現状:エルフは西へでした!
文章力の無さが非戦闘パートに現れてますね・・・
次話投稿は一週間以内です
過ぎ去る景色を背に、ウルフさんに揺られながら私達は里へと向かう。
風の精霊がその速さに興奮しながら周りを飛び交い、風の恩恵が私達に降り注ぎ、更にウルフさんは加速する。
道中運悪く進路上にいた魔物は目的地へと走る片手間にその巨体と巨爪を持って踏み潰され、或いは弾き飛ばされる。
それを鬱陶しそうにしながらもウルフさんは速度を緩めることなどせず、エルフの里へと一直線に駆ける。
エルフの里周辺に貼られた人や魔物の侵入を退ける結界は、エルフ族を伴うことによって抜けることができる。
だけど最近は結界に所々綻びが出来ていて、魔物の侵入を許している。
「う、ウルフ・・・さん。大丈夫? 疲れて・・・ない?」
私の言葉は伝わらないとは思うけれど、ウルフさんに問いかけてみる。ウルフさんこちらを一瞥して顔を前へと向けてしまう。
やっぱり言葉は伝わらないのか、耳がピクッと一度だけ反応したけどすぐに別の方へと向いてしまう。
前のスライムちゃんと一緒でやっぱり言葉は伝わらないんだと思う。ジェスチャーでどうにか伝えないといけないみたい。
ウルフさんの腰辺りをワシャワシャと手で弄り、少しでも疲れが取れたらなーという建前の下毛の感触を楽しむ。
因みにサテラも隠れて首の辺りを撫でている。私には見えているんだよ。
子供達はウルフさんの出す速さに少し怖いみたいで、先頭の子が私の腰にしっかりとしがみついて、後に連なっている。
「結界を越えた・・・かな?」
「うん。今は結界の中ですね」
結界を通った時に感じる、身体を通り抜ける独特の清涼感を身に受けながら、里へと向かう。
里へはそう大して距離はないはずだけど、森は静けさに包まれている。精霊がおらず、木々が寂しげに葉を擦り合わせる音が響くばかりで、エルフがいるようには感じられない。
ウルフさんは、速度を落としてゆっくりと森の中を進む。
そうして暫く森の中を進んでいると、ある木の幹にエルフ文字で書かれたサインを見つけた。
その木の向こう側はエルフが住まう里だというサインで、「ユガ」と書かれている。
ウルフさんはそこで立ち止まり、私達に視線を向ける。
私はどうしたの?と首を傾げたけど、サテラは気づいていた。
「このウルフは一応魔物だし、エルフの里に入るのはまずいじゃないかと思っているんじゃない? 私達はこのウルフの事を知っているけれど、里の皆が見たら驚くと思うよ」
「あ!そっか。それじゃあ、私達だけで里の方に行ったほうがいいですね」
「里の人達に事情を伝えてから連れてきたほうがいいと思う」
私達はウルフさんから降りて、ウルフさんにここで待っていて欲しいと体で伝える。手を木の下に向けて視線を合わせると、初めは首を傾げていたウルフさんだったけど、子供達がどこからか拾ってきた木の枝で下にバツ印を描くと、なんとか伝わったようで鼻を一度鳴らしてその場所に伏せた。
私達は里の中へと足を踏み入れる。
背の高い多くの木々は森の生命であり、私達エルフを支える母なる大地。
遥か昔にエルフ族だけが住んでいた国があったと聞いたことがある。人魔大戦の折り、そこから逃げ出した先代のエルフは安住の地を探し求めここに辿り着いた。
先代のエルフ達の時代は、ここは名も無き森だったらしい。
ここに辿り着いたエルフ達は自分達の住む場所を確保するために、森の精霊と相まみえ精霊達との交流を約束し、その地を譲り受けたらしい。
その時に交渉した精霊の名前が「ユガ」だったそうで、ここは「ユガの森」と名前が付いた。
私達エルフにとって「ユガ」は神聖なものであって、特別な意味を秘めた言葉として用いられる。儀式や祭り、街の目印などに使われている。
そんなこんなで、蔦で編まれた階段がある木々が見えてくる。
里は静まり返っていて人の気配がない。もう出発してしまったのかな・・・。
自分の家に着くまでにあるほかの家からは全く人の気配はない。里の警備をしていたエルフの皆さんが常駐している家の前に掛けられたランプからも明かりが消えている。
精霊達もいなくなった里を歩いて数分、私の家に到着した。
家に入るとエルフ文字が書かれた紙が散らばっていて、長老とお祖父様が考えたであろう色々なものが書かれた紙が机の上に広げられている。
オークの進行方向・進行速度、安全な場所への避難経路、魔物の分布、里のエルフの戦力などが書かれている。
どうやらお祖父様達は南部の森に位置する西側へと逃げているみたい。
ユガの森西部へは向かわず、南部の西側に流れる大きな川へと向かっているみたい、西部の森に向かわなかったのは、最近魔物達の動きが不穏で、西部の安全が確保できないからだそう。
でもよかった。オークから逃げるために西側へ逃げているそうなので、追いつきさえすれば西部の森へすぐに移動できる。
ウルフさんの飼い主?が伝えた西部がどこかはわかりませんが、川を上に上っていけば西部には辿り着くのでひとまず大丈夫。
「エルフ文字は読めないんだけど・・・ミリエラのお祖父様はどこに行ったの?」
「ここから西にある川の方へ向かったようです。西部ではありませんが、大丈夫だと思います」
「そう、わかった。オーク達はまだここに来ていないみたいね。急いでエルフの皆さんに追いつかなきゃね」
後ろにいた子供達はここから離れた時よりかは不安を払拭できたみたいだけど、やっぱりまだ不安みたい・・・。
そうよね。お父様とお母様がいないんですもんね・・・。
部屋から出ると、外からウルフさんがこちらに走ってくるのが見える。
あそこで待つように言ったけど、やっぱり伝わらなかったかな。
するとサテラが顔を顰めて、ウルフさんの走ってきた方を見やる。
「ウォーーーーッ」
ウルフさんがこちらに向かって何度も吠える。なんだか様子がおかしいけれど、私には何を伝えたいのかわからない。
木の上にいる私達に視線を向けながら、その場をグルグルと回り始める。まるで私達を急かしているような・・・。
サテラは何かに気づいたように「急ごう」と私に言って、近くの階段を降りる。
ウルフさんはその場に直ぐに駆け寄り、早く乗れと言わんばかりに直ぐに伏せる。
サテラが先に乗って、それに続いて子供達と私が乗る。
ウルフさんは乗ったのを確認すると、直ぐに西側へと向かい始める。何も伝えていないのにわかっているみたい。
「何かあったのかな? なんだか急かしているみたいだったけど」
「・・・たぶんだけど、オークが近くまで来ているんだと思う。ウルフは警戒心が高くて気配に敏感だし、鼻もいいからオークが近づいているのを私たちに知らせていたんでしょう」
私は驚きに目を丸くして後ろを振り返る。
オークの姿は見えないけれど、ウルフさんの耳はピクピクと反応して尻尾もピンと立っている。
心なしかさっきよりも走るスピードが早くなっている気もするし、本当にオークが近くにいるんじゃないかと不安に駆られる。
「ミリエラ、あんまり無理しちゃダメだからね。さっきの怪我も完全に直ってはいないんでしょう?」
「うん、ありがとうサテラ」
実はオークにやられた怪我は治りきっていない。精霊魔法で痛みはだいぶ引いたけれど、まだ体が痺れた感覚が残っていて動きづらい。
まぁ、そこまで支障はないけれど気をつけないと危ない。
ウルフさんは後ろを気にしながらも、川へ向かって一心に走り続ける。
すると、少しむこうに川が見えてくる。
今だにエルフの皆の姿は見えないけれど、たぶん皆あそこに居るはずだと思う。
里にいた精霊達の姿が森の隙間からちらほらと伺えることからも、それを裏付けている。
ユガに流れる川は森の生命線であり、森に生息する生物達にとっても外せないもの。
ユガでは雨が少なく、森全体に純粋な水が行き渡りにくい。なのに何故こんなにも緑豊かで豊穣な大地なのか。
それは、大精霊「ユガ」が作り出した川が齎す恵みだと言われている。
少量の雨で必死に生きていた森が大戦の末滅びた。それに憂いた水の大精霊ユガは自らの力を川へと変え、森に命を吹き込んだと言われている。
ユガが創り出した川は森に留まらず、私達の様な亜人に、生物に、魔物に恵みと居場所を与えた。
だからユガの森周辺の「水」がある場所には多くの精霊と様々な生き物が住み着く。
私達エルフ族もユガの影響を多大に受けているおかげで、水の精霊との相性が特に優れている。
川の近くへとオークから逃れたのにはそれも一つの理由として挙げられる。オークとの戦闘に陥った場合、水の精霊が多く生息する川での戦闘を行うことで少しでもこちらの有利へと持ち込むことができる。
お祖父様達が残した書類にはそう書いてあった。
複雑な顔を浮かべながら、私はブンブンと頭を振るう。
嫌な想像が頭の中を駆け回る。まだオークが来ていないのは知っている。けれど、私が向かったところでどうにかなるのかな?この子だけでどうにかなるのかな?この子の主人がすごく強い人だとして、オークの群れに勝てるのかな?
皆の元へ向かう最中私の心中は不安で埋め尽くされている。
初めてウルフに敵意を向けられた時、私は足が竦んで碌に魔法に集中できないままやられそうになった。誰かが守ってくれなければ、すぐにでも死んでしまう私・・・。
他の皆よりも精霊に愛されているからといって、特に何かができる訳でもない。
オークに吹き飛ばされた時もそう。私は子供達を守ろうとしたけど何もできなかった。オークに吹き飛ばされて木に打ち付けられた。
子供達に振り下ろされるオークの暴虐をただ見守ることしかできなかった。ウルフさんが来てくれなければ、子供達も、私も、サテラも死んでいたかもしれない。
自分の不甲斐なさに体につい力が入り、ウルフさんの背中に生える毛をキュッと掴む。それにハッと気づいた私は掴んでしまった辺りを撫でる。
ウルフさんは一度こちらに振り返り、何事もなかったように川の方へと向き直り、立ち止まる。
そこは少し高い場所で、川の岸辺が見える位置。そこから見えたのは里のエルフの人達で、皆精霊達とのコンタクトを取っている。
戦闘能力の低いエルフを囲むように、武器を磨いているエルフはいつも里の周りに巡回に出ていた人達だった。
「ミリエラ見える?」
「えぇ、大丈夫です。お祖父様は・・・」
「えーと、あ! たぶんあれじゃない? 一番岸辺に近いところにご高齢の方々と一緒にいるよ」
お祖父様は長老の方々と何かを話し合っているようだけど、ここからじゃ微かに見える程度で皆の所へはまだ少し距離がある。
幸い今は休憩を取っているようで、すぐに出発する様子もない。これなら直ぐにでも追いつけそう。
「ウルフ・・・さんはここで待ってたほうがいいね」
「ウルフさんには悪いけれど、お願いしていい?」
このまま一緒に行ってもいいのだけれど、川は特に精霊が多く、精霊達から里の皆に伝わってしまう可能性がある。現にここに来るまでに精霊たちが驚いて隠れてしまう事があった。
そうなれば、恐らく皆はパニックになるだろうからウルフさんにはここで待っていてもらうことにした。
ウルフさんはわかったというように里で見せたようにその場で伏せの姿勢をとる。
「何かあったら、すぐに逃げなきゃダメなんですよ。私達を待たなくていいですからね」
「・・・このウルフはわかってるのかな?」
「たぶん・・・きっと心は通じてるはずですよ」
「そう・・・。国から離れただけでここまで違うのね」
「ん? 何か言った?」
「うぅん、なんでもない」
このウルフさんは何か通じるものがある気がする。あのスライムちゃんみたいになんとなくだけど分かり合えるような気がする。
見た目は怖いけど、本当にペットみたいだもの。
そういえばサテラが何か言っていたみたいだけれど、なんだったのかな?
それはともかく里の皆にウルフさんの事を伝えて、安全なのがわかったらこちらからミルトから音を出して、合図を送りこちらに来てもらうことにする。
早速私達はウルフさんから降りて、皆の下へと向かう。
相変わらずウルフさんは私たちに関心があるかないかわからない様な表情を浮かべながら、伏せの姿勢を維持している。
私達はゆっくりと、森の中へと歩みを進める。
皆とウルフさんが近くにいるからといって油断できないのがこの森。
結界から一歩出ればそこは生き抜くことが果てしなく困難な世界。それもここは生き物が集う川の近く。精霊や無害な動物だけではなく、不浄の魔物も川の恵みに惹かれてやって来る。
見通しの悪い森の中を歩く私達は彼らから見れば格好の獲物で、気づくのが遅れれば私達の命は無い。
「気を付けるんだよミリエラ。ここは結界に覆われた森じゃないんだからね」
「う、うん。わかってるよ」
里から出た時点でそれには気づいていた。気づいていたのだけれど、まだ甘えがあった。大丈夫、死ぬなんてことはない。サテラと私がいれば大丈夫だって・・・。
でも現実はそう甘くない。油断しているとまたオークに襲われかねない。
私は熟練の戦士じゃないし気配なんてわからないけれど、精霊達の協力があれば魔物の接近を事前に察知することくらいならできる。
そうして慎重に歩みを進めると森を抜け川辺へと出る。魔物との遭遇はなくて、精霊達の様子にも落ち着きがある。オークとの距離が遠いのか、それとも一時的に安堵しているだけなのかは私にはわからないけれど、少しの間は大丈夫だと思う。
里の皆は、ここより少し上流付近にある開けた場所にいるはず。
上流に向かって歩いていると精霊達の姿が多くなり、私達に気づいてついてくる。
「コッチダヨ。コッチニエルフガタクサンイルヨ」
「ハヤク。ハヤク! アイツラガクルマエニ!」
精霊達が私達を皆の下へ案内してくれる。川のせせらぎが耳に心地よく、私達を優しく包み込む。
川の水を手で掬い、乾いていた喉を潤す。抱えてきた緊張が少し解けていくのを感じる。
子供達も限界が近い。ウルフさんのお陰で少しは休めたんだろうけれど、子供達の体力ではやっぱり限界がある。
少し休憩を取ろうとしたけれどここで私達だけでいるよりは皆の下で休んだほうがいいとサテラが言った。
子供達の中でも一番年下の子は足に限界が来ていたようで、子鹿のようにフルフルと足が震えている。
出発の時間になるとその子をサテラが背負い、私は女の子を背負う。
正直私もかなり限界が迫っているけれど、お姉ちゃんとして子供たちの前で情けない姿を見せるわけにはいかない。
歩いて数分、漸く上流が見えてくる。遠くの方には何人かのエルフも見ることができて、あっちも私達に気づいたみたい。
いつも里の見回りをしていた三人のエルフが駆け寄ってくる。
「ミリティエ様!? それにサテリフィト様まで・・・どうしてここに?」
「その件は皆に話したいのです。お祖父様は今どこに?」
「今は長老の方々と話し合いの最中かと思われます」
「至急皆に伝えたいことがあるのです。お祖父様と長老の方々、それに里の皆を集めて貰ってもいい?」
「承知致しました」
そう告げると、後ろに控えていたエルフが皆の下へと戻って行った。
残ったエルフさんから怪我はないか、疲れていないかを過剰なまでに心配されて少し困ってしまった。
すると、川辺にいた皆がこちらへと歩いてくるのが見えた。
こちらに気づいた人は安堵の表情を浮かべ、胸を撫で下ろしていた。
子供達は両親の姿を見つけると、やっぱり不安を押し殺していたようでそれが解けると同時に泣きながら両親の元へと駆けていった。
お祖父様と長老の方々が先頭を歩いているのだけれど・・・困惑しているようでお祖父様と長老は難しい顔をしている。
そして、里の皆が私達の元へと集まった。
「ミリエラ無事だったかな?」
「はい、お祖父様。サテラに迷惑をかけてばかりですが私は大丈夫です」
「そうか・・・して、何故戻ってきたのか聞いてもいいかな?」
「はい。驚かないで聞いて頂きたいのですが、私達はオークに襲われました」
その言葉に、その場にいた人全員が目を見開く。お祖父様と長老達も息を呑み、驚きに声が出ない。
安全の為に私達を送り出したというのに襲われたと聞いて、皆は顔を青くして私達に視線を向ける。
子供達の親も自分の子供に怪我がないかを確かめている。
「オークは三体、一体はサテラが倒してくれましたがもう二体には不意をつかれて・・・私は木に打ち付けられて、オークは子供達へと棍棒を振り上げました」
「なんと・・・だがそれをサテラ殿が救ったのでしょう」
エルフの皆はサテラに顔を向け、ありがとうと頭を下げ始める。
サテラはそれに気まずそうに顔を顰め、私じゃないと首を振る。それに不思議そうな顔を向けるエルフ達を他所に私は話を続ける。
「その通りです。サテラが助けたのではありません」
「では誰が? 他の人族がミリエラを助けたのか?」
「いいえ、違います。私達を救ったのは・・・恐らく南部の主と思われるウルフです」
「なんじゃと!?」
お祖父様が驚きのあまり声を張り上げる。口に手を当て、そんな馬鹿な・・・と考え込んでいる。
長老達も他のエルフの皆も、「そんなことがあり得るのか」「なにかの見間違いじゃないのか」とざわめき始める。
「そ、それは本当なのですか? 精霊の悪戯や、何かの勘違いじゃないのですか!?」
「ここまで私達を連れてきてくれたのもそのウルフです。反対側にいた私達が皆に追いつけたのもそのおかげです」
「し、信じられない・・・。」
「ウルフに乗る!? 普通のウルフは我らが乗れる程大きくはない・・・ほ、本当に主なのか・・・」
「確かに私も見ました。今までウルフを何匹も倒してきましたが、あんな大きい個体は初めてでした」
「むう・・・一体何が起きているんだ」
長老達も困惑していて事態の把握ができないでいる。私だって、急にこんなこと言われたらびっくりしちゃうだろうな。
「なるほどわかった。俄かに信じられないが、そのウルフとは別れたのか?」
「森の奥で待ってもらっています。ミルトを引けば来てくれるとは思うのですが」
「・・・・・・オークとグルではないのか?」
「わかりません。けれど、もう一つあるのです。そのウルフを従えている魔物もいるかもしれないのです」
「はぁ・・・何故だか理由を聞かせくれるか?」
「そのウルフに首輪が付いていて、メッセージが入っていたのです。一言だけでしたが、『西へ』と書かれていました。初めは私達もウルフを疑っていましたが、その『精霊文字』を見て信用しました。そして・・・前にサテラと見たスライムと一緒の行動を取っていました」
「精霊文字・・・スライムと一緒の行動・・・すまないなミリエラ。もう何がなんだかわからなくなってきてしまった・・・。『西へ』と精霊文字のメッセージが入った首輪を付けた主のウルフが拍手して助けてくれた・・・そして我らの下までミリエラ達を連れてきたというのか?」
「その通りです」
「はぁ・・・」
お祖父様もあまりの出来事に困惑を通り越して達観している。長老達は事態を飲み込めずに目を白黒させ、頭を抱えてウンウン唸っている。
確かにここまで異常事態が重なってしまえば、整理するのに時間が掛かってしまうのは普通だと思う。
常識では考えられない事態なのは私もわかっている。それが、私よりも森に精通しているお祖父様や長老達ともなると、混乱するのは仕方ない。
「時間がないのは分かってはいるのだが、これに関しては即断しかねる。少し話し合いさせてくれるか? サテラ様、申し訳ございませんがご了承願えますかな?」
「わかりました」
「は、はい。滅相もないです」
そう言うと、お祖父様と長老、村の警備の人達が集まり話し合いを始めた。
私とサテラは他のエルフの皆から無事だったのか、怪我はしていないか、疲れていないかとすごく心配された。
サテラは子供たちの両親からお礼を言われて、すごく気恥ずかしそうにしている。サテラのおかげでここまで来れたんだから誇っていいんだよ。
「身体の方は大丈夫?」
「うん。まだちょっと痛みはあるけどもう大丈夫だよ」
子供達の両親から一頻りお礼を言われたサテラは、こちらに歩み寄って私に声をかける。
「サテラ・・・その、助けてくれてありがとうね。私だけじゃ駄目だった・・・。本当私って一人じゃ何もできないのね」
「そんなことないよ! 私にできないことをミリエラはできるじゃない。エルフの子供達だけどね、私と話す時は少し目を逸らすの、助けてあげるっていた時も不安そうな顔をした。でもミリエラが守ってくれるってわかると安心するのよ。皆に信頼されて、心配してくれる人達がいるミリエラが羨ましいよ」
「サテラ・・・」
サテラは困ったように笑う。
そうして私の目をじっと見て告げる。
「私にできないことをミリエラがして、ミリエラができないことを私がする。だから、あんまり落ち込まないで?」
「・・・うん。ありがとうサテラ」
いつも励まされてばかりだな私・・・。精霊達が心配そうな顔で私の顔を覗き込んでくる。泣いていると勘違いしたのか目の辺りに手を伸ばしてくる。
いつもありがとうと、撫でてあげると目を細めてニコニコする。
「さぁそろそろ行こうか。ミリエラのお爺さんもそろそろ話が付いている頃でしょう」
「そうだね。そろそろ行こうか」
私達はさっきまで皆が集まっていた場所へと移動する。
大きな岩の下でお祖父様と長老達が話し合っている様子が見えてくる。
まだ話し合っているようで、もう少しの間周りをブラブラすることにした。
サテラは剣の手入れをするために川辺へ向かった。私もそれについて行って、川辺にいた精霊達と話す。
「ミリエラ? ハジメマシテダネ! イイニオイスルネ!」
「初めまして。川に住んでる精霊さんかな?」
「ソウダヨソウダヨ! ネェネェシッテル? ネェネェシッテル?」
精霊達がクスクスと笑い合う。精霊達は楽しいことや面白い事に目がないからこうして話してあげると、困った時に力を貸してくれる。それ以外にも森の中のことをよく教えてくれたり、たまに何かをくれる精霊もいる。
「どうしたの? 私わからないな」
「ウエデオモシロイノガイル! マッカナナニカガスゴイコトシテル」
「ミンナソノハナシ、ボクキキアキチャッタ」
「真っ赤なにか?」
「ソウダヨ! マッカナスラ・・・ッッッ!?」
「イヤナノガクル! イヤナノガキタ!!」
「え?」
UUUUUOOOOOOOOOOOOOOOOONNNNNN
ウルフさんの遠吠えが私達の耳に届く。
一瞬何があったのかわからなかった。けれど、直ぐにわかった。
遂に来てしまった。精霊たちも感じたイヤナモノ。
オークが私達の近くまで忍び寄ってきた。
次回戦闘パート移行!!
エルフ達はどうなるのか!? 赤いメッシュのウルフさんはどうなるのか!?
次回乞うご期待!!
何か変なところ、見にくい、誤字だ!などがあればどしどし教えて頂けると嬉しいです。
(言い換えでこういうのがありますよなどが合ったら教えてください。例:取得→習得、思いやる→慮る、聞こえる→耳に届くなど)
感想や活動報告の方にコメント頂けると私の気力になり、筆が踊りますので気軽にどうぞ!!




