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6.女騎士

「あ~暇だ~。とてつもなく暇だ~」


チンピラを始末してから一週間。


わかったことがある。


魔王は……暇だ。


まったくもってやることがない。


もしかしたら、魔王とって一番の敵は勇者ではなく暇なのかもしれない。と思ってしまうほどすることがない。


何せやることがない。


「あ~暇だ~」


「暇ね~」


「もぉ~二人ともだらしがないですよ~」


俺とロキアナさんはだらけているがメルクさんはまだ元気なようだ。


炊事や洗濯など色々やることがあるからだろう。


それに比べて俺はやることが全くない。


暇の消化方法を知らない人間に暇を与えるのは一種の拷問にすら感じてくる。


大体この前までブラックアルバイターだったんだ。暇なんてこの数年経験していない。


暇がほしいと思っていたけどいざ暇になるとすることなんて浮かびないな。


「だらしないとか言われたって、今の俺にできることなんてダラダラすることくらいですよ~」


なんだかんだでこのだらだらがやめられないのである。


「なんで暇に対して不屈になってるんですか。ほら外に出ましょう。外の空気を吸えば少しは気がまぎれると思いますよ。二人ともほら立って立って!」


「「えぇ~」」


****


そんなこんなで、俺たちはかれこれ一時間ほどお茶を飲みながら日向ぼっこをしている。


「暇だ~」


「暇ね~」


「暇ですね~」


気が付けば、メルクさんまでこちら側に来ていた。


暖かなお茶を相棒に三人でまったりしている。


ポカポカの太陽おそるべし。


俺たちがのほほんと時間を無駄にしていると、


「少しいいだろうか」


横から声をかけられた。


見たことのない来客に、俺たちはきょとんとなる。


いったい誰なんだ? 武装はしているが、敵意を全く感じない。


「数人組のチンピラみたいなものたちがこのあたりにに来なかっただろうか?」


「数人組? チンピラ……ああ、奴らか」


「あのセンスのかけらもない奴らですね」


「知っているのか!?」


「ええ、知ってますよ」


「どこに行ったか分かるか?」


「さあ? 倒したのでそのあとはさっぱり」


「そうか。礼を言う。ありがとう」


「いや、なりゆきだったから気にしなくていいですよ」


「そう言ってもらえると、こちらもありがたい。

実は奴ら、少し前から近くの村を荒らしていたらしくてな。

そんな不届き者どもを成敗するためにやってきたのだが、遅かったようだな」


「そうだったんですか」


「お主、名前を聞いてもよいだろうか」


「はい、魔王の、魔琴です」


「ま、魔王だと!」


ん、どうしたんだろう。


俺が魔王と名乗ったとたんに彼女の目の色が変わった。


「どうかしたんで―――」


「ジェノサイドスラァァァアアアアアアアアアアアッシュ!!!」


「―――ほうわっ!?」


あっぶねー、いきなり技名らしきものを叫びながら攻撃してきやがった。


すんでのところで避けることができたけど、あと少し避けるのが遅かったら真っ二つになっていたかもしれない。


そう思いながら斬撃のとんだ先を見る。大きな音がしたなと思ったら魔王城にあたったみたいだ。


城の一部が斬撃で削られている。


どうやら、あの斬撃には気を付けなければいけないようだ。


「なんなんだアンタ! いきなり何するんだ!」」


「メイドの土産に教えてやろう。私の名前はリエル・クヴァート。先代勇者の妹だ!」


「勇者の妹……? お前の目的はなんだ!」


「チンピラの制圧だ!」


「終わったよ! あんたの正義のお仕事、魔王の俺がやっちゃったよ!」


「あっ……」


お互い何も言えなくなった。


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