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第2話.魔王になります!

予定よりちょっと遅れました。

楽しみにしていた方いらっしゃいましたらごめんなさい。


俺が変なテンションから元に戻った後、俺は二人に連れられて暖炉のある部屋に案内された。


さて、元の世界に帰れないのはいいんだが本当にここは異世界なのか。


まあ一瞬で外国に来てしまったと言われるより、異世界に転移してしまったと説明されたほうが納得してしまうあたり、俺もなかなかな厨二病患者なのかもしれない。


俺はとりあえず気になった事を2人に質問してみた。


「えーっと、ここは異世界なんでしたっけ?」


「魔王さまからするとそうなります」


「それで、あなたたちは一体何者なんですか?」


「よくぞ聞いてくれました!

私は先祖代々魔王家にお仕えしている一族の末裔。魔人のメルク・フェルトです」


「天才魔法使いロキアナよ。一応ただの人間だけど色々あってここに住んでいるわ」


ロキアナさんは人間なのか。でも自分で天才って……。


「ロキアナさんは魔法の天才なんですよ」


俺の感情を読み取ったのかメルクさんがフォローを入れてきた。


「そういえばさっきから魔王とか何とか呼んでるけどあまり状況がよくわかってないんですよね。魔王ってのは俺のことであってるんです?」


「はい、貴方のことで間違いありません。右手の甲をご覧ください」


「ん……? おぉ!」


そういわれて右手を見てみる。


手の甲に赤い紋様みたいなものができていた。


「なんだこれ?」


「その赤い紋様は魔王の紋様の一部なんです。……ロキアナさん」


「ええ、わかってるわ」


メルクさんの声にそう返したロキアナさんは俺のほうに手をかざし、短く詠唱みたいなものを行った。


「ルキル・ロキル・ルーナ」


ロキアナさんが魔法を使うと、俺はまばゆい光に包まれ、なぜか上半身裸になっていた。


「えっ!なんで俺脱いでんの!?」


「私の魔法よ。もしかして魔法を見たのも初めて?」


「いや手段じゃなくて脱がせた目的! そして初めて見た魔法で脱がされた俺は一体どういう反応すればいいんですかね!?」


「ひれ伏せばいいんじゃないかしら。もちろん私にね。

あと脱がせたのも別に変な意味じゃないわ。あなたの手から背中につながっている紋様を確認したかったの」


「背中?」


俺はひれ伏せの部分は聞かなかったことにし、背中という言葉を疑問に思いながら手にある紋様を目でたどっていく。


確かに紋様は背中につながっているみたいだ。


長袖をの服を着ていたから気がつかなかった。


「魔王様、これで背中にある紋様をご確認いただけますよ」


そう言いながらメルクさんはどこから出したのか大きな鏡を俺のほうへ向けてきた。


俺は鏡に背を向け後ろ目で紋様を確認する。


おおおおおお!


なんかうまく言えないけど、かっけぇ!


いい感じに厨二心をつついてくる模様だ。


「右手から背中につながるその紋様こそ新たな魔王の証なんです」


「なんかかっこいいですね!」


「それで、その紋様を身にまとい召喚されたあなたにお願いがあるんですけども……魔王になっていただけませんか?」


「よし任せろ! 勇者でもリア充でも駆逐してやるぜ!」


あっさりと俺は即答する。


テンションが上がってうっかり言葉遣いがおかしくなってしまった。


「ええ、わかっています。いきなり呼び出されて魔王になってと言われても普通困惑しますよね……あれ?」


メルクさんはそこで口をぽかんと開けて固まった。


あっさりOKもらえて逆に困惑しているみたいだ。


「……ぁ」


お、やっと動いた。


「あの、今何と答えていただけたのでしょうか? 聞き間違いでなければ『よし任せろ! 勇者でもリア充でも駆逐してやるぜ!』と聞こえたのですが」


「要約するとOKと答えつもりだったんですけど。……あれ? なんかダメでした?」


「だ、ダメではないのですが、いえむしろありがたいのですが、困惑されると思っていましたので。


もしよければ即答していただけた理由を聞いてもいいですか?」


「魔王になったら勇者と戦えるでしょう?」


「それはもちろんそうですが」


「勇者ってのは大体リア充でしょう?」


「は、はい。大方そうですね」


「リア充はですね、老若男女問わず俺の敵です。

特にカップルで魔王討伐に来る輩はぶち殺します。

魔王城は新婚旅行で来るところじゃないんだよ!」


「リア充に何か恨みでもあるのですか?」


「恨みはない! 妬みはある! 絶対勇者を倒して見せます! だから俺を魔王にしてください!」


「むしろ勇者よりもリア充討伐してそうですね……ってあれ? 私の説得シーンは? あれっ!? なんで私が説得されているんですか!?」


メルクさんは首をかしげて「あれれ~?」とうなっている。


どうやら現実が受け入れられないようだ。


その光景を横目で見ながら俺はロキアナさんに小声で質問する。


「もしかしてあの子がんばって俺を説得する準備とかしてました?」


「まあ、反応を見ていればわかるとは思うけど、そうね」


何か結論に至ったのか、メルクさんは何とも言えない表情で


「そんな……私の楽しみが……」


とひとり呟いていた。若干涙目だったが。


「むしろ説得するために召喚したと言っても過言ではなかったのに……」


「いや、そこは過言であってくれよ」


……まさか本当にそのためだけに呼び出したんじゃないだろうな。


部屋の隅で小さくなっていじけているメルクさんはひとまず置いておいて、ロキアナさんに質問する。


「それで、魔王になるって決めたのはいいんだがこれから俺は何をすればいいんですか?」


「さっきは魔王になってとお願いしたわけだけど、あくまでそれは意思の確認なの。

実際は召喚された時点でもうあなたは魔王として呼び出されているの。

だからこれといってすることはないわね」


もし俺が断っていたらどうするつもりだったんだろう。


怖いから聞かないけど。


「儀式とかそんなのはないんですか?

てっきり生贄とか用意しないといけないかと思ってたので、どこのリア充を生贄にしてくれようかとワクワク……えーと、びくびくしてたのに」


俺がそういうとロキアナさんはふふっと小さく笑いながら教えてくれた。


「そんなことはしなくても大丈夫よ。

では改めて……魔王様の誕生ね」


「私のセリフ!!」


あ、元気になった。


「あぁ! 二人ともよろしく!

勇者ブチ殺してやるぜ!」


なんかあっさりと魔王になった俺だった。


「まあ、勇者がくるの100年単位で先の話なのですが」


「マジッすかー」


最後に聞き捨てならないことを言われたけど。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

次は明日の23時に投稿予定です。

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