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現状:訓練の翌日でした!

遅くなってしまい申し訳ございません。

仕事の方が忙しく、来週の後半には落ち着くとは思います!

次話投稿は一週間以内です!

 深い闇の中から、意識が覚醒する。

 暖かい日差しが降り注ぎ、あるのかわからない自分の目を照らす。

 目がないのに眩しいとはこれ如何に?

 とは思うが、それがこの世界の法則なんだから仕方ない。


 心地よい微睡みの中から、意識を半ば強引に引き上げさせ、周囲の光景を受け入れる。

 藁を敷布団、ハルウを枕、ユキを布団にした天然の高級ベッドを出るのは些か不満ではあるが、いつまでもこのままという訳にはいかないだろう。


 気だるげな体に鞭を打って、起こす。

 それに気づいたのか、ハルウとユキが目を覚ます。

 ワフゥと大きい欠伸を一回して、眠くて暖かい体をプヨプヨボディに擦り付けてくる。

 カワイイ。


「おはよう。ハルウ、ユキ」


 ハルウとユキは寝ぼけてフラフラとして体を、前にコクっと倒し、おはようの挨拶をする。

 気づいたのだが、ハルウ達は「言葉」を喋ることができるのだが、あまり喋ろうとはしない。

 普通にしゃべれるようだが、まだ言語に親しみがないせいで、俺に何らかの意思が伝わらない時に限って、言葉をしゃべる。

 最後に言葉を発したのは、ナーヴィの「ハラヘッタ」であった。


「起きたの?よく眠ってたわね」


 小さい精霊のディーレさんがヒラヒラ飛びながら、目の前に現れる。

 ちっちゃくても、その美しさは変わらないものだ。


 キラキラと、陽の光を浴びて輝く翅と、陽の光を反射して透き通った水のごとくあおい瞳。

 しかし、見た目に反して膨大な精霊力を内に秘めた最上位精霊がそこにいた。


 ディーレさんは、昨日コボルドとゴブリンの回復作業にかなりの精霊力を使用したようで、早々に俺の中で眠ったのだが、今は元気に外に出て飛び回っている。


 何でも、数百年ぶりに外に出て、楽しんだようだ。

 周囲にいた低級の精霊や妖精は、気が気でないだろうが・・・。


 何はともあれ、ハルウ達のご飯を用意する必要がある。

 ハルウ達の主食は魔物の肉である。


 肉といっても植物プラント昆虫ワームでも大丈夫。

 まぁ、昆虫を捕食している姿は見ないようにしているが。


 取り溜めの様なものができないせいで、餌はその都度調達する必要がある。

 亜空間に収納できる、四○元ポケットなどはないのだ。


 あれば、かなり便利なのだが、そんな都合良くあったりはしないのだろう。

 当面の間は我慢して、冷蔵庫みたいなのを作れれば・・・


 “専有スキル「アイテムボックス」を習得。初期値:100kg”


 ・・・ナビちゃんお久しぶり。そしてお帰り、タイミングの悪さ・・・

 マンイーターを倒した時に発言して欲しかったのだが、なぜこうもタイミングが悪いのだろうか。


 ふむ。自分の視界の中に、アイテムボックスが追加されているのが目に見える。

 無限に収納することはできないようだが、それでも100kgもの内容量がある。


 試しに、少々大きめの石をアイテムボックスに放り込むことにする。

 すると、目の前に渦巻く穴が現れ、その中に石が吸い込まれていった。

 再びアイテムボックスを選択すると、リストが表示される。


 その中で石を選択し、使用するを選択。

 すると、手の中に先程の石が出現する。


 なるほど、これは便利だが、量が多くなると取り出しづらくなるに違いない。

 ショートカットのようなものを作成できないだろうか、他にもカテゴリでわけたり出来ると便利なんだが。


 視界の端を触手でイジっていると、カテゴリや、ショートカットが出現した。

 ゲーム画面は本当に素晴らしい。


 カテゴリは、物の種類やレア度などで区別できるようになった。他にも重量や属性などからもカテゴリ分けできるようだが、今は何も持っていない状況なので、後々試していこう


 ショートカットは右下の視界の隅に、アイコンの様な物が現れる。

 それに少量の魔力を注ぎ込むと、使用できるようになるようだ。

 物だけではなくスキルも登録できるようで、戦闘の幅がさらに広がるだろう。

 しかし、今は三つしか登録できず後々増えていくことを期待する。


 さて、そんなハプニング?があったところで、ディーレを肩に乗せて、外に出る準備を始める。

 ディーレは非常にご機嫌で、ハルウとユキはナーヴィとモミジを起こしお座りしている(ナーヴィとモミジ眠そうだ)。


 まだ、日が昇ってから少ししか経っていないのでまだ眠っていていいのだが、折角だし皆で森の中へ行こう。


 準備が整い、ナーヴィとモミジも目が冴えたところで、外に出る。



 そして、目の前に広がった光景を見て愕然とした。


 網膜に焼き付く無数のコボルド達、直立不動のまま岩のように動かず、前に立った九体のコボルドを筆頭に全コボルドが整列して並んでいる。


 筆頭に立ったコボルドの内、刀を腰に帯びたコボルドが、悠然と前に進み出る。


 そのまま俺の2m程前で歩みを止め一礼する。

 そして、ゆっくりと腰を下ろし、正座へと移行する。後ろに控えているコボルドもそれに続いて一礼の後正座する。

 腰に帯びた刀を鞘ごと抜き、それを自分の右側へと置く。

 やがてゆっくりと頭を下げ、拳を地に突き立て・・・土下座の構えを取る。


「先日は我が同胞。コボルドが失礼を働いたようで、申し訳もない。如何様な罰もお受けする所存。どうか寛大な処置をお願い致します」

「え? あ、おう。別に気にしてないぞ」


 全コボルドが、俺に対して頭を下げ土下座する様は圧巻である。

 筆頭に立っていたコボルドは薙刀、小太刀、無手?と続いて、昨日の突っ掛ってきたコボルド達だった。


「昨日は、すまなかった。あんたの事を見縊っていた。俺はどうなってもいいが他の奴らには手を出さんで欲しい。頼む」


 最初に俺に突っ掛かってきたコボルドが、俺に頭を垂れて言う。

 それに続いて、それなら俺達もと、頭を地面に埋めさせる勢いで擦りつけている。


「どうするの? やっちゃうの?」

「流石にそんなことはしないよ。俺だって鬼じゃあないんだし」

「昨日は鬼軍曹だったのに?」

「ディーレさん、それは言わないで欲しい・・」


 無意識で心を抉ってくるディーレさん酷い。

 ディーレさんは口元を手で押さえてクスクスと笑っている。

 美人だから許す。


「まぁ、その・・・なんだ。気にしてないって言えば嘘になるけど、このまま引き摺ってても仕方ないし、以後気をつけてくれればそれでいいよ」

「そ、そんな・・・どんな罰でも受ける! あんたに俺の持てる全てを捧げてもいい!だから・・・何でもする。何か罰を与えてくれ」


 周りのコボルドたちが何やら非常に怯えているようだが、なぜだろうか?

 しかも、折角無償で許してやると言ってるのに、罰を進んで受けるとはいったいどういうことだ?


「魔族の中では無償で何かをすると言うのはほぼありえないのよ。大体が対価を要求し、相手がそれを支払うのよ。それを無償で済ますってことは、相手を許さず、怒りが治まりきっていない、またはその支払う対価に満足できていないってことになるのよ。」


 ディーレさんがこっそり魔族としての常識を俺に耳打ちしてくれるが・・・


「はて? 俺はいつ「魔族」になったんだ、「魔物」じゃないのか?」

「あれだけの力を見せつけたのだし、あなたを「魔物」と見れる訳がないわ。純粋な「魔族」だと理解したそうね。コボルドにとっては貴方は恐ろしい存在であり、畏敬の念を求める存在なのよ」


 なるほど。俺はコボルド達にしっかりとした立ち位置を植え付けることを成功したらしい。

 つまり、「信頼」を得たという所だろう。

 では、ここは一つ


「お前達の言い分はわかった。なら、族長の下を離れ、俺の軍門に降れといったならどうする?」


 コボルドたちは驚きに目を見張り、俯いてしまう。


 それもそうだろう。コボルドにとっては族長というのは神様と同義なのだ。

 それを裏切ることは、自分の忠誠とプライドを切り捨てることになる。

 かといって、俺に「何でもする」と言った手前、俺の提案を無碍むげになどできるはずもなく、もしここで断れば自分だけでなく、ほかのコボルドにも被害が出てしまう可能性がある。

 そうして、コボルド達は激しい葛藤と戦う羽目になっているのだ。


 コボルド五体は結論を出せず、額を汗が伝う。

 時間が経てば経つほど俺の機嫌を損ねると考えているのだろう。


 まぁ、それに救いの手を伸ばしてもいいが、俺としてもこいつらの覚悟を知っておきたかったのだ。

 時間にして約一分。遂に彼らは顔を上げ決断を下した。


「あなた様の軍門に下ることをお許し下さい」


 彼は苦渋の決断を下したのだ。


 周りのコボルド達は悲痛な面持ちで彼らの決断をみやったのだ。

 そこに、裏切りに対しての負の感情は見受けられないことから、彼らの事を称えているのだろう。


「そうか。・・・冗談だ。お前達は今までどおり、族長に仕えればいい」


 五体のコボルド達は何が言われたのか分からずキョトンとして、直ぐにハッとした様子でこちらを見上げる。


「お前等の選択、しかと見させてもらった。あまり気負うなよ。俺はそこまで怒ってない。お前等の覚悟を見てみたかっただけだ。よくやったな」


 そうしてニコッと笑う(顔があるのかわかr以下略)。

 ここまで、覚悟を見させられれば、俺も男として思うところがあった。


 ハルウを降りて、俺はそいつらの下まで歩み寄り、触手で頭を撫でてやる。


「自分の誇りとプライドを捨て、仲間を救う方を選んだお前達に俺は感動した。罰は、今俺がお前達に与えた、一つの試練だ。よく頑張ったな」


 一度でも自分の誇りとプライドを持ってしまえば、それを捨てるのは難しい。

 自分の信念をへし折る事は、どんな者でも避けて通る。


 それを仲間のためと、自分を曲げてまで守ったのだから、見事としか表現のしようがない。


 さて、どう出・・・・・・る?


 五体のコボルド・・・いや、その場に居合わせた全コボルド達が、涙を流し感涙にむせび泣いている。

 刀コボルド達四人衆も同様に涙を流して、俯いてしまっている。


「あっるぇー? 俺何かしでかした?」


 ハルウ達は胸を張って、さすが主と言わんばかりの様相をしている。

 ディーレは俺の疑問に苦笑を持って返してくれる


「うーん、多分だけどね、貴方昨日の訓練でコボルド達の信用を得ているのよ。それでね、ここまでコボルドたちの忠誠こころに深く突き刺さるような、甘い囁きをすれば、当然こうなるわよね」


 つまり、俺は自分の不注意な発言で、コボルド達の心に響く、感動の雨を降らしたそうな・・・。

 決して、意図したわけではないとは言えない。

 しかし、「コイツはいいやつだ」程度に思われればいいなーっと思っていただけなのである。


「我らコボルド、先日の訓練より、貴方様に逆らうまいと信用はした。そして、罰を受けようと、昨晩は己の命を散らす決心もした」


 五体のコボルド達は、深く地面に頭をめり込ませたまま、震える声で話を続けている。

 大地に突き立った拳は、自分の血により、赤く染まっている。


「我等の無礼を許して頂くだけでなく、我等の生き様を見事だなどと。我等一同、貴方様に感服致しました」


 顔を上げ、俺の顔をじっと見据えて、涙を拭い去る。


「貴方様にすべてを差し上げたい所存。しかし、現族長に忠誠を誓った今それは叶いません。あなたのような方に渡すものではありませんが、せめてこれを受け取ってください」


 そう言いながら全コボルドが腹の毛を一本抜き、俺に差し出した。

 なんでもそれは忠誠とは言えないまでも、信頼の最上位の表現だそうだ。


「お、おう。ありがたく受け取っておくよ」


 取り敢えずは信頼を得た。

 明後日の強襲作戦には最低限必要な物である。


 コボルド達が腹の毛を俺に差し出し終わった後、コボルド達はスッと立ち上がり、ピシッと気を付けの体制をとっている。


 そろそろ道を開けて欲しいのだけれど・・・

 ふむ、様子がおかしいのである。コボルド達はさっきとは一転して、鋭い視線を俺に送っている。

 それは、憎悪や恨みなどではなく、何かを俺に期待した視線なのだ

 俺が困惑していると、同様にコボルド達もその表情に困惑の表情を浮かべる。



 すると、刀を持ったコボルドが困惑の表情から何かを閃いたと言わんばかりの表情になり、焦ったように一歩前に進み出て、クルリと後ろに振り返る。


「全員整列!! 彼の御方はお前達の立ち居振る舞いに、不快な感情を持っているのだ!! 全員一分も動くな!!」


 すると彼らは疎らに立っていた位置から、最前列に立っている九体のコボルドを基準に整列を始める。


 俺は一体何が起こっているのかも分からず、目を白黒させているというのに、勝手に話が進んでいる。

 やがて、整列を終えたコボルド達の下に、後方から走ってきたゴブリン達も加わる。

 ゴブリン達もコボルドと同様に整列すると、またもコボルド達と同じように俺の顔を覗き込む。


 うん。流石にここまでされてしまうと気づく他ないだろう。

 訓練だ。昨日の俺の訓練から、こいつらは俺の事を教官だと思っているらしい。

 昨日のはちょっとした事故でああなってしまっただけで、今の俺は通常状態なのだ。


「え~とな、俺にはちょっと荷が重いというか・・・なんというか」

「何を言いますか!!御方以外に適役などおられますまい!のう、皆の者?」

「そうです。私たちは御方に付いて行きたいのよ」

「ゴブリン達には預けられぬが、御方になら私たちは付き従う所存でございます」


 ・・・ダメだこりゃ。ゴブリン達をまだ信頼していない。

 流石に昨日の今日では難しいようだ。

 長年歪みあっていたのだから仕方ないだろう。


 俺に心酔しているだけであって(意図していなのだけど)、ゴブリンの事はまだ信頼とは程遠いのだろう。


「はぁ~、まぁ仕方ないか」

「どうするの?また昨日みたいに私と一緒に戦う?」


 深い溜息を吐いていると、ディーレが心配そうにこちらを覗き込んでくれる。愛でたい。

 しかし、昨日の訓練は俺への信頼を得たが、ゴブリンとコボルドの協力関係の決定的な改善には至っていない。少しは心を許しあってはいるが、まだ背中を任せるのは難しいだろう。


 そうなると・・・


「ゴブリンとコボルドの信頼関係の構築且つ、屈強な心身の構築が必要か・・・」


 今回の戦争には信頼の他にも、こいつらのレベリングも必要なのだ。

 俺との乱戦ではレベリングはできない。

 ただレベリングをするとしても後一日しかない現状では非常に難しい。

 魔物も遭遇するのに結構な時間がかかるのだ。

 付け焼刃でどうにかなるはずが・・・待てよ、どうにかできるかもしれない


 あの状況であり、俺のゲーム脳が囁く法則がこの世界にも当て嵌るのならば、レベリングも容易いものとなる可能性がある。


 確実に大丈夫という保証はないが、成功すれば一日でも非常に実りのある成果が得られるのだ。


 これで行くしかない・・・。

 人間ならあすに備えて休息を取るだろうが、魔物にとっては前日の怪我など、治癒してしまえばどうってことはない。


 こんなギリギリの瀬戸際で思いついたおれのゲーム脳から発揮される可能性に身を委ね、俺は言った。


「では、今日の訓練を始めよう。今日の訓練は・・・」


 その言葉を聞き、誰もが目を見開いた。


さぁ、いよいよバトルパート!!

次話は主人公視点から外れます!


ブックマーク登録50件登録ありがとうございます!!

今後とも頑張らせていただきます!!


何か変なところ、見にくい、誤字だ!などがあればどしどし教えて頂けると嬉しいです。

(言い換えでこういうのがありますよなどが合ったら教えてください。例:取得→習得、思いやる→慮る、聞こえる→耳に届くなど)


感想なども気軽にどしどし送ってくださいね!

活動報告(私の雑談場)の方にもコメントどうぞ!

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