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森人:カラドウス領主でした!

たくさんのブックマーク・評価ありがとうございます。


領主様とカラドウス、そして・・・。


『誤字報告』という機能が追加されたようです。

感想に報告しないでも、その場で簡単にパパッと誤字を作者に報告できる機能が追加されたようです。

文章の一番下に『誤字報告』がございますので、是非お試しください!

 森に囲まれた街カラドウスは城壁・・・といったものはなく、代わりと言ってはなんだけど街を囲む様に深い堀があり、外敵の侵入を阻んでいる。

 まぁ、この街を取り囲む方向感覚を極度に狂わせる森が天然の城壁を担っているし、必要がないんだろう。


 通用門に当たる場所には馬車が3台連なっても通れる大きな橋が架けられており、それは木でできていてかなり丈夫だと思う・・・というよりも、どこの城の橋よりも頑丈であることが一目瞭然である。


『精霊の力が込められているわ』

「橋を作った人が精霊と契約していたってことなのかな?」


 その橋は普通の人が作ったものではない証拠に、橋のいたるところから精霊が練った魔力の残滓が残っている。

 仮に馬車が10台この橋に乗ったとしても傷一つ付けることはできないだろう。


 ・・・まぁ、その橋には全く魔族の気配はないし、ましてや人の気配なんてのもこれっぽっちもない。

 しかし、通用門には誰かが立っているのが見える。恐らくは門番であろう魔族は二人いて、大きな欠伸あくびをしている。

 まぁ、こんなところ誰もこないだろうし、暇を持て余すのも仕方ない。迷いの森? で囲われているし、カナード様も『あまり、他の人や魔族には知られて欲しくない場所』と言っていたしな。


 門番達はいたって普通の魔族で、姿は熊の様な魔族で、遠目から見てもかなり大きな魔族であることがわかる。


 そうして、馬車が近付くとようやく俺達の存在に気づいたのか、門番達が俺達の馬車を見て騒ぎ始めている。カナード様から連絡が来ていると思ったんだけど・・・あの慌てようを見るに、俺達がここに来ることを知らされていないのは間違いないだろう。


 門番の一人はカラドウスの街へと入って行き、もう一人はこちらの馬車に向かって急いで来る。

 なんだか血相を変えてこちらに向かってきているけれど・・・ここの街はそんなに厳しいのか?


 カナード様の街は聖都の近くにあるだけあってすごい厳しく、通用門ではかなり入念に厳しいチェックがなされる。

 しかし、ここカラドウスの雰囲気はそういった検問の厳しさではなく、『一触即発』といった気配が漂ってくる・・・なんでだ?


「誰だお前ら!!」

「あん? カナードから連絡いってねぇのか?」

「そんなことしらされていない!! とっとと出て行け」


 かなり邪険に扱われて、御者を任されている男魔族のひたいに青筋が浮かぶ。


「てめぇ・・・いい方ってもんをしらねぇみたいだなぁ、おい?」

「う・・・ぐっ」


 御者の迫力に門番が一歩後ろに後ずさった。

 殺気と闘気が入り混じった熟練冒険者気を真っ向から浴びせられれば、唯の門番がそれに抗う事などできるわけもない。


 キョロキョロと辺りを見回し、どうしようかと迷っている様子だ。

 ・・・なんで、そんなにつっけんどんにする必要があるのかよくわからないが、俺達が歓迎されていないというのは間違いない。

 カナード様の街でも、どれだけ胡散臭い奴でもしっかり検問するのに・・・門前払いされるなんて一体どういうことだ?


 それに、ちょっと気になることもある・・・。


「おい、いつまで待たせればいいんだ!? 早く中に入れろ!!」

「お前らやはり・・・」


 御者が門番に詰め寄ると、門番がやむを得ないという様子で胸から笛を取り出した・・・微量の精霊の魔力が感じ取れるそれに口をつけようとした。


 直後


「ハァ・・・ハァ・・・やぁーやぁーすまない・・・ ハァ、その方達はお客さんだよ」

「こ、これは領主様!? では、こいつら・・・この方達は正式な?」

「あっははは、・・・ハァ、ハァそういうことになるね。研究に没頭してしまったあまり、君達に伝えるのを忘れていたよ。ごめんね」

「そ、そんな領主様に謝られるほどでは!?」


 通用門から出てきたのは、すらっとした高身長で背中まである長いブロンドの髪を揺らし、キツネ目の男の人だ。

 領主と呼ばれたその男の人は、通用門から姿をあらわすと大慌てでこちらへと走ってきて・・・思いっきり息を切らしながら、門番達に謝っている。


 よほど急いで来てくれたのであろう、顔色は青を通り越して紫色にまで変わっているようで、すぐにでもぶっ倒れてしまいそうだ。


 どうやら、やはり領主様が門番達に俺達が来ることを伝えることを忘れていたらしく、一人カラドウスに入って行った門番が領主様に確認を取りに行っていたらしい。

 門番達も大変失礼なことをしたとペコペコと頭を下げており、俺たちは全然問題ないと告げたが、御者をしていた虎魔族の男は腑に落ちていないらしく、まだ眉間にしわを寄せていた。


 領主様も少しづつ息を整えられたようで(まだ青いけど)、俺たちにペコペコと頭をさげる。

 凄い物腰の柔らかい人だ。カナード様の様な胡散臭さもないし、ガドイン様の様に歴戦の武将というふうでもなく、極普通。


 ・・・いや、ここが魔族領であったことを考えれば、『異常』であるとも言えなくもない。

 何故なら、領主様の姿はどこからどう見ても・・・


『人間・・・と、そっくりね』

「そっくりってことは、多分魔族だってことだよね?」


 そして、気配からわかるのは・・・。


『精霊の気配ね』

「つまり、精霊と契約してるってことか?」


 領主様・・・どこからどう見ても、人間にしか見えない。カナード様も人間とそっくりではあったが、どこか魔族らしさという気品があったが、この領主様はどこからどう見ても人間のそれにしか見えない。


 しかし、内から漏れ出る魔力だけは人間のそれを凌駕している・・・ガドイン様の様に見えない領域ではないが、魔法に秀でたシロタエよりも魔力が高いのがなんとなくわかる。

 そして、何よりもこの魔族の身体の中から・・・精霊の濃密な魔力が漂ってくるのがわかる。


 あちらも俺の気配に気づいているのか、さっきからチラチラとこちらを見てくる。


「カナードから話は聞いているよ。魔導具について話を聞きたいんだっけ?」

「あぁ、えっと、はい」

「・・・まぁ、ちょっと、話を聞きたいこともあるし、僕の屋敷まで来てよ」


 そう告げると、領主様は後ろを向いて通用門に・・・向こうとして、一回転してもう一度こちらへ向き直る。


「あぁ、あぁ、失礼致しました。私の名前は、『カーティア・パウル・アズゴリア』、皆んなからは『ティウル』と呼ばれていますよ」


 もう一度くるりと回って、カラドウスへと戻っていく。


 門番達も、さっきとは打って変わって、どうぞ街にお入りくださいとばかりに道を開けてをピンと街へ手を伸ばし頭を下げている。

 チッと舌打ちした御者は、ジーっと恨みがましく二人の門番を見つめながら馬を街の中へと進めた。


 街中へ入る・・・城壁がないから外側からも見えていたが、この国は他とは違った点が幾つもある。

 まず一つ目は・・・建物だ。


 殆どの国や街では建物は石でできていたりレンガでできている・・・その方が頑丈であるし、火事などが起きた時にもレンガや石の方が燃え広がりにくい。

 でも、この国の殆どの建物は完全に木造だ・・・綺麗に作られた家屋はログハウスの様で、前世で造られていた家屋と同じくらいに丁寧な構造をしている。


 それに、精霊の力が微量注がれており、石造りやレンガの建物と同じくらいの強度がある。そして、精霊の力のおかげでたとえガスバーナーでずっと家を焼いていたとしても、火事にならないだろう。


 そんな家屋が・・・軒並み続いているのだから、正直驚いている。


 サテラさん曰く、精霊の力が宿った道具等は人間にとっては目が飛び出るほど高価なものだ。なのに・・・橋だけでなく、ほとんどの家屋で精霊の力が感じられるって、この街一つで国家予算数年分は吹っ飛んで行くのは間違いない。


『精霊の気配をあちこちから感じるわ』

「どういうこと? 確かに森はあったけど、街にいるってことは・・・しっかりと契約してるってことだよな?」

『えぇ、さすがに上級は・・・・・・びっくりね。一匹だけ反応があるわ』

「えぇ!? ミリエラのじゃなくて?」

『あの領主から上級精霊の気配が漂ってるわ』


 領主様はどうやら上級精霊?と契約を交わしているようだ・・・外に精霊の魔力が溢れないように気をつけているみたいだけど、うちから溢れ出る魔力は抑えきれておらず、微量の魔力が常に領主様から漏れ出している。


 ・・・と、なんだかディーレからふふんと勝ち誇った様な、感情が流れ込んでくる。


『私は隠そうと思えば完全に力を隠すことができるわ』

「それで張り合ってるの・・・」


 どうやら、力を隠せる隠せないで張り合っていたらしい。

 相手が俺とディーレの存在に気づいていたのはディーレが力を隠そうとしていなかったからだ。


 そんなことで・・・最上級精霊が大人気ない、何て思っていたら、ディーレがくすくすと笑い出して、具現化し肩に乗ってこちらをジッと見つめる。


 でも魔力は隠しているみたいで、俺以外からは見えないようにしているな。


 そんなディーレは頬を赤らめながら呟いた。


『精霊が魔力を扱いこなせてないのは、所有者にも問題があるの。力が釣り合っていないと、あぁいうふうになっちゃうの。私と貴方が本当に釣り合っていて、お互いを信頼し合って、命を預けられるパートナーになっていないと・・・ね?』

「あぁ・・・そ、そういう」


 俺も頬が真っ赤になってしまう。

 つまりは、俺とディーレが誓約を交わして、お互いが夫婦みたいになってるから力を思う存分に振るえるってわけか。

 領主様はまだ『夫婦』とまではいかず『恋人』のような関係性であり、精霊が力を隠しきれていないということは所有者・・・つまりは領主様の力が精霊に見合ってないってことか。


『見合っていない・・・というよりかは、あの領主様が気づいていないってことかしらね』

「何が?」

『貴方みたいに正直じゃないってことよ』


 俺が頭に疑問符を浮かべていると、ディーレはフフフと笑いながら俺の肩で寛ぎ始める。


 馬車から身を乗り出して、街の風景をもう一度観察する。


 街中には水路が通っており、その水は美しく澄んでいる。小さな魚が泳ぎ回っていて、水の精霊の力が含まれているからか魚達も活き活きとしている。

 街も普通に賑わっており、先程の門番達の様に内外の者達を締め出す様な事をする・・・所為『閉鎖的』な魔族にも全く見えない。


 色んな種族が入り乱れているし、お店なんかも他の街とほとんど変わらない・・・少し違う所と言えば、見慣れない看板があるところだ。


 そこに置かれている品々はよく目を凝らせば、魔力が漏れ出しておりその品が普通の道具でないことがわかる。つまりは『魔導具』のお店がちらほらと見受けられる。

 さすがに、他の道具屋や武器・防具屋と比べれば数は少ないが、他の店よりも魔力が濃く漏れているし、なんとなく店の雰囲気が暗めなことからよく目につく。


 何を売っているのかはよくわからないが、ディーレとのデートの時にでも・・・いや、俺だけが熱中してしまいそうだからやめておこう。


 すると・・・


「なんだあの屋敷!? 精霊の力が半端ない気がするんだけど?」

『上級精霊の力がアリアリと感じ取れるわ。かなりの力が加わっているわね・・・下手な攻撃では一切傷つける事もできないわ』


 木でできた大きな建物・・・ドーム状に造られたそれは、一目見ただけでかなり精霊の力が注ぎ込まれている。木の継ぎ目から漏れ出る精霊の力は接着剤の役割を果たしているし、表面を覆っている薄い魔力の膜は魔法の威力を分散させる役目を果たす。


 領主様の乗った馬車はそのままドーム状の建物の前まで進み、領主様を下ろす。

 俺達もそれに続き、馬車を降りてドームの中へと歩いていく。


 領主様が先導して、俺達をドームの中に招き入れて、中を歩いて行く。


 ドームの中は・・・木の良い香りが充満しており、中に入ると匂いだけでリラックスさせられる。

 肩に乗ったディーレさんも思いっきり息を吸い込んで、木の香りが染み付いた空気を肺いっぱいに吸い込んで気持ちよさそうに俺の頭に体を預けてくる。

 精霊のディーレにとっては自然に囲まれている感覚なんだろう。


『ここの木々は生きているわね。普通伐採されれば木の生命は絶えるわ。でも、ここは精霊と何かの力で生かされているみたいね』

「へぇ・・・何かの力ってなんなんだろう」


 ディーレは精霊の力を敏感に感じ取って、魔力を手で撫でるようにして建物を構成する力を読み取った・・・けど、ディーレにもわからない力が働いているそうで、それは森に吊るされていたあの香炉から漏れ出ていた魔力に似ているそうだ。


 ・・・どうせなら領主様に聞いてみようかな?


「あの、すいません」

「はぁ・・・はぁ・・・あ、な、なんで・・・はぁ、しょうか?」


 あ、あれ?

 めっちゃ疲れてる・・・。


 さっき馬車を出た時には顔色も回復していたのに・・・今はもう紫色に変色している。


 そう言えば・・・よくよく考えてみたら、俺たちが通用門で押し問答していた時に、領主様はこっちに急いで向かっていた・・・けど、通用門の前まで馬車できてるよなぁ?

 つまりは、『領主様自身』が急いだのは通用門から俺達の場所まで200m程だ・・・それに走ってはいたけど、すっごく遅かった。


「えっと・・・大丈夫ですか?」

「あぁ・・・大丈夫だ・・・よ。研究室でこもりっきりだから・・・ね。ちょっと・・・運動不足なだk・・・オロロロロロロ」


 うわぁ・・・吐いちゃった。

 いつも持ち歩いているんだろうか、ポケットからサッと取り出したエチケット袋に迷いがなかった。


 一頻り吐いてスッキリしたのだろうか。エチケット袋を手際よく結んで近くのゴミ箱に捨てて、何事もなかった様に、俺の質問の続きを待った。


「あ、えぇと、ここの建物って、精霊となんの力でできているんですか?」

「あぁ、やっぱり君も精霊使いだったんだね! ここは、僕が契約してもらった精霊さんと、僕の知識の髄を尽くした魔導具の結晶なんだ!! ドーム状にしたのは魔導化学の結晶とも言えるカッツェルの定理を使用した最先端の魔導学を利用しているんだそれにこのドームに費やした精霊さんの魔力が相乗効果を成し遂げることによってどうしてだか出来上がった魔法陣の威力を最大限に生かしてドーム事態を魔導具化することに成功してさらにさらん」

『煩い!! バカティウル!!!』


 突如として、領主様の頭上に大っきなフライパンを片手にした精霊が現れ、片手のフライパンを領主様の頭へと思いっきり振り下ろした。


「ぁグゥウゥゥゥゥ・・・。い、痛いよ、ゼルティア」

『いっつもいっつも魔導具魔導具!! ちょっとは私の相手もしなさいよ、バカティウル!! それに今は、お客人さんの質問でしょ、同業の研究者に言うみたいにじゃなくて、素人にもわかるように説明なさい、バカティルのバカ!!』

「あ、あぁ、すまないね。いつもありがとうねゼルティア」

『ふんっ!!』


 ピンク色の髪をツインテールにした小さな精霊・・・濃密な魔力を渦巻かせているのが、領主様の契約している精霊なんだろう。

 何となく『繋がり』が俺達程強く感じ取れない事から恐らく『誓約』ではなく『契約』を交わしているのだろう。


「まぁ、簡単に言うと施設自体が、魔法に掛かっている様なもんでね。ドームの補強をゼルティアに任せてたんだけど、それと僕の魔導学を組み合わせたら、思わぬ反応が起きてね。いやぁ、最近はもっぱらそれの研究でねぇ・・・ゼルティアと一緒に遊んであげれませんで」

「俺も最近ずっとディーレさんをほっぽっちゃって・・・その気持ちはわかりますよ」

「あぁ、わかってくださいますか・・・ゼルティアは母の様にうるさくて」

『誰がうるさいよ!! だ・れ・が!! あんたが何もできないから私がやってあげてるんでしょーが!!』


 ゲシッと顎を蹴り上げられ、後ろに倒れていく領主様。

 ゼルティリアが倒れこんだ領主様にキーキー騒いでいると、後ろからついてきていたアンネさんがひょこひょこと俺の方にやってくる。


「どうしたの?」

「サテラとミリエラがお手洗いに行ったわ・・・あの双子ちゃん達が急におしっこなんて言うもんでね」

「あぁ、了解」

「私はここで魔導具の商談をちょっと進めてみるわ・・・ちょっと手強そうだけど頑張らないとね」


 双子ちゃんがいなくなってしまって、サテラとミリエラもいなくなれば・・・後はアンネさんしかいないわけで、アンネさんはずっと商談のことに集中している。


「ディーレはこの街でどこに行きたい?」

『自然の多い場所がいいわ。そうね・・・おっきな水路があったら、そこを船でゆったりしたいわ・・・二人でね』


 ニコッとディーレが告げる。


 実は馬車でサテラにどこがいいのか相談したけど、精霊が好む場所はわからないと言われてしまった。

 それなら、ディーレに正直に聞いて、本当に二人で楽しく楽しめる方がいいわ・・・とはサテラさんだ。


「も、もう応接室がそこだから、ね、ね! お説教は後で聞くから」

『もー・・・戻ってきたら朝まで説教だからね!!』

「か、勘弁してぇ」


 終始、契約している精霊のゼルティアに怒られながら、応接室へ入っていく。

 二人は双子ちゃんをトイレに連れて行ってる事は告げておいた。


「では・・・改めまして、『魔導国:カラドウス』の領主、『カーティア・パウル・アズゴリア』だよ。宜しくね」

「宜しくお願いします。カナード様から紹介されていると思いますが、人間の住む地から参りました」


 ニコニコとした領主様はゼルティアを肩に乗せながら、簡単の挨拶を終えると椅子に座り、俺たちに前の椅子に座るように促す。


 ・・・話は簡単だ。

 ここに来た目的は何か、案内はいるのか、この街の特徴は云々・・・である。


 そして、話は突如として個人的なものへと移り変わった。


「そういえば、君も精霊使いだったよね? どこで出会ったんだい?」

「あぁ、偶々泉で出会いまして・・・その日に『契約』を結びました」

「へぇ、運が良かった・・・で、済ましていいとは思えないけど凄いじゃないか! 僕なんて10年も通いつめて漸くお返事がもらえたんだよ・・・『ダメって』、そしてそこから更に20年、毎日毎日通いつめて、漸くOKが貰えたんだよ」


 合計して30年も掛かったってことか!?!?

 俺なんてディーレさんと出会ったその日に誓約を結んじゃったくらいなんですけど・・・


『あの領主にはよっぽどの才能があったのね。もし才能がなかったら100年掛かっても、1000年掛かっても遊ばれて終わりね』


 ・・・よほどの才能があって、30年ですか。


 っていうか、そんなに時間が掛かってるって事は、いったいこの人は何歳なんだ?

 見た目からして、まだ30前半か20後半ってくらいの年なんだけどなぁ?


 でも、年齢を聞くのはまずいか?


「だから・・・あ、そうそう。僕はね」


 そして、次に出た領主様の言葉が、俺を驚愕させた。


「この見た目で何年生きているんだって思うよね? 実は、『ハーフエルフ』なんだよ。だから、長命で年齢も若く見えるでしょ?」


 ハーフ・・・エルフ?

 つまり、ミリエラとほぼ同じ種族じゃないか!?


 俺は驚いた。

 エルフは人間からしたら幻とも言える種族で、ミリエラ自身も他のエルフと会った事はないって言ってた。エルフは昔の大戦で、皆んなバラバラになってしまって、もしかしたら他のエルフ達は滅んだかもしれない・・

 って言ってたし、ここで会えるなんて思ってもいなかった。


 アッハッハ、と気軽に笑う領主様に、俺はミリエラのことを告げようとした。


「実は・・・!」


 “ミリエラがエルフだという事を話しますか? YES/NO”


「え・・・ぇ?」

「どうかしました?」


 不意に出てきたナビちゃんの選択肢・・・それについつい、びっくりして素っ頓狂な声が出てしまった。


 ミリエラがエルフだということを話しますか・・・だって?

 そりゃ相手はハーフエルフの、しかも領主様だし話してもいい筈だ。


 YESで


 ”本当ですか?”


「え・・・?」


 ミリエラの話を出そうとした直後・・・ダメな選択肢を選んだときのそれが発動した。


ハーピーの観察日記

1:森の巡回を強化。

2:配下1000名突破。

3:ケイバにて、ナーヴィ様・コクヨウ様が出場予定。


宜しければ、本文下にある評価の方是非ともお願い致します!

遠慮なくこの物語を評価して下さい!!


何か変なところ、見にくい、誤字だ!などがあればどしどし教えて頂けると嬉しいです。

(言い換えでこういうのがありますよなどが合ったら教えてください。例:取得→習得、思いやる→慮る、聞こえる→耳に届くなど)


感想や活動報告の方にコメント頂けると私の気力になりますので気軽にどうぞ!

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[気になる点] 森海戦争編 森人:カラドウス領主でした! で 魔法に秀でた"ヨウキ"よりも魔力が高い とありますが、 "ヨウキ"ではなく、"シロタエ"ではないでしょうか? 自分の勘違い…
[一言] つかどんなに馬鹿でも精霊が絡んでるなら精霊出しゃ済むんじゃねぇ?
2019/11/29 10:03 退会済み
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