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現状:ゴブリンとの邂逅でした!

前回の投稿で一日で1000PVを達成しました。

読者の皆様本当にありがとうございます!

次回投稿も一週間以内です。

 俺達は東部の森を散策していたが、ハルウ達の力量に見合っていないため、西部へと移動を開始しようとした矢先だ。


「スライムの神様!!どうか俺達を助けてください!!!」


 なんていう声が聞こえてきたのだ。

 はて?スライムの神様というのは誰のことだろう・・・

 俺なわけ・・・ないよねぇ。


「えーと、聞こえなかったですか?助けて欲しい!!」


 後ろを振り返ると、ハルウ達が威嚇の声を上げる。


 そしてその先には、小柄でほっそりとした体躯、緑色の体表、額から突き出した角のようなコブ、口から伸びる短い牙、粗悪なレザーアーマーと武器。

 これはあのスライムに並ぶ有名な雑魚モンスター「小鬼ゴブリン」だ。


 ただ思っていたゴブリンより顔つきはよく。鋭い目、ほっそりとした体から見える腕や腹には、しっかりと筋肉がついているのが分かる。


「俺は、集落のボスをやっているホブゴブリンでございます。この森を巡回していた所、あなたを見つけたのです。どうか私達に力を貸して欲しい。」


 何かあったのだろうか、その表情には余裕がない。

 わなわなと身を震わせ、拳を強く握り締めている。


「何があったか聞いてもいいか?」


 ホブゴブリンは人間と変わらない思考を持ち、下っ端のゴブリンを率いて戦う事を主としている。

 狡猾で色々な手段を用い、敵を翻弄することで有名な魔物。

 集団で行動するため、冒険者からも厄介視されているそうだ。


「はい。私達は東部の森を拠点として、暮らしています。主な活動は、狩猟と採集。数は300匹程度でございます。本当はもっといたのですがね・・・」


 急に声のトーンが低くなり、悔しそうな顔を隠そうともしないホブゴブリンは話を続ける。


「元々1000匹はいたのです。しかし、私達狩猟班がいつも通り狩りに出かけた頃、奴らが集落に襲いかかってきたのです。西部の森に拠点を構えているオークでした。我々も集落から上がる悲鳴に気づき即座に戻りましたがその時には半分は殺されていました・・・。」


 目の前のホブゴブリンは血が滲むほど拳を握り締め、己の非力さを悔やむ。


「それからも、必死に交戦しなんとか逃げ延びました。残っていたのは300匹でしたがね。」


 なるほど。ゴブリンの集落に主戦力がいなくなったと同時に、オークが奇襲を仕掛けたのか。

 卑怯だが争いにおいては賢いやり方だ。


「戦争の理由はなんなんだ?」


「繁殖と狩場、そして自分達の力の誇示でしょう。」


 イメージ通りオークは「性欲豚」と呼ばれるだけはある。


 知能は低く、ほかの魔物よりも高い力で圧倒する。

 繁殖能力も高く、自分達の食事が取れなくなり、今回の戦争に踏み切ったのではないかと予想しているそうだ。


「我々だけでは心許なく、同じ被害にあったコボルド達とも同盟を結んでいましたが、それでも奴らの猛攻は防げず・・・虫のいい話だとは存じております。どうかお力をお貸し願いたい。」


 そう言われると貸したくなるのが日本人の性なのだろうけど、俺にメリットがない。そもそも危ない場所にハルウ達を行かせたくないと思っていた所なのだ。


「助けてやりたい所だけど、俺の配下もまだ未熟で、俺自身もそういったことには関わりたくない。すまないがお断りさせて頂く。」


「そう・・・ですか。」


 ホブゴブリンは力なく項垂れ、背を向けて歩き始める。

 罪悪感がなくもないが、他の魔物にまで気を掛けていられない。


 しかし、オークが気になる。

 どういった魔物なのかを見ておきたい。

 周囲掌握ハイパーサーチで歩き始めて一時間、オークが襲撃し奪い取ったであろう集落跡近くに到着した。

 因みに、最近ハルウの背中に乗るという画期的移動方法を発見した。


 集落跡地にはオークがひしめき合っており、自分達が殺したゴブリンの死体を貪っている。


 オークは丸々と太った大柄な体躯で、醜悪な顔面、こちらにまで漂ってくる鼻を突く匂いが特徴だ。

 そしてやはりと言っていいのか、ゴブリンの死体に混じり、辛うじて息のあるメスのゴブリンがオークに襲われている。


 これでは、繁殖する前に息絶えてしまうだろう。


 すると、集落跡地の大きな建物から、一匹のオークが現れる。


 “個体名「オークジェネラル」:オークを統括する強力な個体。知性は低いが、オークとは比較できない力を有する。”


 どうやらあれが群れのリーダーらしい。

 腰に肉厚なマチェットを下げ、なにかの獣の毛皮を纏っている。


 すると腰に下げたマチェットを抜き、メスゴブリンを襲っているオーク達の首を跳ね上げる。

 力なく倒れ伏したオークを食らい、同時にメスゴブリンをも食らう。


 恐ろしいまでの暴力の化身だろう。

 あんなのを敵に回せばひとたまりもない。


 ハルウ達も息を潜めて、じっとしているが、恐怖に体を震わせている。


『気分が悪いわ』


 ご尤もで。

 その場にいたオークたちは焦って散り散りになり、他のオークたちは掃除とばかりにゴブリンを食らい続けている。


 すると、周囲掌握ハイパーサーチに突如反応が現れる。

 ここから結構離れているが、森の中から何かがオークたちを見ている。


 見つけた。

 茂みの中にゴブリンとコボルドの姿が見える。

 ゴブリンとコボルドが何やら言い合っている様子だ。


 そうしていると、コボルドが腰に帯びたショートソードを抜き、オークジェネラルに向かって突撃を仕掛ける。


 コボルドはショートソードをオーク達に斬りつけ、薙ぎ払う。

 オークジェネラルに到達したコボルドは勢いそのままに、斬りかかる。


 しかし、オークジェネラルのマチェットにショートソードごと体を真っ二つにされる。


 ゴブリンは茂みから早々と逃げ出し。

 オーク達はジェネラルの所業に咆哮を上げる。


 恐ろしいまでに強い。

 あんな規格外の魔物に勝てるわけがない


 しかし、気分が悪い。

 さっきのホブゴブリンは、礼儀を尽くし、俺に助けを請うたのだ。

 仲間を殺された悔しさに顔を歪め、他者の助けを借りなければ何もできない己を悔やみながら。


 考えてみよう。

 もしハルウ達が奴らに殺されたとしたら。

 俺はたとえ殺されようとも全力で殺しにかかるだろう。


 しかし、集団のリーダーであるホブゴブリンは、ほかにも守るべき仲間が居る。

 迂闊に自分の命を懸けることができないのだ。


『スライムさん。どうする?』


 ディーレが笑いながら聞いてくる。

 俺の性格を読めているであろうディーレさんは、答えが分かっているのだろう。


 まぁ、答えは決まったのだが・・・






 私はただのホブゴブリン。

 ただの一ゴブリンだった俺は、ある日存在発展していたのだ。

 自分に知能があることに気づき、見た目も少し変わっている。

 他のゴブリンから聞くと、角が生え、顔が少し人間味を帯びた顔になっているとのこと。


 すぐに集落の族長の元へ行き、狩猟班のボスとなった。

 自分がゴブリンの時は考えたこともなかったが、今となっては仲間のことをよく考えるようになってしまった。


 どう被害を抑えて狩りを行うか、どう効率よく皆を活用するか。

 そして、友情というものが自分の中で芽生えてしまったのだ。

 仲間のゴブリン達は一心に俺のために働いてくれる。

 忠実な俺の部下たちである。自分が使いっぱしりにされても何一つ文句なく付き従ってくれている。

 メスもオスも関係なく最高の部下達がいたのだ。


 最初にグループで討伐したのはエビルプラントだ。

 動かないとは言え、俺達個々の戦力では歯が立たない相手だ。

 俺を含めた15体のメンバーでの討伐。


 森に来た冒険者たちが落としていった、壊れて使えなくなったものを、修理して使っているのが俺達の装備だ。


 最初に10体で弓を持ち、矢を射掛ける。

 すると、出だしはこちらの優勢で持って行けるはずだ。

 後は、俺と幾人かで前線を維持し、弓矢で射続ける。


 途中、自分の力に振り回された俺は、大きな隙を晒してしまった。

 そこを逃すはずもないエビルプラントが攻撃を仕掛ける。


「しまった!?」

「リーダーアブナイ!!」


 エビルプラントと俺の間に前線を張っていたオスゴブリンが割って入る。

 俺にダメージは無かったが、そのゴブリンは腹に打撃を食らう。


「おい、大丈夫か!?」

「モンダイナイ。リーダーマモル」

「お前、こんな無茶してまで俺を・・・」

「トウゼン。リーダーイチバン。オレタチタテニナル」


 怪我を負ったゴブリンがそう告げると、他のゴブリン達もそれに頷く。


「お前達・・・一匹たりとて死なすわけには行かない。全力で行くぞ!!」

「ワカッタ」

「ショウチシタ」

「リョウカイ」


 それから数分後にようやくエビルプラントの狩猟に成功した。

 俺を含め満身創痍だが、命に関わるような怪我を負ったものはいない。


 全員が俺を信頼し、俺について来てくれたのだ。


「すまない。俺がもっとしっかりしていれば・・・」


 申し訳なく、皆に謝罪を送ると


「リーダーニシカデキナイ。オレタチジャ、アレタオスノムリ」

「オレタチバカ。リーダーアタマイイ」

「オナカヘッタ」


 配下のゴブリン達は俺に全てを委ねている。一部を除いて。

 俺はこいつらの主として、強くなっていかなくてはならない。


 グループでの戦闘はそれからも幾度となく続き、LVを上げ、遂に常時在中していたメンバー四体がホブゴブリンへと存在発展した。

 そして、あの忌々しい日がやってきたのだ。



「リーダー。今回の狩猟はジャイアントマンティスにしましょう。集落から北の方に居ると、ゴブリンから報告が来ています」


「そうだな。ジャイアントマンティス三匹なら俺達でも行けるだろう。その情報は確かなのか?」


「俺も見てきた。大丈夫だったぞ。」


「おうよ。敵はジャイアントマンティス三匹だけだ。縄張りが広くて、周りにほかの魔物はいない。主でもないな。」


「よし、それなら早速準備を始めよう」


 俺達狩猟班は、村の食料をとってくる役目を担っている。

 採取班は主に薬になる薬草や、落ちている有用そうなもの、木の実などの収集が主な役目である。


 狩猟は集落の周りの危険な魔物の排除にも成り得る。そして、食料の確保と一石二鳥なのである。

 ただやはり、一番危険が伴い、命を落とす可能性が十分にありえるものでもある。


 そのために俺たちは情報のやり取りを行っている。


 一度情報のやり取りを怠り、主の魔物に遭遇したことがある。

 全力で逃げたことによって事なきを得たが、あんな体験二度とゴメンだ。


 故に情報は大切なのである。

 配下のゴブリン達は知能が低く、俺たちの命令なしでは突撃しかできないのだ。

 俺たちがしっかりしてやらねば大惨事になること間違いない。


 今回はジャイアントマンティスの狩猟。

 集落から北に行った場所にジャイアントマンティスが目撃されたようだ。

 三匹だけだが、戦闘力が低いゴブリン達では歯が立たないであろう。


 罠の準備や、薬草の準備、武器の簡単な手入れ(といってもボロボロ)をして出発する。


 今回の狩猟は3つに分かれての作戦だ。俺を含めたホブゴブリン三体が「ジャイアントマンティス」、他の二隊にはそれぞれ一体ずつホブゴブリンを配置し、援護兼、採取として動くことになっている。

 総勢75体で出発する。


 そして、いつも通り狩猟を開始する。

 敵はジャイアントマンティス三匹。

 確かに強いが、ホブゴブリン3体、ゴブリン15体で前線を抑え、残りは遠くから投石と弓での攻撃


「ッ!一撃は重いがいなせない事もないな」


「そんなこと言えるのはリーダーだけだ」


「そうね。私は勘弁して欲しいわよっと!!」


 メスホブゴブリンはメイスでジャイアントマンティスの鎌の部分を叩きつけ、オスホブゴブリンはショートスピアで胴体の部分を突いている。

 俺はショートソードで、鎌をいなしながら攻撃の機会を伺っている。

 他のゴブリン達はジャイアントマンティスが振る鎌に四苦八苦しているようだ。


 だが、それも時間の問題だろう。投石と弓での連携はしっかり訓練しているおかげで自分達に当たることはない。


 時に引いて、後方にいるゴブリン達の弓と投石での攻撃。

 時に攻めて、前衛の俺たちの攻撃という風に攻撃のローテーションを組んでいる。


「まぁ、この調子なら行ける」


「そうだな。訓練の甲斐もあって部下のゴブリン達もいい動きをしているじゃないか」


 軽口を言い合える余裕もあり、このまま順調に行くと思われたのもそこまでだった。


 集落の方から、叫び声が響いたのだ。

 それと同時に集落の方向から剣戟の音が聞こえてくる。

 それは時間と同時に激しさを増し、危機的状況に陥っているのが分かる。


「どうした!?何が起こっている!!」


 後方に問いを投げかける


「シュ、シュウラクカラヒがデテル!!」


 狩猟班のゴブリン達は突然の事態にオロオロとしている。


 しかし、今はジャイアントマンティスとの戦闘中。こちらも油断できない状況である。


「狼狽えるな!!今は目の前の敵に集中しろ」


 自分もかなり焦ってはいるが、そこはリーダーなのだ。

 采配をミスして全滅なんていうことは絶対にしてはならない。


 そうこうしている内に一匹のジャイアントマンティスが倒れ伏す。

 一匹倒れればこちらの物だ。あとはなし崩し的に残りも倒れ伏す。


 無事にジャイアントマンティスを討伐できた俺たちは直ぐ様集落に戻るための準備を始める。

 負傷者の応急処置を済まし、ほかの狩猟班との合流を済ませ、集落へと急行する。


 集落へと駆けつけると、漂ってくるのは血の匂い。

 怒号と激しい剣戟の音。


 到着するやいなや、北の門をこじ開け、集落へ飛びいるようにして入る。


 目の前に広がるのはおびただしい数の死体と、血の海。

 オークの軍隊が一匹の一際大きな個体に率いられて、ゴブリン達を蹂躙している。


「クソッ!!」


 オスホブゴブリンがショートスピアを構え、突撃の体制に入る。


「落ち着け!!・・・今は非戦闘員を退避させろ。敵が比較的密集していない北門に誘導し、狩猟班は避難経路に近づくオークを撃退しろ!俺は全体の指揮、他のホブゴブリンは各個「避難指示」、「迎撃指示」を優先しろ」


「「「「了解!!!!」」」」


 狩猟班は直ぐ様、戦闘中のゴブリンの援護を始める。

 それと同時に、避難誘導を開始する。


 オークが大挙して押し寄せてくるが、日々狩猟班として活躍している彼らはオーク達を迎撃してのける。


 その隙に避難を開始するが、敵の数が多く、既に何百体も削られているため防衛に手がまわらない。

 結果数十人の死亡者が出る。

 それでも北門にたどり着いた者達はホブゴブリンに誘導されて、一目散に駆けてゆく。


 前線を維持していたゴブリン達も、オークの進撃に耐えられなくなってきている。

 もはや前線崩壊も時間の問題となる。


「クソッ!!全員撤退!!狩猟班、ホブゴブリンは殿しんがりを努めろ!!」


 指示を飛ばしたと同時に、全員が撤退を開始する。

 中には後ろからオークに殴り倒される者もいる。


 しかし、大のために小を犠牲にする・・・今はこれしか方法がない。


 オークの猛攻は尚も止まらない。

 狩猟班の数は20体にまで減少している。

 ここに来るまでに散っていったのだろう。


「BUUUUURUUUAAAA!!」


 唐突にオーク達の猛攻が止まる。

 オーク達は振り返り自分たちの主の下へと戻っていく。


 オークのリーダーはこちらを見て、ほくそ笑んでいる。


「リーダー、今は逃げましょう」


「私達じゃ倒せませんよ」


「いつか、復讐しましょうや」


 食いしばった歯の間から血が流れ落ちる。

 大勢の仲間が死んだ。

 もっと力があれば、ここまでの被害は出なかっただろう。


 事実、俺はオークの攻撃を防ぎきることが出来なかった。

 防ぎきれず、後方に侵入を許した結果、何人もの非戦闘員が死んだ。


「・・・必ず、取り返すぞ」




 俺達は集落から北へ、拠点を移した。

 やがてコボルドからの使者が訪れた。


 俺たちと同じく、被害を受けたらしい。

 コボルド達も自分たちでは到底敵いそうにない相手にどうするかと悩んでいたそうだ。


 強襲作戦の決行は数日後・・・なんとかして必勝の策を考えたが、集落の周りは見晴らしがよく、罠も仕掛けられない。

 結果は一点からの強襲しかなかった。


 成功の可能性は限りなく低い。

 オーク自体は対して強くはないが、物量がこちらより圧倒的な数なのだ。

 いくら、戦闘に長けているコボルドや存在発展したホブゴブリンがいても、その物量に潰されてしまうのが落ちだろう。


 そう。そんなことを考えていた時だった。

 どこからか、ウルフの咆哮が耳に届いた。


 ここ東部では南部に生息するウルフなどでは歯が立たない魔物が山ほど生息している。

 それを理解している南部のウルフ達は決して他の森には近づこうとしないはず・・・


 気になって歩みを進めると、マンイーターとウルフの群れが戦闘しているのが見えてくる。


 近くの茂みに息を殺して潜み、戦闘を観察する。


「運が悪いな・・・あの耐久力、主だぞ」


 ウルフ達はここで死ぬと、結論づける。

 マンイーターはこの東部の森でも上位の存在であり、それが主ともなると最悪のスキルを発動する。


「来るぞ・・・「昆虫招集ワームコマンド」が」


「GYURURUUUULAAAAAA!!!!」


 マンイーターが咆哮を上げると同時に15匹ものジャイアントマンティスが現れる。

 見たところあのウルフ達も普通のウルフではないのだろう。

 身のこなしや、攻撃方法から見ても、洗練されている。

 群れでの狩りから見ても知性を感じさせる動きをしているのが明らかであり、魔族なのであろう。


 しかし、流石のウルフ達もジャイアントマンティスの群れには敵わない。

 弾き飛ばされ、体を赤く染め上げる。


「こっちが標的にされる前に離れるか・・・」


 そう振り返ろうとした時にそれが現れた。

 ゆったりとした動き、ウネウネと蠢く、言わずと知れた魔物。

 そう。スライムだ。


「赤い体表のスライム?東部にそんな魔物いたか?南部にそのような魔物がいるとは聞いたこともないのだ・・・がッ!?」


 唐突にそれが訪れた。

 とてつもない魔力の奔流、赤い体表から伸びる数十本もの触手が獲物を捉えんとユラユラと蠢く。


「ミィップブレェドォ!!」


 そう叫ぶと同時に、ユラユラと蠢く触手が硬質な輝きを帯びたと同時に、ジャイアントマンティスは串刺しにされる。


「そんなばかな!?スライムがここまで・・・ありえないぞ!?」


 信じられないほどの魔力の練り込み。高濃度の圧縮された魔力が一気に解き放たれる。

 巨大な水の球体がジャイアントマンティスを包み込む。


「なんだ、この魔力!?有り得ない・・・上位の魔族にも匹敵するぞ!!」


 再びジャイアントマンティスは為すすべもなく爆散する。


 そして、


「・・・冗談だろ。あれは・・・上位精霊か?ハハッ俺は夢でも見てるのか。とうとう頭がイカレたのか。」


 その何人なんぴとをも寄せ付けない圧倒的なまでの威圧で持って、その細い肢体からは計り知れない程の精霊力が迸る。


水天滅激流リヴァイアサン


 此処までの圧倒的な暴力を俺は今まで見たことがない。

 遠くから冒険者が使用する魔法を見たことがあった。しかし、そこまでの威力はなかった。

 俺たちホブゴブリンで対処できるほどだった。


 しかし、このスライムが・・・精霊が使用した魔法は万に一つも防げないだろう。

 その精霊は憂いを帯びた美しい瞳を閉じ、スライムの中へと消えていった。


 精霊をあそこまで使いこなし、スライム自身の力も常軌を逸している。

 最弱種と蔑まれている魔物の一角がこれほどとは。


 腐りきっていた脳に、身体に電流が走る。

 自分の本能が告げているのだ。

 あの神に頭をたれよ・・・と。


「スライムの神様!!どうか俺達を助けてください!!!」


 気づけばもう言葉は出ていた・・・。




 結果は失敗に決まっている・・・。

 俺らしくもない。メリットもなしになぜ俺のような雑魚を庇護下に置いてくれるというのか。


 実に俺という下等生物は馬鹿馬鹿しい。

 今なら、俺の全権限を使ってでも、自分を含めたゴブリン全てを御スライムに捧げることも厭わない。


 そのことを仲間に打ち明けたらこれだ。

 頭の異常を指摘され、疲れているのだと、応急処置室へ運び込まれている。

 頭の固い奴らだ・・・いや、もし仲間の誰かがそんなことを俺に言いようものなら、俺も直ぐ様処置室に運ぶか・・・。


 本当に俺は疲れて夢でも見ていたんだろうか。

 今でも現実味がない状態なのだ。

 兎も角一度寝よう。

 作戦決行は三日後だと聞かされたのだ。今は十分に体を休めて明日にまた考えればいい。


 ん?やけに外が煩いな。

 人の頭を心配して、眠らせているというのに外で騒ぐとは何事だ。

 あとで説教が必要のようだ。


「リ、リーダー!!」


「どうした!何があった!!」


 半分寝かけていた頭が急に活性化する。

 まさか・・・


「オークが攻めてきたのか!!全軍に出げk・・・」


「ち、違う。ババ、バケモンが現られれやがった!!」


「落ち着け!!・・・何があった」


 パニックを起こしているオスのホブゴブリンを落ち着かせる。状態異常にも掛かっていないようだし、どうしたというのだろうか?


「わ、わかった。と、とんでもない魔力を持った、赤いスライムがリーダーに合わせろと、拠点の南門前に来てるぞ・・・」


 その瞬間、俺は跳ね起きて一目散に処置室を飛び出した。


戦闘パート・・・ではないといえば嘘にならない気がしないでも無きにしもあらず。

文章は難しいですね、辞書を片手に奮闘中です・・・。


何か変なところ、見にくい、誤字だ!などがあればどしどし教えて頂けると嬉しいです。

(言い換えでこういうのがありますよなどが合ったら是非教えてください!例:取得→習得、思いやる→慮る、聞こえる→耳に届くなど)


感想なども気軽にどしどし送ってくださいね!

活動報告(私の雑談場)の方にもコメントどうぞ!

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