表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
151/271

森人:街に蠢く影でした!

急なお仕事が入り投稿が一日遅れてしまいました・・・申し訳ございません。


たくさんのブックマークありがとうございます。


街に不穏な影が迫ります。その正体はまさかの・・・。


『誤字報告』という機能が追加されたようです。

感想に報告しないでも、その場で簡単にパパッと誤字を作者に報告できる機能が追加されたようです。

文章の一番下に『誤字報告』がございますので、是非お試しください!

 特に何事もなく報酬を受け取って宿を取った。

 リオエルの事は結局話さなかった。運命の選択は発動しなかったけど、ミリエラが駄目ならリオエルも駄目なんじゃないかと判断したわけだ。


 ・・・で、まぁ深く考えるのもやめにして、こうして暇しているわけだ。


『久々に森に戻りたいわね』

「ここから帰ったら、ちょっとの間は里にいよっか」

『まぁ、貴方と一緒ならどこでもいいのだけれど』

「俺もディーレが行ってみたい場所につれてってやりたいな」

『大きな滝があって周りを森が包んでいる場所に行きたいわ』


 里に帰ったら森をゆっくり散歩しよう。忍蜘蛛や大蜘蛛、ハーピー達が森に詳しいだろうし、滝が何処かにないか聞いてみるのもありだな。

 ユガ大森林になければ、ユリィタさんに聞こう。


 ファー、ムー、ノーの三精霊達は既に俺の中で眠り、ちょうど良い眠気が俺にも訪れた。

 一度小さく伸びをして部屋に置いてある小さなベッドで寝ようと体を向けた瞬間、一瞬窓の外に何かの気配を察知した。


 バッと振り返ってそちらを見てみるが何もない・・・しかし、ディーレも何かを感じたようで、俺と同じ方向をジッと見つめている。


「周囲掌握を広範囲で使う。ディーレ頼んだ」

『えぇ、わかったわ』


 ディーレに魔力を譲渡し、周囲掌握をより広範囲に行き渡らせる事ができる様に威力を底上げする。周囲5km圏内にいる全ての存在を察知する。

 家の中にいる魔族から軒下を這いずる虫やネズミまで全てが脳内に広がるマップに記されてゆく・・・すると、入り組んだ路地裏をするすると駆け抜けていく三つの存在を見つける。


 人目を気にするかのように暗がりに潜り込んで移動する様に、これは何かあると確信して三つの存在に注目して力を絞る・・・すると。


「・・・エルフ」

『精霊の気配も強まっているわね。エルフが来たことに精霊達が喜んでる・・・けれど、どうしてかその感情を表に出さないようにしているわね』

「つまり、精霊達がエルフの意図を組んで静かにしてるってこと?」

『ここはハーフエルフが多いから、精霊がざわつけばすぐにでもばれるわ』


 成る程、精霊に感情を隠させてまで他の魔族・・・ハーフエルフに自分達を気付かせたくないってことか。

 これは何かあるな。


 サテラ達はもう寝てるし、俺だけでいくしかないわけだけど・・・バレたら間違いなくサテラから鉄槌が下されるであろう事は明白だ。

 ちょっと見に行くだけでとどめよう。そうしよう。


 窓から身を乗り出して音をたてないように思いっきりジャンプする。

 対面する家の屋根へと着地し、エルフ達が走り去っていく方角へと全力で駆けて行く。


 ・・・魔族領に現れたあのダンジョンを倒してからというもの、いつにもまして身体が軽く足も速い。

 次々に移り行く景色からして体感では時速50kmは優に越えていると思う。


 身体を吹き付ける風は非常に心地良く、着地した足から伝わってくる感触がなんだか気持ちいい。


 前方を駆けるエルフ達にグングン近づいていく・・・と、突如としてエルフ達の足が止まる。

 迷い無く走っていたエルフ達は何処かに向かっている。つまり、目的地があるという事は何となくわかっていたけれど、ここは・・・。


 物陰に潜む・・・必要もないのでその場に溶け落ちて身体を地面に染み込ませ、身体の一部を地面から突出させて潜望鏡の様にしてエルフ達の様子を伺う。


 エルフ達が止まっていたのは、俺とディーレとでデートした時に使った水路を行く船の発着場の近くにある倉庫だ。


 俺とディーレがデートした時に使った船は『遊覧』用途の物で、荷物を運ぶ為の輸送用の船もここにはある。

 そして、一時荷物を置いておく倉庫があるのは知っていたけれど・・・いったいここになんの用があるんだ?


 まさか、泥棒か?


 そう考えた矢先、自分の考えが間違っていた事に気付いた。

 エルフ達は二言、三言言葉を交わすと倉庫へと手を掲げ・・・魔力を集約し始めた。


『あれは普通に攻撃用の魔法ね』

「つまり・・・倉庫を爆破しようとしてるってことか!?」


 三人のエルフの手には赤、緑、青の魔力が集束し始めていて、それらは魔力のし浸からして攻撃に用いられる魔力のし浸からして攻撃に用いられる魔法であることがわかる。

 そしてエルフが用いる魔法は唯の魔法でなく、精霊によって力が増幅された精霊魔法・・・そんなものが一発でも放たれでもしたら、倉庫は間違いなく吹き飛ぶだろうし、三発も撃ち込まれようものなら倉庫だけでなく街の至る所が吹き飛んでもおかしくない。


 どうにかして止めなくてはと思うが、既に発射準備が整ってしまっており言葉での制止は不可能だ。

 もう実力行使以外道はない。


 三人のエルフから同時に魔法が発射される。

 暴力的な魔力の波動が倉庫へと一直線に向かい・・・その前方に俺が躍り出る。


「ディーレ!」

『えぇ』

「エクストラスキル:蒼封の要塞ベオール・フォートレス!!」


 青い魔力の膜が倉庫の前へと展開され、エルフ達が放った精霊魔法が直撃した瞬間、膜が一気に集束して魔法を包み込む。

 そして、恐らく爆発したであろう魔法は膜の中で一瞬光り輝いた後に消失する・・・驚くべきは、俺とディーレさんがかなりの魔力を練りこんで作ったエクストラスキルが破壊されそうになったからだ。

 内側で起きた爆発は三つの魔法が重なり合って連鎖反応を引き起こし大爆発を起こした・・・普通はそのまま収束していく筈の膜が膨れ上がったから何事かと思ったが、そういう事か。

 ・・・これ、放ったエルフも巻き添えで死んでいたかもしれない威力だぞ。


 エルフ達は一体何が起こったのか理解していない表情を浮かべていたが、倉庫の前に立ちふさがる俺の姿を捉えると慌てて短剣と短弓を構えて此方へと駆けてくる。


 ・・・この戦い方どこかで見覚えが。


 そんな事を考えていると、俺の身体に短剣が突き刺さる。俺を短剣で貫く動作に一切淀みは無く、ただ伝っていただけの俺には深々と短剣の柄までもが身体の中に沈み込んでゆく。

 だが・・・予想通りだ。


 そのまま腕をつかんで地面へと引き倒す。

 あんな大掛かりな魔法を使った後で、瞬時に短剣へ魔力を込める事なんてできるわけがない・・・つまり俺の身体にダメージを与えることは不可能だという事がわかった。

 なら、この身体を利用して一人でも捕縛できればいいだろう。


「精霊魔法:水縛鎖」


 エルフの両手両足を水の鎖で縛り上げ、地面へと転がす・・・と眼前に矢が迫っていることに気が付いた。後ろに仰け反った事でどうにか避ける事ができたが、その隙に転がしておいたエルフが奪還されてしまった。


 エルフは精霊魔法で拘束を解こうとしているが、単純なステータスだけはS級の俺と最上位精霊のディーレとで作り上げられた拘束具を解除できるわけが・・・。


 バキンッ!!


 うそーん。

 短弓を持っていたエルフが取り出した水晶に魔法が触れると同時に、水晶諸共魔法が砕け散った。水晶が砕け散ったことに戸惑っていたエルフ達だったが即座に俺へ向き直る・・・ことはなくそれぞれが三方向へ散らばって逃げ始めた。


 こうされると痛いんだけどな・・・。

 そのうちの一人のエルフは追いかける。さすがに散らばって逃げられたのでは全員の捕縛は難しいけど、一人でも捕まえる事ができれば、そこからどうにかすれば足はつくだろう。


 どうやらエルフは戦う事よりも逃げに徹したようで、逃げる隙に様々な魔法を展開してそこらかしこにわなを仕掛けていく。

 追っかける側の俺としてはその罠を回避するか突破するしかなく、段々と距離が開いていく・・・スライムになって地面に沈み込んでいって不意打ちとも考えたけれど、足を止めることなく逃げられてしまってはどうしようもない。


 どうにかして足を止めようと触手を伸ばして攻撃を加えるが、短剣で切り払われるし避けられる。攻撃に専念しようとすれば罠に引っ掛かってしまう為、大きく攻勢に出ることもできない。


 どんどん差は縮まっているけど、もうすぐ街を出る堀まで来てしまう・・・森に逃げられればエルフの領分であり捕まえることが一層困難になる。

 なら・・・


 堀に差し掛かり、エルフは精霊魔法で身体強化を施したのかそれを難なく飛び越える。尚も俺に魔法の罠を仕掛けてくるが、次に後方へ振り返った瞬間にエルフは絶句した。


 ドカンドカンと罠を発動させながら猪突猛進で突き進む俺を見れば、そりゃそうなるだろう。

 身体を粘液で覆い、ディーレの防御魔法を施せば俺の身体を覆う粘液は鋼鉄でできた全身鎧を上回るし、魔法なんかにも耐性が付く。

 街中で罠を発動させてしまえば民家に被害が出るからこれが使えなかったけど、堀を飛び越えた先は平地だ・・・森までは全力で走っても十数秒は掛かるから、仕掛けるならここだ。


「スキル:マルチウィップ!!」


 数十本の触手を出してエルフに殺到させる。短剣で薙ぎ払おうとするが、この距離でこの数の触手に襲われればさすがに対処しようもない。

 触手で体をぐるぐる巻きにして今度は完全に拘束する・・・俺の物理的な拘束とディーレの精霊魔法による拘束だ。いくら何でもこれは逃れられないだろう。


 一つ逃れる方法があるとすれば・・・。


「ッッッ"%#"$&!?」

「$”%$!%’&!!」

「$”&%#!&!!」


 まぁ、助けに来るよなぁ。


 倉庫へ攻撃を仕掛けていた二人が俺の前と後ろへ回り込む。

 リオエルと別れてから周波数を合わせていなかったから何と言っているかはわからなかったが・・・捕まっている方がなにやら二人に叫んでいて、二人は首を振って拒否している事からして、大方「逃げろ」「「断る」」みたいなやり取りをしていたんだろう。


 なんか俺悪役になってる気がする。


 ヒュッと風切り音が聞こえ、後方から何かが放たれたのがわかる・・・空気を切り裂く音、風の揺らぎがディーレの魔法を纏ったおかげで知覚できる。

 後方へ視線を移すが空中には何もない・・・が、そこには確かに俺を殺そうとする何かがある。


 少し身を引き、近付いて来るであろうそれに合せて触手を薙ぎ払う。

 すると、何もないはずの空中から魔力を纏った矢が出現し、触手に弾かれて地面に落ちる。


 だがこれで終わりでないこともわかっている。


「意識が後ろに向いた瞬間に短剣を二本投げつけてくるなんて結構えげつないな」


 俺の触手に二本の短剣が突き立つ・・・かなり魔力が注ぎ込まれていたのか深々と刺さったそれから、ジクジクとした痛みが触手を伝わってくる。

 透明化させた矢を後方から放って、さもそれが切り札と見せかけて最初に向いていた方から本命の短剣二本を投げつけて来ていたのだ。


 二人のエルフの息の合った連携、躊躇いの無さ、戦闘に特化した洗練された動き、あのエルフっ娘のリオエル以上に戦闘慣れしている事は間違いない。


 二人のエルフは諦めずに短弓で射掛け、隙あらば接近して短剣を振りかぶって斬撃を放つ。


 それが幾度となく繰り返され、二人のエルフの顔には疲労が色濃く伺える。


「俺ごとこの魔族を殺せ! こいつは強い、それしか方法がない!!」

「・・・ッく!?」

「やるしか・・・ねぇのか」


 うむうむ、やっとはっきり聞こえた。

 戦闘しながら周波数を合わせていたけど、こんなこと喋っていたのか・・・でもいったい何があったのか、その会話からは相当切羽詰まっている何かがあることがわかる。


 しかし、命を投げ出してまで成し遂げたい事がある・・・そしてそれが倉庫の爆破未遂と何か関係があるなら問い質したほうがいい。


 二人のエルフは拘束された男から言われた通り、俺に気付かれない様に魔法の準備を始める・・・会話が聞かれていないと思っているのだろう。

 ・・・んで、俺はそれを待っていたわけだ。


「ディーレ、準備はいい?」

『いつでも』


 二人のエルフがバッと飛び退いた瞬間に、掌から先程倉庫を襲った時よりも巨大な魔法が放たれる・・・俺の不意をついた最大火力であろう一撃が地面を食い千切り、大気を巻き込みながら直撃する。


 それが、エルフ達の思い描いたシナリオだ・・・が。


「発動しない!?」

「そんな、なんd」


 その瞬間、地面に忍ばせた触手で二人の腹部に強めの一撃を加える。何が起こったのかわからない二人は 、突如として襲った腹部の衝撃に蹲り、触手によって手足を拘束される。


 精霊魔法発動までの過程は、魔力を練る、精霊に渡す、魔力が戻ってくる、発動するって流れだ。


 そこにディーレに横槍を入れて貰ったんだ。


 ディーレの気配をエルフの心臓付近に叩き付けた・・・エルフからすればどうとでもない事でも、そこにいる精霊には相当堪えるだろう。

 魔力の制御を失敗して、規程量の魔力を譲渡する事に失敗して精霊魔法が不発に終わったわけだ。


 その隙を見逃す筈もなく触手で畳み掛け、漸く全員捕縛できた。


 で、このエルフ達をどうすればいいんだろう?

 取り敢えず領主様にとも思ったが、エルフ・・・ミリエラの事を話そうとした時に出た運命の選択さんから、この事は話さない方がいいのかもしれない。


 まずは話してみて何故こんなことをしたのかを聞いてみるか。


「えっと、なんd」

「防御!!」


 直後、俺の立っていた場所が弾け飛ぶ・・・なんとか気づけたお陰で空中に全力で飛んで回避するが、着地して周囲掌握を展開すると、俺が捕まえたエルフ達は森に引き込まれていた。


 さっきの三人を抜いて4人のエルフがこちらに来ていたみたいだ・・・三人に集中していて気付けなかった。


 そして、それよりも驚かされたのは


「リ、リオエル?」

「・・・ごめんなさい」


 掌を向け精霊魔法を放ったであろうリオエルは、そんな言葉と共に森の中へと去っていった。


「・・・ほんっとに、いったい何が起こっているんだ?」


 誰もいなくなった街の外で、ポツリと漏れた言葉が反響した。

ハーピーの観察日記

1:盗賊団人員30余名と発覚。

2:ナーヴィ様筆頭に、数名の討伐隊結成。

3:盗賊団のアジトを発見。


宜しければ、本文下にある評価の方是非ともお願い致します!

遠慮なくこの物語を評価して下さい!!


何か変なところ、見にくい、誤字だ!などがあればどしどし教えて頂けると嬉しいです。

(言い換えでこういうのがありますよなどが合ったら教えてください。例:取得→習得、思いやる→慮る、聞こえる→耳に届くなど)


感想や活動報告の方にコメント頂けると私の気力になりますので気軽にどうぞ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ