられたオカリナのような楽器から発せられていた。
自然とその音色に身を委ねて、目を閉じる。
あの時に聴いた曲で間違いなさそうだ。前世ではガチャガチャした曲しか聴いてなかったけれど、こういう民族楽器?っぽい物の音色も中々いいな。
その曲が数分の間だけ、この戦場跡を支配する。
精霊が俺の周りに集い、踊り始める。
うーん、折角いい雰囲気なのにオークが邪魔だな。
ディーレの魔法で死体を遠くへ押し流す。
配下の皆もその曲に聴き入っているようで、ミリエラの方をじっとみつめて、その音色に体をゆらゆらと揺らしている。
こういう価値観は人間とかと一緒なのか? コボルドやゴブリン達はどこか物騒な一面があるんだけど、内面はやっぱり人間よりに感じる。なのに何故ここまでほかの種族とは仲が悪いのか・・・まぁ前世でも肌の違いや宗教の違いやらで争ったりしてたし、そんなところなんだろう。
サテラは楽器を持っていないようで、前に聴いた曲とはまた違った印象を与える曲になっている。
どこか寂しげで、どこか悲しげなそんな曲でありながらも、薄暗い気持ちにはさせない曲だ。
そしてその曲がフィナーレを迎える。
場はシーンと静まり返り、少女達は緊張したように顔を強ばらせこちらを見ている。
これは・・・あれだな。
パチパチパチパチ。
俺が手を(触手)を打ち合わせ、拍手を始める。
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ
それに続いて配下の連中も惜しみない拍手をエルフに捧げる。
ゴブリン達は結構乗り気だったようで手が痛くないのか?と問いかけたくなるような音が出ている。
逆にコボルドはバツが悪そうな顔をしながらもしっかりと拍手を贈っている。
「え・・・と・・・あ、ありがとうございました!!」
ミリエラは顔をパッと綻ばせ、頭をさげてお礼を言っている。逆に感謝したいのはこっちなんだけどな。
そうすると、ミリエラは顔を上げて俺の方をまた見つめてくる。だけど、さっきまでとは違って緊張はなく決意に満ちた顔をしていた。
「あの時に会った・・・スライムさんですよね?」
「・・・・・・はい」
「私達をここまで案内してくれるよう、このウルフさんに頼んだのはスライムさんですか?」
「・・・はい」
「私達を助けに来てくれたのですか?」
「はい」
ミリエラ・・・さんの質問攻めに若干戸惑いながらも、「はい」とだけは答えることができた。
彼女の瞳に見つめられると嘘は言ってないのに、心臓がバクバクしてしまう。
「そう・・・ですか。貴方達は私達に危害を加えたり・・・はしませんか?」
「しない」
自分のコミュ二ケーション能力が恨めしい。ここは・・・スイッチを入れる必要があるのかな。あ・・・ダメだ。入れても効果ないや。
だけどこのままだと話が一向に進まないような気がするぞ。ここはひとつ・・・えぇいままよ!!
「お、俺達はエルフの皆さんに危害を加えたりはしない。ここまで助けに来たのは先日のお礼で・・・す。こいつらは・・・あぁ、ゴブリンとコボルド、ウルフ達は俺の配下なので言う事はちゃんと聞きますので怖くないです」
よっし言い切ったぞ!!
ここは勢いでもう一発!!
「そ・・・れで、私達は貴方達エルフ族の皆様・・・人族の方々と話がしたいのですが・・・」
ミリエラの後ろに座っていたサテラは有り得ないと言わんばかりに目を見開く。
「・・・信じ難いんだけど、やっぱり私達と意思疎通ができるのね」
ボソっと呟いたその一言はしっかりとキャッチしている。まぁそうだわな。明らかに人間じゃない粘液が人間の言葉を喋っているんだからびっくりするのも当然だ。
「スライムちゃん」
「はい・・・んぇ?ちゃん?」
「私達を助けてくれてありがとう」
あぁ、可愛い。エルフっ娘の眩しい笑顔に俺のハートは一撃で割られましたよ。
苦節数日・・・エルフに会えたこの日を俺は二度と忘れないぞ。ここまで来るのに何度死にかけた事か・・・あぁ俺今なら死んでもいいわ。
すると、ナーヴィの後方からき・・・筋肉と老年のエルフがこちらへ向かって歩みを進めているのが見えた。
その二人はやがて、こちらのすぐ近くへと辿り付くと・・・膝をついてこちらに頭を下げた。
「この度は我々を窮地からお救い下さり感謝致します」
「あ、いえいえ。俺達もあいつらには煮え湯を飲まされましたから。到着が遅れてしまって申し訳ない・・・」
「そ、そのようなことはございません!! 我々エルフ一同主様には感謝しております!! 同士の命をお救い下さった神様なのですから」
「・・・へ?」
「言わずともわかっているのです。貴方様の名前は・・・そのような姿をなされているのも何かの理由がございますのでしょう」
「いや、ちょっとまって・・・え?」
「水を手足のように自在に操り、オークを圧倒するその力。この森を凡ゆる精霊達を従えるその様・・・貴方はこの森を生み出した精霊神『ユガ』様なのでしょう」
「ファッ!?」
え、ちょっと待って、話が飛躍し過ぎてついていけないんですけど・・・。
「流石はユガ様って奴だ。長いこと生きてきたがこれほどの存在感を俺は見たことがねぇ!!」
「先代エルフ様は貴方様をみつけ、この森とあの結界を作ってくださるように頼まれた。どのような経緯があって我々に恩恵をもたらしてくださったのかは存じません。貴方様の満足するような物といえば、我々が先代より培ってきた曲くらいのものです。虫のいい話なのはわかっているのですがどうか・・・どうか今一度我々に恩恵をおさずけくださいませぬか?」
どうなってるんだ? どうしてこうなったんだ? 俺がこの森の創造主「ユガ」?
そんなわけない。見てくれこの形を、どこからどう見てもスライムだぞ。確かに水の魔法は使えるけど、それはディーレさんがいるおかげであって、俺の力じゃないし。ってどっちかっていうとディーレさんがユガじゃないのかよ!!
『一応「ユガ」って精霊には会ったことがあるけれど、寿命で土に返ってしまったわ。この森を一人で作り上げることができる大精霊だったわね』
で、俺がその「ユガ」に間違えられていると・・・冗談じゃない!
「我々エルフに捧げられるものであるならば、貴方様に捧げる所存にございます故、どうか・・・」
「あ! えっと!? 俺はそんなたいそれたもんじゃな」
“「進化の系譜」最終適応パーセンテージ「100%」に到達。開放条件4/3を確認。開放条件を認識・・・個体名「オークキング」打倒、レベル上限に到達、ユガの森の掌握、特殊開放条件「エルフの誓」以上四つを習得。”
突如、頭の中にナビちゃんの声が響き渡る。
ちょっとまって今それどころじゃないんだけd・・・
“存在発展を開始”
目の前が急に暗くなり、強烈な眠気が自分の体を蝕む。
・・・てかまた存在発展かよ!? くそぉう。意識が朦朧としてきた。
“存在発展先を認識・・・失敗”
え? 存在発展失敗? ・・・到頭来るところまで来ちゃったわけですかね。「成長限界」・・・
い、嫌だ!! スライムのままでなんて終われるわけがない!!
折角エルフにも会えたのに、こんなのってないぞ!!
“進化・・・成功。”
“進化開始”
・・・え?
その瞬間、目の前にいたエルフ達の事も忘れ、俺の意識は完全に闇の中へと消えていった。
終章です!!
次からは新章に突入します。新章はスライムちゃんを含めた仲間達と拠点がどんどんとすごいことに!?
次章乞うご期待!!
何か変なところ、見にくい、誤字だ!などがあればどしどし教えて頂けると嬉しいです。
(言い換えでこういうのがありますよなどが合ったら教えてください。例:取得→習得、思いやる→慮る、聞こえる→耳に届くなど)
感想や活動報告の方にコメント頂けると私の気力になり、筆が踊りますので気軽にどうぞ!!




