森人:配下達でした!
投稿遅くなり、日を跨いでしまって申し訳ございません。
たくさんのブックマークありがとうございます。
配下達が戻ってくるようです・・・が。
『誤字報告』という機能が追加されたようです。
感想に報告しないでも、その場で簡単にパパッと誤字を作者に報告できる機能が追加されたようです。
文章の一番下に『誤字報告』がございますので、是非お試しください!
昨日の一件があってから正直色々と考えることはあったけど、俺にどうこうできる事ではないだろう。エルフとハーフエルフについては俺みたいな部外者がでバレることではない。
とりあえず今は・・・
「考え事してる」
「何考えてる?」
「「変な顔」」
この双子ちゃんのお世話をしなくてはならない。
俺のほっぺを伸びるだけ伸ばして遊ぶこの双子ちゃん・・・イアとメア。サテラは双子ちゃんが増えた分で減ってしまった食料やらなんやらの旅の買い出し、ミリエラは精霊と一緒に街を観光してくるのだそうだ。
そうなれば必然的にイアとメアのお世話を俺がすることとなる。やんちゃ盛りなのか其処彼処をウロチョロしたがるイアとメア、落ち着いて買い物ができないとサテラに任された。
まぁ、どこかに行こうとしたらお菓子をちらつかせればいいだけなんだけど、イアとメアが太らないように気をつけよう。
「二人ともどこか行きたい場所あるか?」
「「食べ物屋さん」」
俺が後押ししなくても二人はおそらく太るだろう・・・願わくば太らない体質である事を信じよう。
ちょうど近くに食べ物屋を見つける・・・お!!
よく見てみればそれは俺にもなじみ深いものだった。細長い棒状の木の枝にクルクルと雲の様なフワフワとした塊が巻きついている。
それはどこからどう見ても『綿菓子』だ。
甘い匂いにつられてきたのか、他のハーフエルフの子供達までもが店先に集まってくる。綿菓子にしてはすごいいい匂いがするな・・・確かに砂糖菓子の甘い匂いは前世の時も漂っていたけど、ここまで甘くて良い匂いをしていたイメージはないんだけどな。
『菓子にも精霊の力を使っているなんてね』
「え、精霊力ってそんな事もできるの?」
『味じゃなくて匂いにね。風の魔法であの菓子の香りを運んでいるのよ』
よく目を凝らしてみれば精霊が指先をふりふりと降っているのが見える・・・おそらく力自体はあまり持っていない下級の精霊だろうけれど、風を巧みに操って菓子の匂いだけを周囲に運ぶ事ができるなんてさすが精霊だ。
右と左に交互に目をやると、イアとメアが溢れんばかりの幸福な感情を滝の様に溢れさせている・・・相も変わらず無表情だけど。
綿菓子をイアとメア・・・と店に集まってきた子供達全員に振舞って、皆んなして和む。
子供達は綿菓子片手にイアとメアに群がって遊ぼう遊ぼうと騒ぎ立てる。イアとメアはそれにウンウンと頷いて、子供達と一緒に広場を走り回っている。
俺にも子供ができたらこんな感じなのかなぁ・・・その為にはおなくなりになった俺の息子を復活させるところから始めなければならない。
あ、それよりも先に彼女を・・・できると思えないな。
そうこうしていると・・・なんだか人の往来が激しくなった気がする。なんだか慌てているというか、多くの人が門に向かって行っている。
「なんか、門で騒ぎが起きてるらしいぞ」
「まじかよ、見に行ってみるか」
「なんでも守衛が悉くなぎ倒されてるらしい」
「エルフ・・・なのか?」
「いや、なんでも複数の魔族が、主人がどうのこうのと暴れてるらしい」
「イアーーーーメアーーーー戻ってこーーーーい!!!!」
子供達と遊んでいたイアとメアは子供達に律儀に別れを告げ、こちらに戻ってくる・・・二人を脇に抱えて全速力で門へと駆ける。
ビュンビュンと移り変わる景色にイアとメアは興奮しながら手足をジタバタさせている。楽しんでいる二人をよそ目に、十中八九間違っていないだろう門周辺で暴れまわっている魔族について考える。
門に向かっていくにつれて人が増え、その人々は一様にある一点を見つめている。
ドォーーーン!!!!
門の入り口あたりで、大きな爆発音と共に空にまで砂塵が巻き上がる。
精霊の力が門周辺で荒れ狂っているのも確認する。精霊達が大慌てで周囲に漏れ出る力を抑制しているが、それを超えるのではないかと思うくらいの大質量の魔力が爆発の中心地から巻き上がっている。
街の人々に危害が及んでいないかが心配だったけど・・・まぁ、俺の予想している相手が爆発の中心部にいるとすればおそらく心配はないだろう。
人混みをかき分けながら進み、やっと爆発の中心部を覗える位置にまで来れた。
イアとメアを脇から解放して立たせ、爆発が起きた中心部を見やると・・・。
そこには、長いローブに身を包み片手に精霊を乗せたハーフエルフと、見覚えのある大きな魔族がそこに立っていた。
身長はハーフエルフよりも頭二つ分程大きく、鋭い目つきに目の下には赤い線が長く伸びている。それよりも特徴的なのは額から伸びた、先端が赤い二本の角だろう。
体つきはとても筋肉質とは言い難いが、ちょうどいい具合につけられた無駄のない筋肉、内包された魔力は常人を逸する物を持っている。
少し様変わりしていたが、間違いない・・・『ショウゲツ』だ。
「なんだ、もう終わりか?」
「ま、魔法を素手で弾き返すなんて無茶苦茶だ」
「ふん。この程度の魔法、シロタエの仕置きと比べれば大したことはない」
ハーフエルフが放ったいくつもの岩の塊を、見事な身のこなしで避け、いなし、拳で打ち砕いていく。恐るべきはそれで後退っていくのではなく、前進しているところだ。
どんな魔法を放たれようが拳と蹴りで全てをはじき返し、炎や風に至っては拳圧で吹き飛ばしている所から見て力量差は開きすぎている。
事もなげに歩を進め、ハーフエルフの放つ魔法をおおかた弾き終えたあと、ショウゲツはハーフエルフの眼前に拳を突き出す。
「くっ!?」
覚悟を決めたのか目を瞑り、ショウゲツの一撃で頭蓋を砕かれる・・・ことは勿論ない。
トンッとハーフエルフの額に拳を当て、ショウゲツはフゥと息を吐く。
「良い攻撃だ。敵に隙を与えぬ様に連続して魔法を使う・・・魔法を使う者は多くが大きな魔法を放つことに拘る事が多い。しかし、今回の様に自分しかいない状況でそれをするのは敵に自分を狙ってくれと言っている様なもの・・・仲間がいるのならまだしも、いない状況でそれは悪手だな。それをしっかり見据え、剰え俺の武器を拳と分かった上で飽和攻撃を仕掛け、俺を後退させようとしたのは見事だ。だが、相手が悪かったな」
「お、お前は俺達を殺しにきたのではないのか?」
「そんなわけないだろう。俺は主人を追いかけてきただけだ」
ショウゲツはポンポンと服を叩くと、門の方へと戻る。
そこにはまたまた見知った顔が並んでいる。
馬車の横で退屈そうに欠伸をしているのはモミジ、両手を前に重ね静静とそこに立っているシロタエ、籠手を布でせっせと拭うキクがいた。
まぁ、俺達はカーティア様の許可が合ったから入れたけど、俺の配下達は許可をもらってはいるんだけど・・・。
特にエルフ関係で色々こじらせているここでは、かなり厳重に取り締まっているから・・・こう言ってはなんだけど、人相の悪いショウゲツでは止められるのも無理はない。
しかも、馬車の中から降りてきているのは、奇妙な魔族達なんだからそれに拍車もかかる。
警備のハーフエルフ達もどうすればいいのか困っている。許可は出ているけど、この如何にも怪しい魔族達が果たして許可が出ている魔族なのか、ここを通して大丈夫なのかを判断しかねている状況だ。
で、なんでここを通す通さないの押し問答になって、ハーフエルフとの一騎討ちにまで発展してるんだ?
「えっと、ごめん・・・あれ俺の配下なんだ。許可出てると思うんだけど」
取り敢えず近くにいた守衛の一人に声を掛ける。俺達がこの国に来た時にカーティア様を呼びに行った守衛だ。
「あ、あぁ、お前か。一応検問したんだが・・・なんでも『主人に会いに馳せた。エルフと魔人を連れている筈だ。通して貰いたい』なんて言ったからな。その時門の守衛をしていたのが守衛長でな『ここは通さねぇっ!』てなって、言い争いになったんだ」
うん。原因はショウゲツの言葉足らずと余計な事を言ったのが原因みたいだ。
主人に会いに馳せた・・・これをハーフエルフ達目線で考えると『主人=カーティア様』になる。
『エルフ』と魔人を連れている筈だ・・・この言葉でエルフの回し者だと断定されたのだろう。
捉え方によっては、「エルフの使者であり、お前達の領主に用があるから通せ」となっても仕方がない。
見た目が唯の魔族ならカーティア様を呼ぶか、どうにかして確認をするのだろうけど、初めて見る奇妙な魔族がやって来たのなら仕方ないだろう。それに、門を警備していたのは守衛長って事はエルフについてかなり敏感だろう・・・状況は最悪だ。
結果言い争いから、「通りたくば私を倒していけ」になったのだそうだ。
ショウゲツも口で語るより、拳で語れなタイプだからなぁ・・・決して、ゴブリンとコボルドの時に仕込んだ拳を合わせて仲良くなろう作戦の名残でないと俺は信じたい。
「主人は俺で間違いない。『エルフ』については・・・情報伝達ができてなかったんだ。本当に申し訳ない」
「あぁ・・・まぁ、何となく察した」
「えっと、で、カーティア様はどうしたんだ?」
「今朝から森に出掛けていてな・・・俺達で対処するしかないんだ」
咄嗟にエルフとハーフエルフの種族の違いがわからなかったと暗に嘘をついた。
ここでミリエラがエルフだとばれるのはまずいしな。
で、ここまでの騒動に発展したわけは、カーティア様が今朝から森に出掛けたからだそうだ。
一緒に魔道具を研究している仲間のハーフエルフ達と一緒に、魔道具の素材を取りに行っているのだという。
俺達が予想以上に鉱石を持ってきたからか、大きな実験ができると騒いでいたからな。それで足りない素材を取りに行っているのだろう。
それで、誰も止める人がいなかったわけか。
「じゃあ、あれらあんたの管理下にあるって事でいいんだな? なにか問題を起こせば責任を取って貰うが・・・いいな」
「問題ない」
守衛は門まで走って行き、配下を乗せた馬車に通行許可を出す。他の守衛達は驚いていたけど、俺の姿を見つけると大丈夫かと通行許可を出す。
・・・エルフと関わりがないとわかった守衛達は、明らかにほっとした表情を見せる。
それだけで、エルフとハーフエルフの溝は相当に深い事がありありとわかってしまう。
取り敢えず、ショウゲツ達に挨拶しておくか。
「主君、お変わりないようで」
「うぉっ!? ハンゾーか・・・いつのまに」
肩の上から突如男の声がしたもんだから驚いた。そこには小石サイズの小さな蜘蛛がいつのまにか乗っていた。
まぁ、こんな芸当ができるのは俺の配下には一人しかいない・・・忍蜘蛛のハンゾーだ。
やがて、馬車停からショウゲツ達が降りてくると・・・キョロキョロと周囲を見渡し、俺と目が合うと一度ペコリと頭を下げて、此方へ歩いてくる。
「主、モミジが来たよ」
「モミジも元気そうでなにより。里は何もなかった?」
「主が気にするようなことはないです!」
走って近寄ってきたモミジをいいこいいこして頭を撫でてあげると、気持ち良さそうに身体を預けてくる。
「主人、ショウゲツが馳せ参じました」
「同じくシロタエ、里はハルウ様、ソウカイ、ユリィタに一任致しました」
「ん、キクも同じく。主君の護衛を努め・・・」
「「犬耳」」
いつのまにかイアとメアが俺の拘束から逃れ、キクの服の裾をグイグイと引っ張っている。
キクが困惑した表情を浮かべるのも無理はない・・・ショウゲツ達からしたらイアとメアの双子は初対面でなのだ。
キクがどうしていいか判断しかねている間にも、イアとメアはキクの額から伸びている犬耳を触らせろと無表情でワクワクしながら裾を引っ張っている。
「触らしてあげて」
「・・・はい」
ん?
何故か聞くがしょんぼりとしてしまう・・・そういえば、キクは何で犬耳を出したまま来たんだ?
変化の魔法は問題なく使える筈だし、現にどこからどう見ても人間の姿をしているキクを見たことが・・・はッ!?
イアとメアがキクの犬耳に触れる直後に、犬耳を両手で覆いつくしてもふもふと触る・・・触り心地は最高だ。ぎゅっと握れば犬耳に生えた柔らかな毛が掌に心地よく、程よい暖かさは自然と心を和ませる。
ぴくぴくと動く犬耳をこねたり揉みしだくと、キクはトロンとした表情ですりすりと身を寄せてくる。
うん・・・危なかった。
キクの犬耳に一瞬目が言った瞬間、いつもより毛並みが整ってモフモフしているのがわかった。前にキクにお土産で上げた・・・というか女性陣にプレゼントしたのは櫛だ。
恐らく手入れして、もふもふになった犬耳を撫でてほしかったのだろう・・・危うくモフ一番をイアとメアに譲るところだった。
イアとメアは両手を振り上げて両足をぽかぽかと叩いて抗議してくるけど、これだけはどうしても譲れない。
「耳か・・・いや、毛か」
「耳ね・・・いえ、毛ね」
ショウゲツとシロタエが何だかうんうんうなっているが、どうでもよさそうなことを考えている顔なので、放置することとしよう。
一頻り犬耳を堪能した後にイアとメアに触らせてあげる。キクがしゃがんで、イアとメアは犬耳に触れると気持ち良さそうにして揉んでいた。
キクもイアとメアも喜んでいる万事解k・・・ムスッとしたモミジも撫でておきました。さっき撫でたばっかなのになぁ。
ふと気付いて周りを見渡すと、やっぱり人目を引いている。
ここじゃなんだし宿に戻るか。
そうして、ショウゲツ達を連れて宿に戻った。
サテラも、もうそろそろ配下達が来る頃合いだろうと、偶々暇をしていたアンネさんと一緒に・・・多目の買い出しを行っていた。
そして、今夜は少し贅沢な夕飯を取ろう・・・。
そう思っていた。
陽が沈み夜闇が辺りを包んでも、その日ミリエラは帰って来なかった。
ハーピーの観察日記
1:臨時招集用冒険者パーティランク上げ開始。
2第一メンバー『ユキ様・コクヨウ様・ソウカイ様』
3:第二メンバー『ナーヴィ様・ヨウキ様・ルリ様』
宜しければ、本文下にある評価の方是非ともお願い致します!
遠慮なくこの物語を評価して下さい!!
何か変なところ、見にくい、誤字だ!などがあればどしどし教えて頂けると嬉しいです。
(言い換えでこういうのがありますよなどが合ったら教えてください。例:取得→習得、思いやる→慮る、聞こえる→耳に届くなど)
感想や活動報告の方にコメント頂けると私の気力になりますので気軽にどうぞ!