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人魔:聖戦士VS粘液魔族でした!

沢山のブックマーク、評価ありがとうございます!!


聖戦士VS主人公


次話投稿は一週間以内です!

 side ルキナ


 全身から力が抜け出し、縫い付けられる様に地面に沈み込んでしまう。身体中を走り回り痛みに体を苦悶の声を上げることしかできず、自分の頭を踏みつける人間の哄笑が嫌でも耳に入る。


 失念していた・・・奴は魔族の天敵である『聖』を操る人間だった。まさかこの部屋に魔封じの陣を幾重にも刻み込んでいるとは思いもしなかった。

 儀式魔法陣の中に巧妙に隠されたそれは、己の身体に内包された『魔』を解き放ったせいで発動されてしまった。


 こうなってしまったのも私の責任だ。

 お嬢様・・・魔王『メフィルトネ・ガドイン』の息女である『メフィルトネ・メリナ』様はこの街の領主であるカナードに所用があって訪れていた。

 私は当初三人でメリナ様を護る為に派遣されていた。しかし、少し目を離してしまった隙を突かれ、仲間は奴に殺され、お嬢様は奴等に捕らえられてしまったのだ。


 ・・・迂闊だった。


 メリナ様の命を受け、物品を買い出しに街へと出向き、帰った直後の出来事だった。

 死に物狂いで漸くこのアジトを見つけ出し、潜入したはいいが、奴に鉢合わせ交戦し・・・負けてしまった。


 魔封じの枷を嵌められてはいたが、なんとか胸に忍ばせていた針で取り外し、次にここにやって来た者を殺してやろう待ち構えていた。


 そして、奴が現れたのだ。


 私が閉じ込められていた部屋に何者かが侵入する気配感じ取り、身体のバネを最大限に使っての蹴りを放った。

 頭は弾け飛び、確実に殺したと思い、開け放たれた扉へ急いだのだが・・・私の四肢は奴の体から伸びた触手によって拘束されてしまった。


 魔族だと気付いた瞬間に、奥の手として自分の身体に潜めていた暗器を使っての奇襲を試みた・・・だが、それさえも奴には効かなかったようで、そのまま私は宙吊りになるしかなかった。

 さすがの私も死んだか覚悟を決めた。


 しかし、どうやら敵ではないらしい。カナードに頼まれてやってきた・・・というが、お嬢様の事を知らないでいるようだった。

 カナードがこいつに伝えていないだけなのか、はたまた私から何かを聞き出そうと、狂言を話しているこのアジトの輩なのか・・・。


 その魔族は自分を『ユガ』だと名乗り、知っていることを洗いざらいペラペラと話し始めた・・・ますます怪しいと感じたが、殺気を向けてこず、虚偽や誤魔化しなどを含まない真剣な眼差しを向けてくる様は・・・どうも敵だとは思えない。

 職業柄、人の感情を読み取り、何が嘘かそうでないかを見分ける目は持っているつもりだ・・・。


 ・・・しかし、お嬢様の事を話す事はできない。この魔族は完全に信用するにはあたいしない。

 利用するだけ利用して、お嬢様救出した際にはさっさと逃げ帰ればいい。


 人質の場所を聞き出そうとしたが、もう少し待ってくれと言われ、さらに猜疑心が高まるが・・・闇雲に探し回り、聖戦士に見つかれば厄介だ。

 今は魔族の言うとおりにしよう・・・。


 そして、あの粘液魔族がまた部屋にやって来て、いよいよ人質の場所へと向かうこととなった。

 しかし、狭い通路に牢獄が設えられたその場所に、お嬢様の姿はなかった。


 まだ、見落としている牢獄があるんじゃないかと、問おうとしたその時、蛇の魔族がお嬢様を助けてくれと大きな声で言い放った。


 それを聞いた瞬間、その牢獄から飛び出して、近くで哨戒していた人間を半殺しにして居場所を聞き出し、この場所にやってきたのだが・・・この有り様だ。


「もうこいつに必要はないな。後で依頼者のガキも送ってやるから安心して逝け」


 ・・・・・・ふん。どうやら、私は殺されるらしいな。

 お嬢様が何かを叫んでいるが、聖印によって弱った身体に、お嬢様の声は届かない・・・だが、私が死ぬことで少しでもお嬢様が長くいきられるのなら、それでいい。


 細剣が私の身体を刺し貫く・・・その刹那、聖戦士の気配が遠退いた。

 身体に掛かっていた負荷が取り除かれ、聖印によってもたらされた引き裂かれる様な痛みが一瞬にして消え失せる。


 ・・・死んでしまったか。

 細剣は私を貫き、この癒される感覚は死んだ事によって得られた、多少の幸福なのだろう。


 だが・・・現実はそうではなかった。



「あれ? 意識は失ったと思ったんだけどなぁ・・・あぁ、魔法か今ので気を失ってくれたらよかったんだけどなぁ。まぁいいか、ルキナさん大丈夫・・・じゃなさそうだね。俺の四次元ボディからポーション出すから待ってね」


 聞こえてきた声に驚き、目を見開くと・・・そこには見知った顔が一つあった。


 私と共に行動したあの粘液魔族だ。まさか私の後を追って、聖戦士に殺されたのか?

 いや、それにしては意識がハッキリとしている。


 バシャリと身体中に冷たい水を振りかけられた直後、先程よりもなお痛みが和らいだ。


 粘液魔族は私に、まだ痛いところはないか、不具合はないかを尋ね、呆然とする私にもう一度ポーションを振りかける。

 それにまたポカーンとする私に、三つ目のポーションを使おうかという時にさすがに声が出た。


「い、いや、もう大丈夫・・・だ?」

「そう? そりゃよかった」


 粘液魔族は聖戦士に目もくれず、本当に大丈夫と再度身体を見て、異常がないかを確認する。


 目を白黒させて、自分の鼻から真っ赤な血が流れているのを確認して、混乱に陥った聖戦士は此方へ視線を投げ掛け、驚愕に顔をしかめている。


 私を見ていた粘液魔族は、そこで漸く聖戦士に視線を向ける。だが、そこに私をいたわったあの暖かな瞳はなく、蔑みと殺意に満ちた魔族のそれが立っていた。

 身体から伸びた触手は漆黒に染まり、瞳の色は闇を切り裂く金色へと変貌し、顔の半分が真っ黒に変色している。


 闇色に染まった粘液魔族は、先程とは打って変わった乾いた声音で告げる。


「うーん。なんだろうね。つい最近会ったばっかで、こういうのも何なんだけどさ。俺って仲間意識が多分強い方なんだと思うんだ・・・だからかなぁ」


 殺意の塊が凝縮されたような粘液魔族から、どす黒い魔力が垂れ流され、その小さな口から怨差にも似た言葉が紡がれる。。


「凄く腹が立つんだよ」


 殺意の波動が物理的な圧力を伴い、部屋中に満たされる。儀式魔法陣が全て消し飛び、押し潰されるかのような殺意の衝動に建物も軋みを上げ、お嬢様も目を見開き粘液魔族へと視線を注ぐ。


 その圧力には見覚えがある。これ程の波動を有しているのは・・・『魔王』なのか?


「貴様・・・いったい」

「唯の魔族だよ」


 聖戦士は粘液魔族が言い切るか否かの瞬間に突進し、聖印の刻まれた細剣を粘液魔族に突き入れる。

 聖印の施された物はそれがなんであれ、魔族にとっては究極の毒となる。


 しかし、粘液魔族は細剣を見据えたまま動こうとしない。回避行動をとらず、そのまま自分の身体に細剣を受け入れる。


「な、何を!?」

「ハハハハ! 不意を打っただけでこの俺が死ぬとでも思ったか下等魔族? これで地獄の苦しみと共に死n」


 ガシッと細剣の柄が掴まれる。


「は?」

「まぁ、これくらいの痛さなら我慢できるな」


 聖戦士は驚きながらも、掴んだ手を振りほどこうと力を入れるが粘液魔族はびくともせず、柄を掴んだ手は離れることはない。


「く、クソ・・・あが!?」


 触手が聖戦士の顔面を捉え、何度も何度も打ち付けられる。よく見てみれば、細剣を掴んだ手から黒い粘液が分泌され聖戦士の手と自分の手とを接着している。


 聖戦士は逃げることもできず粘液魔族の乱打に身を晒し、防御魔方を嘲笑うかの如く聖戦士の顔へ触手の打撃をみまい続ける。


 魔族の天敵とも言える『聖』を司る戦士がたった一人の魔族に追いたてられる様に、私は呆然と見つめることしかできない


「クソガアアアァァァァアアァァァア!!」


 バチバチという音が鳴り響き、細剣を先程よりも強い聖気が走り抜ける。

 粘液魔族は少し顔を歪め、後方へ飛び退り自分の身体から細剣を引き抜いた。


 私とお嬢様を虐げ、弄んでいた頃の余裕は一切消失し、青く腫れ上がった顔面と荒い息遣いだけが部屋にこだまする。


「下等な魔族ごときが・・・この、この俺を!」

「下等ってなぁ・・・別に人も魔族も変わんないだろうに」


 細剣から立ち昇る青く光り輝く聖気は勢いを増し、強く噛み締められた口元からは血が流れ出している。

 聖戦士の身体に聖気が満ち溢れ、ステータスが向上しているのがわかる・・・さすがの粘液魔族もあの状態の聖戦士から攻撃を受ければ、重症は免れない・・・筈だ。


 聖戦士は向上した身体能力そのままに駆け出し、残像を残しながら粘液魔族へと突進する。


 細剣を何度も突き出し、その早さは私では捉えきれず、いつのまにか聖戦士の姿も消失してしまっている。

 だが粘液魔族は動く事なく、その場にとどまりながら聖戦士の攻撃をいなし続けている。


 その目は聖戦士がいるであろう空間を見つめ、青い聖気の剣閃だけが粘液魔族の周囲を取り囲んでいる。


「聖魔法:『ホーリーロック』『ホーリースピア』!!」


 再び魔法陣が部屋の床に浮かび上がり、粘液魔族の足元に展開される。

 それを消されまいと、聖戦士は二重詠唱を行い、細剣を持っていない片方の手に、魔法の槍を出現させ速攻をかける。


「精霊魔法:『水花の防御壁』『三叉の槍』」


 粘液魔族の周囲を薄い水の膜が取り囲んだ瞬間、足元の魔法陣が効力を失い消失すると・・・そして、聖戦士の突きだした槍を、水の槍が弾き飛ばした。


「専有スキル:触手創造(クリエイト・テンタクル)


 更に、粘液魔族はクルリと回転すると辺りに粘液をばらまき、その粘液からいくつもの触手が出現し、全て聖戦士の元へと打ち出されていく。


 聖戦士はそれを切り払っていく・・・が、全てを防ぐことはできず、何本かの直撃を受けてしまう。


「チクショウがッッッ!?」

「隙ありかな?」


 打ち出した触手に紛れ、地面に溶け込み這いずって聖戦士の背後へ出現した粘液魔族は聖戦士の背中に手を添える。


「精霊魔法:『氷翠乃矢(レイズアロー)』」


 背中に添えられた掌から一筋の光が漏れ、聖戦士の腹部を突き破り一本の矢が赤い噴水と共に出現した。聖戦士は腹部を突き破って出現した矢を驚愕の表情で見つめ、次いで来る激痛に顔を顰め、叫び声を上げる。


「ヒィアアアアァァァアァアァ!?」

「お前がやってきた報いだよ。魔族を虐げ、あまつさえ俺の仲間に手を出したお前を絶対に許さない」


 粘液魔族は床に座り込んだお嬢様の元へと歩み寄り、ポリポリと頬を掻きながらポーションを取り出す。


「えぇっと、魔王の娘さんなのかな? 初めまして、助けに来るのが遅れて申し訳ない・・・。もうちょっと待っててね」

「貴様アアアァァ!! 殺してやる・・・絶対に殺してやる!」


 憎悪は膨れ上がり、隠そうともしない殺気が部屋中に充満する。聖戦士は懐から水の入った小瓶を取り出し一気に煽る。

 小瓶の中に入った水はうっすらと光り輝いており、しかし中に内包された力は相当なものだとわかる・・・ポーションだと思ったがそうではない。


「気をつけて! あいつが飲んでいるのはポーションじゃない!!」


 間違いなく、あれは非常にまずいものだ。ゾクリと背筋を這い回る悪寒に、咄嗟的に声が出る。


 聖戦士が小瓶に入った水を飲み干すと同時に・・・身体の内側から可視化できるほどに膨れ上がった聖気が迸る。

 聖戦士とは距離があるというのにその聖気は私の体を蝕み、身体中に鈍い痛みが駆け回る。


「不浄なる畜生に浄化の杯を傾け、大いなる奇跡により往々たる聖の祈りを注ぎたまえ」


 聖戦士の向上に巨大な魔法陣が出現し、男の身体から迸る聖気が吸い込まれていく。


「おぉ、神代の棺に綴られし聖なる御霊たる依代よ、今我の憶いに応えたまえ」


 聖戦士の身体から全ての聖気が抜け落ち、魔法陣が膨大な光量を放出する。


「聖魔法:『煌々たる天の導き(パラダイム・オリオン)』」


 魔法陣から発された光はやがて質量を持ち、細剣へと纏わりつくと・・・大きな一本の光の長剣となった。長剣は聖戦士の片手に収まり、その光量は明確な殺意を持って粘液魔族へと向けられている。

 長剣から漏れ出した光が頬を撫でただけで、切り裂かれた様な痛みが走る・・・その光は粘液魔族へとしっかりと注がれている。


 しかし、光が撫でる直後に、光は闇に飲まれるようにして消え失せている。


 聖戦士は薄ら笑いを浮かべ、一歩ずつ粘液魔族へと歩みを運んでいく。死を告げる死神のごとく、長剣は眼前に立つ粘液魔族を屠らんと、その白き光とは裏腹に凄まじい殺気を放っている。


 だが・・・その膨大な光量と殺気を生み出す長剣でさえも霞む様な気配が部屋中を支配した。


「火よ、風よ、土よ、水よ・・・我が手元に集いし4大の精霊達よ、母なる大地に恵みを与えし偉大なる精霊よ」


 粘液魔族の闇さえも吹き飛ばしてしまい兼ねない魔力の奔流が部屋中を支配する。お嬢様の目の前に立つ粘液の魔族の手元には4色の光が踊り狂う様に現れ、その4色の光が粘液魔族を取り囲む様に配置される。

 紡がれる言葉は、意味のわからない言葉の羅列・・・しかして、遅れる様にして長い言の葉が聞こえ始める。


「気紛れたる精霊達よ、其の階を悠々と燦然と歩みし、我が元に集い、今一度微笑みたまえ」


「ファー、期待してるよ頑張ってね」

「ムー、何も言わずにいつも頑張ってくれてありがとう」

「ノー、これ終わったら寝てて良いから頑張って」

「ディーレさん・・・ずっと一緒にいてくれてありがとう」


「闇を打ち払い、邪悪を滅せよ!!」


 粘液魔族が何事かを呟いた直後、4色の魔力は片手へと集まり、莫大な魔力の塊となって自身の体へ注がれる。


「複合精霊魔法:『永劫たる破邪の階(フォース・デューダル)』」


 聖戦士が振り下ろした長剣に合わせるようにして、粘液魔族は片手を突き出し膨大な魔力を解き放つ。


 聖戦士が振り下ろした長剣は粘液魔族が放った魔力の塊とぶつかり合い、周囲に爆風を撒き散らした。

 聖戦士の長剣と粘液魔族のぶつかり合いは・・・このままでは恐らくだが聖戦士に軍配が上がってしまうだろう。


「・・・ユガ! 魔法での攻撃は奴には悪手だ」


 私は粘液魔族・・・ユガに叫んだ。


 聖印が刻まれた武具による攻撃は『魔』の全てを打ち払う。それが魔法であれば切り刻み、魔族であれば跡形もなく吹き飛ばしてしまう。

 故に魔力による魔法の攻撃では・・・奴の長剣は全て無効化してしま・・・う?


「クソクソクソクソクソがアアァァアアァァア!?!? 何故だ、何故聖印が発動しない!?」


 そう思った直後、聖戦士が叫び声を上げる。

 魔法の勢いは・・・収まる所か、より勢いを増して聖戦士へと襲い掛かっている。


 パキンッ


 そして唐突にそれはやってきた。聖戦士の持つ長剣が二つに折れた。

 膨大な光量は一瞬にして消え失せ、魔力の塊が聖戦士の肩口を飲み込み、このアジトの建物の壁を突き抜け・・・外へと続く一本の通路へと変貌する。


 聖戦士が恐る恐る右方に目をやると、そこにはあるはずの腕も肩もなく、焼け焦げた自分の肩口が顔を覗かせていた。


「勝負あったな」

「こ、こんな・・・こんな・・・馬鹿な」


 聖戦士は茫然自失し、床に座り込む。


「えっと、メフィルトネ・・・様? 一応ポーションはまだありますけどどうしましょう?」

「・・・」


 お嬢様は粘液魔族を呆然と見つめたまま動かない。

 それに困る粘液魔族の背後で・・・ユラリと聖戦士が立ち上がった。


「まだ、こんな・・・こんなところで終われるか!! 」


 聖戦士はなんらかの魔法を唱え始める。

 やっと体の自由が効き始めた私は、懐に忍ばせた短剣を投げ放ち、聖戦士の詠唱を阻止する。


 しかし、聖戦士の詠唱は完成し・・・聖戦士の姿は一瞬にして消失する。

 聖戦士が詠唱に使ったであろうスクロールだけが下に落ち、その場所には私とお嬢様、粘液魔族だけが取り残された。


 粘液魔族はいなくなった聖戦士の方を見て、溜息を吐くとお嬢様に向き直り、手当を始める・・・。


 聖戦士の一切の攻撃を受け付けることなく完勝した粘液魔族に・・・私達は助けられた。



 -------------------------------------------------・・・



「クソガクソガクソガクソガクソガアアアァァァアァ!!!!!」


 焼け付くような痛みが身体中を支配する中怨嗟の言葉が溢れ出す・・・俺をここまでボロボロにしたあのクソ魔族を思い出し、折れた細剣を壁に突き刺す。

 身体から触手を生やして、俺の攻撃の悉くを打ち破ったあの魔族・・・どうやったかは知らないが、聖印の効力でさえも全て打ち消された。


 入念に用意した魔法陣は全て消し飛ばされ、俺の計画はたった一人の魔族によって全てが破壊されたのだ。


 もう少しだったというのに、あのクソ魔族が・・・。


 そして、思い出す。


「・・・『ユガ!』 魔法での攻撃は奴には悪手だ」


 あの暗殺者がクソ魔族に投げかけていた言葉だ・・・。

 クソ魔族の名前は『ユガ』というのか。


 殺してやる。本国に戻り次第、異教徒として発布して奴を血祭りにあげてやる!!

 惨く、惨たらしく、無残に骨も残さずに殺してやる。


 恨みの炎が心に灯り、周囲を見渡す。


 暗殺者の投げ放った短剣に気を取られたせいで、座標の特定の詠唱を急いてしまった。そのせいで詠唱ミスが起き、現状ここがどこかわからない。


 薄暗くジメジメとしたこの場所は・・・洞窟?

 しかし、先の方には十時に割れた通路がある・・・つまりは『ダンジョン』なのか?


 まぁ、どうでもいい。俺の探知の魔法があれば、直ぐにでも抜け出せる筈だ。

 ここから出れば、本国に・・・。


 そう考えた瞬間、俺を巨大な影が覆い隠す。


「あ?」


 そして後ろを振り返った瞬間、


 粘付き、糸が引いた大きな空間?

 鋭利な牙のようなものが生え揃い、その奥には真っ暗な虚空が広がっている。


 いや、虚空ではない・・・口腔が広がっていたのだ。


「ま、魔物!?」


 バグンッッッ。


 ダンジョンに潜む巨大な魔物の口は閉じられ、聖戦士は一口に飲み干された。


 OOOOOOOOOOoooooooooooooOOOOOOOOOOOO!!!!!!!!!!


 何もいなくなった(・・・・・・・・)ダンジョンに一匹の魔物の咆哮がこだました。

ハーピーの観察日記

1:冒険者パーティーが来訪。

2:シロタエ様お手伝い隊、外来ゴブリンにより結成。

3:シロタエ様が逃亡したトロルを討伐。


宜しければ、本文下にある評価の方是非ともお願い致します!

遠慮なくこの物語を評価して下さい!!


何か変なところ、見にくい、誤字だ!などがあればどしどし教えて頂けると嬉しいです。

(言い換えでこういうのがありますよなどが合ったら教えてください。例:取得→習得、思いやる→慮る、聞こえる→耳に届くなど)


感想や活動報告の方にコメント頂けると私の気力になりますので気軽にどうぞ!

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