人魔:魔都ベルン・・・でした!
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騒動は続きます。さて、魔族領についた主人公を待ち受けるのは・・・。
あれは・・・まさか・・・『魔王』!?
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第124話 人魔:魔都ベルンでした!
『魔族』・・・前世での知識で言うなれば人類の敵である魔物を従え、傍若無人であり殆どの場合が敵である事が多い。人間と比べ個々のステータスが強く、人間と同じ様な知性を持っている。
人間に近しい姿形であっても、どれもが異形種であり人間とは相容れぬ存在である。
そして最も魔族を魔族たらしめる存在・・・『魔王』の存在である。魔族と魔物を統べる最強の存在であり、その強さは人差し指で人間を消し飛ばしてしまう程の強さを持っている。
振るう拳は大地を砕き、唱え放つ魔法は天を割る・・・そんな凶悪な存在。
まぁ、そんな話はともかくとして、拝啓親族親戚友人一同お元気でしょうか。俺は元気ではなく、死ぬか一歩手前です。ではさようなら。
「・・・お主が娘を誑かした魔族か?」
『魔王』・・・そんな存在が今、己の眼前に全身から殺気を立ち昇らせながら居るとしたなら、正気を保って居られる者が果たしているのだろうか?
身長は3mを超えるんじゃないかと思わせるほどの巨躯。大きな瞳は細められ、紅く光る瞳が凄まじい気を放ちながら足元で小さくなる魔族を見下ろしている。髪の色は白く、顔に刻まれた皺と傷跡は歴戦の戦士のそれを感じさせる・・・が、それよりも頬を覆う鱗が眼前に立つ老兵が人間でない事を如実に物語っている。
胸の前で組まれた腕には青い鱗が纏われており、地面を踏みしめる足は人間のそれではなく、大きな爪が3本生えた足があった。
背中には巨大・・・というのも烏滸がましい程に巨大な太刀を帯刀し、禍々しい気の様なモノがそれから発されている。
この太刀で切られたのなら、ダイヤモンドで作られた鎧でさえ一撃で断裂されてしまうんじゃないかと思わせる程に、凶悪なそれを感じる。
あぁ、俺はここで死ぬわ。確定したわ。
「あ、あの、た、誑かしてはいないんですけどぉ」
「言い訳は無用だ。其の力で語るが良かろう」
背中の巨大な太刀を平然と片手で引き抜き、俺の鼻先へ突きつけられる。
圧倒的な殺意の波動を突きつけられて、これはもう逃げられないなと覚悟を決める・・・あぁ、覚悟を決めたのはヴァンとした戦闘訓練以来だなぁ。
刹那・・・殺意の波動が膨れ上がると同時に、鼻先に突き付けられた太刀が押し出される。寸前で溶けることでなんとか回避に成功するが・・・これまで戦ってきた相手とは格段に違う。
殺意の波動を感じ取れていなければ、今頃俺の顔を太刀が貫いていた筈だ・・・筋肉の収縮、呼吸の乱れ、視線のブレを一切感じさせることなく攻撃に移った。
攻撃の予備動作の一切が省かれ、殺意だけを俺に向けて一撃を見舞った。
お得意の溶ける芸当で相手の意表をついたんじゃないかと視線を上げてみれば・・・あぁ、俺のことをじっと見ていらっしゃる。
筋肉でパンパンに膨れ上がり、鱗に覆われた足を自分の顔面よりも高々と上にあげピタリと静止した直度、空気が引き千切られる音と共に残像を残しながら足を振り下ろす。
踵が床に溶け落ちた俺の頭上を捉え、地面に突き刺さる。
ドゴンと、ハンマーを振り降ろしたような音が周囲に響き渡り、衝撃波が辺りに広がる。
「手応えなしだな」
「魔法:ファイアーボール」
振り下ろされた踵をスライム状のまま後方へ飛び退り避け、即座に人間形態へと移行して魔法を唱えた。
掌から人間の頭程の火球が放たれ、老兵魔族へと一直線に飛来する。
老兵魔族は笑止と笑い、一刀の下に切り裂こうと達を振るうが・・・予想通りだ。
「ファー!!」
『まっかせてー!!』
突如、老兵魔族の眼前に迫った火球が蒼く変色し、一瞬の内に膨れ上がったと思った瞬間に爆発を起こす。
老兵魔族は眼前で突如爆発した魔法に対処できるはずもなく直撃を受け、爆炎の中に閉じ込められていった。
放った通常の魔法に、予めファーと一緒に練っておいた魔力を譲渡したのだ・・・通常の魔法にあとづけて力を加えたわけだけど・・・結構派手に爆発しちゃったけど大丈夫かな
辺りを煙が舞い、爆発の直撃を受けたであろう老兵魔族の方を見ると・・・ヌッと煙の中から突き出された手が現れる。
突き出された手が横薙ぎに振るわれると、周囲を覆っていた煙が全て払われ、無傷の老兵魔族が現れる。
「『うっそー!?』」
老兵魔族は太刀を構えなおし、ニヤリと口角を上げると俺に殺気を迸らせながら、最悪な言葉を吐いた。
「準備運動はこれでいいな? さぁ、いざ参る」
ど・う・し・て・こ・う・な・っ・たーーーーーー!?!?!?!?!?
太刀が空気を切り裂く音が周囲を占領し、再びスライムと老兵魔族が激突した。
さて、事が起こってどうしてそうなったのかは、今から少し遡る。
例によってアンネさんが所有する最高級馬車で揺られながら、俺たちは移動していたわけだ。場所は『魔都:ベルン』・・・俺達が依頼で助けたメリナちゃんのお父さん、『メフィルトネ・ガドイン』様が収める魔族の領都へ足を運んでいるのだ。
「はい、あーん」
「「あー」」
「「・・・・・・・・・」」
さて、双子のイアとメアが壮絶なあーん争奪戦をする中で、サテラとミリエラはルキナとメリナ様を踏まえて話し合い、後ろの馬車では『反省中』と書かれた木札を首から垂らしているコクヨウ・ヨウキ以下配下達が入っている。
サテラ達の会話は主に『亜人』の話について・・・その中でも特に『魔人』についての話をしているようだ。
驚いた事に、ルキナさんは魔人だ・・・。魔人とは言っても魔族の方に近く、人の形をとっている時は、顔以外は鱗が生えているらしく、『人と竜人』との間であるらしい。
俺のイメージでは人と魔族が交配する事によって生み出されるとそうなるのかと思ったが・・・どうやら、そんな簡単な話じゃないらしい。
契約がどうのこうの、種族相性がどうのこうの・・・ゴブリンやオークはどうのこうのと難しい話をしている。
ミリエラはとうの昔に聞く事を諦めたのか、イアとメアに自分が作ったサンドイッチを交互にあーんしている。
エルフもどうやら関係した話みたいだし、ミリエラもちょっと特殊らしいから聞いた方がいいんじゃないかと思うんだけどなぁ。
道中は暗雲が漂い、雷鳴轟くあたかも魔界・・・ではなく、長閑な平原が続く人間の領地とさして変わらない。
魔族領と聞いてかなり身構えていたが、人間のそれとなんら変わりはないし・・・言うなれば少々長閑すぎるくらいだろうか。
舗装されている道はなく、馬車の姿は一つもない。人っ子一人・・・魔族領に入っている筈だけど、これまで魔族の姿は一度も見ていない。
「もうそろそろ右方向に移動して欲しいです」
この馬車を操作しているのはアンネさんで、行く先の方向はメリナ様が逐一報告している。
しかし、どこか不自然だ。
何もない平原を何故かクネクネするように移動している。街まで普通に一直線に行けば早い筈だが、何故か右へ左へクネクネしている。
「えっと、なんでクネクネ移動してるんですか?」
そういうと、メリナ様は困った顔をして、ルキナさんがはぁと溜息をつく・・・あれ、なんか変な質問しちゃったのか?
「魔族には『五柱』と呼ばれる魔王様方がいる。それぞれが領地を持っていて、魔族は生まれながらにしてその領地の者となる。その者が他領に足運ぶのは理由がなければならない・・・そしてメリナ様は魔王の息女様よ」
あぁ・・・成る程。
魔族にも人間と同じように王様っていうのがいるそうだ・・・が、メリナ様の表情を見る限りではあまり仲がよろしくないらしい。
故に他領に入ることは事情がない限りは不可能ってわけだ・・・魔王といえば唯一にして最強みたいなイメージがあったけど、もしかしたらそんなことないのかもしれないな。
「見えましたよー!!」
馬車から身を乗り出してみれば、目の前の平原の一角に街が広がっていた。
人間の街のようにレンガで作られた家屋が並んでいる・・・わけではなく、殆どの家がどうやら砂や泥で固められた家のようだ。
その真ん中に聳え立つのは魔王城・・・・・・・・・。
いやいやいや。
「どうしたの?」
サテラが俺の表情を見て首を傾げる。
そりゃそうだ。俺の目には街の真ん中にあるのはアレにしか見えないんだから・・・いや、もしかしたら見間違いかもしれないし今は明言を避けよう。
街には魔物や外敵の侵入を遮る為の外壁は設けられておらず、どこからでも入る事が可能らしい。
何故、外敵から身を守る為の外壁がないかと言えば、『どうせ戦争になれば魔王や強い魔族の一撃で破壊されるし、結局乱戦になるから邪魔』という至極魔族らしい大雑把な理由だった。
ガラガラと馬車を引き、一応は正門という場所まで到着する・・・勿論兵士や憲兵が立っている事もなく、正門付近はしんと静まりかえっている。
これが魔族の街の普通なんだろうか・・・。
「・・・おかしい」
「えぇ、おかしいです」
と、ルキナさんとメリナ様が街の様子が変だと眉をしかめる。
どうやら、さすがに魔族の街と言えどこの静けさは異常らしい・・・普段は『竜人』の魔族達が街の中を行き交っていたり、外では子供が遊んでいるらしいのだけど、今は魔族の姿は一つもなく全ての家やお店?らしきものは締め切られている。
正門から一直線に伸びる一本の大きな道は魔王城(仮)まで繋がっているそうで、異様と感じながらもその道を通って行くしかなさそうだ。
砂で固められた家が両脇に幾つも建てられており・・・その中からは誰かの気配を幾つも感じ取れる。そのどれもが通りを進む馬車の音を聞くと身を竦め、息を潜める。
周囲掌握で調べてみれば、多くの魔族達が建物の中で隠れているのがわかる。
「一体なんなんだ?」
異様な気配を感じながら、魔王城(仮)の元まで辿り着く。
さてと、魔王城(仮)の正式名称のお出ましだ。
「ここは」
「あぁ・・・たぶんなんだけどさ」
「はい?」
「『道場』じゃない?」
「あ、あれ? なんで知っているのですか?」
城門脇には大きな道場旗が掲げられており、見たことのない文字が達筆で記されている。そして門には木の板が無造作に打ち付けられ、こちらもまた見たことのない文字が達筆で掘られている。
石垣で固められた城壁?に、瓦で作られた屋根・・・何処となく漂う木の香りからして、これを道場と呼ばずしてなんと言えようか。
街の中心にかなり巨大な道場が鎮座しており、それはかなり離れた馬車の中からも伺えた・・・まさかとは思ったがやっぱり見間違いじゃなかったか。
「他の魔王領や人間の街にはおそらくないと思うのですが・・・どこかでうちの魔族領を知っていたのですか?」
「あぁ・・・いや、なんといいますか、はい・・・」
メリナ様が驚いたような表情をしているが、正直驚いたのは俺なんだよなぁ。まさかこんな超絶異世界のど真ん中で前世の伝統的な建物を見る事になるとは思わなかったよ。
それと・・・うん。嫌な予感はやっぱりやってきたよ。
道場の中には何人もの魔族が殺意を漲らせながら待ち構えているんだもんなぁ。
「コクヨウ、ヨウキ、反省中の札を外して出てきなさい! ナーヴィ、ソウカイ、フゲン、ルリ戦闘準備!」
俺の声を聞いた瞬間、後方の馬車から全員が飛び出す。
全員が身体から殺気を迸らせながら眼前に悠然と佇む道場を見つめ、その中から漂う気配に眉をひそめる。
「完全に殺る気だな」
「若いというのはいいものだが、気配を漏らすのは二流だな・・・それとも侮られているのか?」
「殺るか殺られるかだねぇ」
なんだか一気に物騒になってしまったけど、仕方ないよな。
全員の戦闘準備が整ったと同時に、城門がゆっくりと音を立てて開いていく・・・うぅん、道場で魔王城の雰囲気出されても反応に困るな。
さすがのサテラも平和的解決を諦めたのか、仕方なく腰に帯びた剣を引き抜き、ミリエラは精霊と話しながら回復魔法の準備を始めている。
ルキナさんは俺達が気づかない内にそそくさとメリナ様を安全な場所に退避させていた。
・・・道場に足を踏み出す。
道場の中には多くの魔族が正座しながら静かに・・・それでいて激しい殺気を迸らせながら、こちらを睨みつけている。
道場に全員が揃うと・・・道場の最奥に座る、背中を向けた魔族の側に立っている秘書?の様な魔族がスッと立ち上がった。
「よくぞ参った。客人よ・・・と申したいところだなのですが、貴殿らを快く歓迎する者はおらんという事はわかってくださいますね?」
「えぇ・・・まぁ」
「カナードから話は聞いているのですがなにせまぁ、親方様がご乱心にならr・・・ウォッホン! 大層怒っていらっしゃるのですよ」
そうでしょうねぇ。恐らく、その親方様と言われた方の背中からだけは殺意というモノが感じられなくて、ほんっとーに怖いとしか言いようがない。
だって・・・この俺が何も感じ取れないし、周囲掌握にもあの魔族の姿は写し出されていなかったんですもんネェ。
「つきましては、代表者の方にご登壇願えればと思うのですがねぇ・・・」
当然全員が俺の方を見るわけで、俺が登壇するしかなくなるわけだよネェ。
「まさか・・・貴方?」
「あ・・・はい」
「・・・・・・治療班は用意しますので、どうか頑張ってくださいませ」
親方様がゆらりと立ち上がり、巨大な魔族がくるりと振り返・・・ヒィ。
その視線を受けた刹那、ぞわりとした寒気が身体中を走り、脳内を警鐘が煩いほどに鳴り響く・・・直感が直ぐ様逃げろと喚き立てる程に恐怖がやってくる。
あぁ、これはやばい。
「これ程までか」
「マスター・・・」
「シロタエ姐を怒らせた時よりもパネェぞ」
道場の最奥・・・掛け軸の後ろに隠されるように置かれた太刀を手に取り、背中に携え道場の真ん中へとやってくる。
「・・・お主が娘を誑かした魔族か?」
さて、これが事の成り行きであるわけだ。
眼前に突きつけられた太刀を全力を持って、触手で防いでいるけれども少しでもタイミングが遅れれば真っ二つ待った無しだ。
攻勢に出ても全く効いた様子はないし、というか魔王さま相手にどこまで力を出していいかがわからない。魔法や打撃を加えようとも後ろに一歩も引かず、唯々威圧してくるだけだからもうどうしようもない。
ディーレさんにもできるだけ加減してもらって魔法を放ってもらっているけど、このままじゃ埒があかない。
またも眼前すれすれを太刀が通り過ぎ、後方に跳躍して躱す。
『提案なんだけど、いっその事全力で一発やってみればいいんじゃない?』
「なんか楽しそうじゃない?」
『最上級精霊の全力の一撃を放ってもこの魔族なら大丈夫な気がするわ』
俺が何かと話しているのをじっと見ていた老兵魔族は太刀を肩に預け、こちらが攻勢に出るのを余裕の表情で待っている・・・そういえば、今まで守備・攻撃・守備・攻撃・守備・攻撃となんだか妙にターン制バトルみたいになってたけど、たぶん手を抜いてたんだろう。
「んじゃあ、一発やってみますかぁ」
「ほう・・・目が変わったな」
さて・・・進化してから一発目の全身全霊の魔法をやらせてもらいましょう。
「水よ 水よ 尊き水よ」
『今も尚 不変を保つ 大いなる偉大な水よ』
「生命の全ての母よ 悲しみに満ちた水底から」
『全てを満たせし 泡となりて』
「帰れ」
『帰せ』
『「我ら末の赤児となりて 水を奉らん」』
『「蒼き水面の聖堂」』
道場の床下から多くの触手が出現する。這い出た触手は道場全体を包み込むように這い回り、そのどれもが何本もの支柱へと変化する。
支柱は枝分かれし、道場のあらゆる場所へ根を張ると、その全ての触手に目玉の様なモノが現れ・・・あれ?
『私もやるヨォ』
『・・・僕も』
『お〜てつ〜だい〜』
突如火炎の嵐が吹き荒れ、自分の周りに闇色の亜空間が広がり始める・・・その中からは暴風が吹き荒れ、顔面大の石の礫が幾つも飛び出している。
自分の周りに広がった水色の魔法陣を軸に、それよりも小さな三色の魔法陣が回り始める。
「ちょ、勝手に、あ、やめ!?」
『所詮燃えれば塵となり、やがて燃え尽き火は尽きる。せめて、その時その刹那まで、優雅な華を咲かせよう』
『踊り踊り狂い踊り死ぬ。自由な風は束縛を嫌う。自由が故に牙を剥き、自由が故の残酷となる』
『割れ砕け、全ての礎、母なる恵、失いし時に母の涙を思い出せ〜』
『『『蒼魂と終末の聖櫃』』』
ピタリと時間が止まったかの様な一時の後、最後の言葉が紡がれる。
『『『『「終幕」』』』』
全ての魔力の奔流が四方から老兵魔族に襲い掛かった・・・しかし、老兵魔族は動こうとしない。
大量の石の礫が降り注ぎ、火炎の嵐が一直線に全てを焼き尽くさんと進み、無情な風の刃がそれらを全て切り刻み一つの本流へと姿を変えていく。
水は一つの棺桶のようなそれを取り、老兵魔族を取り囲む・・・逃げ場はもはやない。
一撃が着弾する。
弾ける・・・一撃の元でそれは唯の光としか言いようのないそれだ。こんなものがもし、一般のものに向けられていたのなら、それは跡形もなく消し飛んでしまうんじゃないだろうかと言う程の一点集中の魔力の暴力・・・精霊の全てを力を出し切ったと言ってもいい魔力の奔流。
しかし、その最中で銀の閃きが光り輝いた。
ゾクリ・・・そんな悪寒が己を支配した瞬間、身体中が一気に熱を帯びる。
瞳が金色に光り輝き、体が漆黒のそれへと染まる・・・危機、体が反射的に感じたそれに従い、続けざまに己の一撃を放つ。
「{`*}?#!%'!%*!!」
何を口走ったのかもわからないそれは、一つの剣となり銀線に対して一直線に薙ぎ払われる。
そして・・・全てが光の最中に消えていった。
光が晴れると、そこにはボロボロの装束を身に纏い、身体中の至る所から血を流す老兵魔族の姿があった。太刀を振り切った姿のまま動かない。
視線をゆっくり下にずらしてみると、自分の衣服だけがぱっくりと二つに裂かれているのが見て取れる。
「天晴れ・・・ようやった」
「あ、え?」
フラフラとしながら太刀を背中の鞘へと戻し、俺の方へと老兵魔族が歩み始める。
「この者の勝利だ。我の娘は此奴にやろう!!」
「は?」
訳のわからない勝利宣言とともに、意味のわからない言葉が屋根も何もなくなってしまった道場へ轟いた。
ハーピーの観察日記
1:第一回ケイバ終了。売り上げ・・・想定の6倍以上。
2:カテナ・ルティさんが開拓作業を開始。
3:アドルフ?と名乗る冒険者が来訪。
宜しければ、本文下にある評価の方是非ともお願い致します!
遠慮なくこの物語を評価して下さい!!
何か変なところ、見にくい、誤字だ!などがあればどしどし教えて頂けると嬉しいです。
(言い換えでこういうのがありますよなどが合ったら教えてください。例:取得→習得、思いやる→慮る、聞こえる→耳に届くなど)
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