魔災:協力の条件でした!
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失った秘宝、失われた命・・・龍族達に一体何が起こったというのだろうか?
side ユガ
これからどうしようかと頭を抱え、客室に案内された俺とハイネさんは大きな溜息を吐き途方に暮れる。なるようにしかならないのだから仕方ないし、簡単に協力を取り付けるはずもないとは思っていたが、状況が思っていたよりも悪かった。
何とか龍皇と顔を合わせることができ、四面楚歌ながらも会話をすることに成功して、そんな場所で啖呵を切ったおかげで龍王の俺への印象は悪くないものになった。
しかし・・・結果は協力を取り付けることはできなかった。
いや、少し違うな。実は逆に『協力を申し出られた』というのが現状であり、条件次第では俺達に協力してやってもいいというものだった。多くの龍族達から反発の声が上がったが、龍皇の一声で黙らされ俺は現状龍族が置かれている状況を聞いた。
「先代の龍王が倒れ、尚且つ強力な力を持った数百近くの龍が一斉に死んだ・・・と。しかも、この龍の秘境を隠し、この場所を維持する龍族の秘宝『天鱗』が失われたと」
この場所は基本的には超大な魔力を保持する龍皇が維持しているが、それでも全ての大陸を維持することは難しく徐々にこの場所は下降しているらしい。
龍皇の魔力を浮遊に大きく割けば維持することは可能であるらしいが、そうすればここの防御が低くなり外敵からも発見されてしまう可能性が高くなる。龍族は強く、生半可な外敵に発見される程度であれば問題はないが、先にも言った通り強力な力を持った龍族が少なくなっている今、ここの護りは万全であるとは言い難い。
まぁ、それでも今まではこの場所を浮遊させることに力を割いていたそうで、『外敵など誇り高き龍族である我々にとって羽虫も同然』と言い張っていた。しかし、魔王ヴェズモンド率いる二体の魔王・・・特に龍族達にとっては巨人族の魔王『ウラノース』を脅威と感じているようで、それらがこの場所を探し出し攻撃を仕掛けようとしていると聞き、この場所の防御に力を割かずにはいられなくなった・・・で、現状この秘境は大地に向けて徐々に下降している。それにプラスして龍皇は維持や防御に力を費やしている分、本来の力を発揮できないという事態も発生しているわけだ。
で、この諸問題の元凶となる失った『天鱗』を見つけ出し、この龍の秘境を護れるようになったのならば・・・協力すると龍皇は申し出た。
俺達からすれば無条件に突っ撥ねられるよりかは幾分かマシだ。しかし・・・
「・・・結局、先代の龍王と多くの龍が死んで、大事な天鱗を失った原因は教えてくれなかったなぁ」
「えぇ。周りの龍族達の雰囲気から察しても恐らく知らされているのは、龍皇様の側近である上龍である彼らだけでしょうね。色々と噂は飛び交っているみたいだけど、どれ一つとっても確証がないわね」
そう。龍族達がなぜその状況におかれてしまったのか、絶大な力を保持している龍の王や多くの龍達が一斉に死んだ原因。それは頑なに語ろうとはせず、龍皇の周りにいた上位の龍達から発せられていた気からして触れてはならない話題だということが伺い取れた。恐らくではあるがあのオーグァも事情を知っている龍族の一人だろうな。
龍達のステータスは冗談抜きで最強クラスであり、中でも『エルダード』に足を踏み入れることを許された龍達はたった一体で人間の国を滅ぼす事のできるステータスを保持している。そして、そんな化物揃いの龍族達の頂点に君臨する今代の『龍皇』はそれを遥かに凌ぎ、魔王と同等かそれ以上の力を保有している。
因みに先代は『龍王』を名乗り、今代は『龍皇』と名乗っているが、先代を超える力を持つ事を周りに知らしめる為に『龍皇』名乗っているらしい。
そんな力を持った龍族達数百余りが死に絶え、剰え先代の龍王までが崩御した・・・あまりにも異常としか言いようがない。そしてそんな最中に失われた龍の秘境を維持する秘宝『天鱗』の消失。無関係とは考え辛いな。
龍族の事を何も知らない俺が考えていても原因を突き止める事はできようはずもないが、最強格の種族が一斉に死んだ事情・・・どうしても気になってしまう。
「で、天鱗の所在について検討はついてるんだったよな?」
「えぇ。天鱗の所在・・・というよりかは天鱗の代わりになりうる物ね。龍の墓場にある先先代の龍王の亡骸・・・その亡骸にたった一枚存在する逆鱗があれば代替する事は可能みたいね。それがあれば五百年は維持することができるらしいわ」
俺達はこれから龍の墓場へと戻り、先先代の龍王の亡骸にある『逆鱗』を持ってくる事が目的だ。無論俺達だけでなく他の龍族達も同行するらしいが・・・嫌な予感しかしないな。
逆鱗は天鱗程万能ではないが、一時的な代替品にはなりうるらしく、逆鱗があれば今後五百年は龍の秘境を維持することができるそうだ。
「因みに『天鱗』ってのはなんなんだ?」
「龍族の祖・・・初代龍王が残した自分の鱗だと言われていたわ。祖の力は常軌を逸し、摂理・法則を無視し、絶大なる力を持って万物を己の思うままに操っていたと言われていて、『龍神』と崇められているわ。そして代々龍王の位を授かった者は天鱗の加護を与えられ、龍神が保持していた『万滅』の力を授かるのよ」
おぉ・・・ここで『龍神』という新たなパワーワードが飛び出してきた。代々この場所を維持してきた天鱗は龍族の祖であり初代龍王である龍が残した遺物らしい。その力は『龍』と一重に呼べるものではなく、絶大な力で万物を操り法則を捻じ曲げる事ができる。まさに神の様な力を持っていた龍王らしい。そして、代々の龍王達はその龍神の力の一旦を受け継ぎ、この地を守ってきたそうだ。
そんな龍神の秘宝が無くなったとなればかなり大事なんだろうな。先先代の龍王の逆鱗では五百年しか維持できないのに比べて、天鱗は龍王が何代変わってもこの場所を維持し続けて居られるほどの力があるってことだよ? 龍神がいかに規格外の存在かわかったよ。
「そろそろ私達も出ましょう・・・ただ、龍族達の事は」
「何となくわかってるよ。俺やハイネに良い印象は持ってないんだよな?」
ハイネは静かに目を伏せ、俺から視線を外す。
俺に関しては龍族からよく思われないのは納得だ・・・龍族とは無関係の完全部外者だし、龍皇に対して膝を折らなかった不遜な魔王だしな。ギラッギラの敵意や殺意を剥き出しにされ、後ろから刺されてもおかしくはないと思っているが、実はハイネも俺と同様の状況に陥っている。
ハイネは『半龍族』であり、恐らく何かの血と龍の血が混ざった種族の様だが、龍族達の間では『半龍族』は禁忌の存在だとされているらしい。ハイネはその半龍族であり、他の龍族との違う点は簡単に言えばステータスが龍族の中でも最底クラス・・・というよりもほぼ人間と同様のステータスであり、極め付けは龍族の占有スキルである『龍化』が行えない。
つまり、ハイネは龍になることができず、龍族の中では半端者とされている。
龍皇との話し合いが終わり、ハイネの待機している部屋へ向かうと、その扉の前にいた衛兵の立場にいるであろう龍族二人がハイネに聞こえないように小さな声で罵詈雑言を口にしていた。
・・・内容は殆どが龍族の誇りがどうこうだったが、中には物騒な単語が紛れていた。
『半龍は判明次第排除していると聞いたが、なぜあの女は生きているのだ?』
どうやら龍にとって半龍族という存在はかなり厄介な立ち位置にいるようだ・・・まさか人間の街にやって来たのは。
「龍皇の御命令により、偉龍の墓場に出立する」
俺が考えに耽っていると無遠慮に扉が開け放たれる。そこにはオーグァではなく、あのデューガでもない偉丈夫の龍族が俺とハイネを睥睨していた。必要最低限の言葉を述べた後、俺とハイネを不躾にもう一度じっと見た後に侮蔑の表情を浮かべその場を後にした・・・扉閉めていけよ。
まぁ、何と言うか、隠れた場所でコソコソと嫌味を述べられたりされるのが個人的に一番嫌だが、こうも目の前で堂々とされるのも結構くるものがあるな。それと
「ディーレ」
『えぇ』
俺とディーレは互いに一度だけ視線と言葉を交わす。
ハイネさんは既に開け放たれたままの扉に向かっており、俺も急いでそれに続いていく。広く長い廊下をハイネに続いて進んでゆくと、ある十字路に差し掛かった直後、不意にハイネの歩みが止まる。何かあったのかと思ったがすぐさまハイネは歩き出し、ハイネが意識を向けていた通路の方に視線を向けてみたが、別段何の変哲もない通路だったが、よくよく見てみれば通路にある扉は俺達がいた場所よりも豪華だ。どうやら『上龍』と呼ばれる位の持ち主が居住を許された場所なんだろう。
そのまま白の外へと出ると、俺たちと同じく墓場に向かおうとしている数十人の龍族達が俺たちを出迎える。無論歓迎されたムードなどでは断じてない。
「ッ!?」
と再びハイネの歩みが止まる。しかし、先ほどまでとは明らかに様子が違い、何処か怯えているような・・・それでいて怒りを滲ませている様なそんな気配がハイネから流れてくる。
そこにいた龍族達は他の流賊たちとそこまで変わってはいないが、どうやら鎧の様なものを纏っており
、鎧の胸元には紅く光る何かの紋様が描かれている。ハイネはキョロキョロと辺りを見回し、なぜかホッとした様子でまた歩みを進め始めた。
俺とハイネはその竜族の集団の後ろにつくと、先頭にいた龍族が号令をかける。それと同時に全員が一斉に龍化を始め、その姿を『龍』へと変えていく。先頭の龍は何かを呟くと足元に巨大な魔法陣が出現し、魔力の柱が一度上空に浮かぶと、グニャリと歪みエルダードの外へと伸びて行き龍の墓場がある下へと向っていった。龍族達はそれを見届けると、ちらりとこちらを見て嘲笑を浮かべ翼をはためかせる。
・・・なるほど。オーグァのように俺達を乗せてくれないようだ。
「どうした。ハイネ、お前も龍となれ」
俺たちの前に並んでいた龍族がそう告げる。ハイネは悔しそうに歯噛みして上空に浮かぶ龍族達を睨み付ける。あぁ、人間と一緒だなぁ・・・陰湿な嫌がらせだ。
「あぁ、貴様は我らのように翼のない半端者だったなぁ」
ニヤリと嘲笑しながらそう告げると、周囲の龍族達はあろうことか飛べない俺達に対して苛々し始めた。うん・・・まぁ、スッと見渡したところ間違っても己の背に乗っていいといい出す龍族はいないだろうな。
「ハイネ、俺の背中に捕まれる?」
「は? え、あ?」
仕方ないと俺はほんの少し『溜めておいた』魔力を開放して翼を出す。龍族みたいにしっかりとした皮膜のあるかっこいいものではないが、ちゃんと飛べるしこれで許してね。
龍族達は俺のその姿に驚きを隠せない様子で驚愕の表情を浮かべている。俺はハイネが捕まったことを確認すると、その翼を動かして上空に浮かび上がる・・・あぁ、空飛べるってなんていい異世界ライフなんだ。
すると直後、俺の全身から何かが剥がれ落ちるような感覚に囚われる。どこまで陰湿なんだか・・・どうやら、この魔力の柱の結界が俺にだけ適用されなくなったようだ。このまま飛んでいけば、俺もハイネも暴風に吹き飛ばされることになる。
で、首謀者は・・・はぁ、あの戦闘の龍族か。
「ムー頼んだ」
俺はそう告げると、そのまま飛び上がり龍族達を無視して進むことにした。龍族達は俺についてきなgらニヤニヤとした表情を浮かべている・・・・・・が、全く暴風が俺を飲み込まない事にどんどんとその表情を崩していく。
それどころか俺の周りはちょうど良い清涼な風が吹いていて、逆に柱の魔力で防ぎきれなかった暴風が龍族達を襲う。龍族達が強風に若干煽られながら、俺とハイネはそれを尻目にグングンと距離を離し、一足先に竜の墓場へと到着する。
ほんの少し息を切らしながらやっと俺たちへと追いついた龍族は、まるで信じられないものを見るような目で俺とハイネへ交互に視線を向ける。
「や、やっぱり貴方無茶苦茶ね。龍皇様の暴風を完全に防御する結界を作り出せるなんて・・・」
「まぁ、ほとんど俺というかムーがやってくれたんだけどな」
龍族達は悔しそうな表情を滲ませながら、俺達を睨み付ける・・・が、突如その視線が俺達の背後へと向けられると龍族達はその場に跪き、ニヤリとした表情を浮かべる。
一体何が・・・そう思い、後ろを振り返ると。
「誇り高く、貴様の様な・・・いや、貴様らの様な物を近づけさせるなど、断じて許されない。お前達にはここで死んで貰おう」
そこにいたのは・・・燃え盛る紅蓮の髪に紅蓮の瞳、紅く光り輝く鱗が生えた男が立っていた。何処かハイネに似た雰囲気のあるその男の全身からは膨大な紅蓮の魔力が絶えず迸っており、その魔力からはこちらを殺すという明確な意識を伴って俺達へと吹き付けられる。
「やはり、あなたでしたか・・・・・・兄さん」
苦悶の表情を浮かべ、目の端に涙を浮かべたハイネはそう呟いた。
勇者コルネリウス日誌
1:本日は晴天である。しかし、自分の心は雨である。竜人三十人相手に組み手を続ける日々が続いている。僕はいつしか死ぬのではないだろうか?
2:今日もあの鬼にボコボコにされた・・・いつかボクの権力で跪かせ、あ何もないですごめんns
3:今日は竜人の代理魔王である魔族に見られながら稽古をした・・・なぜか顔が赤い気がするが、体調が悪いのだろうか? 「無理はするんじゃないぞ」と労いの言葉をかけたのだが、更に顔が赤くなってしまった。何故だ?
宜しければ、本文下にある評価の方是非ともお願い致します!
遠慮なくこの物語を評価して下さい!!
何か変なところ、見にくい、誤字だ!などがあればどしどし教えて頂けると嬉しいです。
(言い換えでこういうのがありますよなどが合ったら教えてください。例:取得→習得、思いやる→慮る、聞こえる→耳に届くなど)




