セレシアとエルのとある一日
皆さんお久しぶりです。初めましての方はこんにちわ。私、セレシア・レジェスティ・フールと申します。ここ、アークノルヴェ王国の第一王女として生まれ、今は永遠の14歳。
後少しで次期国王になれる15歳の誕生日前夜、王妃様に雇われた死神と呼ばれる暗殺者に殺されて幽霊になったりと、いろいろなことがありました。それにちょっとブチ切れて王妃様を殺そうと思ったりもしたのですが、それは保留にいたしました。
・・けっ、決して王妃様が怖いわけではないのよっ?本当よっ?
だって・・、エルを守る為だもの!
エルの名前は、エルリック・レジェスティ・ローグというの。あの王妃様の息子で、私の大事なだ・い・じ・な!!弟なのです。エルは私が死んでしまったからこの国で唯一の王位継承者。王妃様の後ろ盾があるからこそ比較的自由に過ごせてる。もし、王妃様がいなくなってしまったらいろんな人が利用しようと近づいてきたり、私のように暗殺されたりとか、エルが危険にさらされてしまうの。なのでエルが大きくなるまでは手を出さないって決めているの。命拾いしたわね、王妃様。・・ふっ。
まぁ、そんなドロドロとした話は置いておいて、
今日は私とエルのとある一日を紹介するわ!
「ー・・さま、ーえさま!」
んぅ、エルの声がするわーー。
セレシアは瞳を開けた。すると、目の前に天使がいた。
「ねえさま、おはようーー」
カーテンの隙間から溢れる朝の日差しがキラキラと金色の髪に反射し、起きたばっかなのだろうか?その翠色の瞳は少しトロンとしている。セレシアが起きたことに気付き、ほにゃっと笑いかけた。
きゅーーーん!!!
「おっ、おはよう、エル」
顔、真っ赤になってないかしら?っもう!エルったら天使すぎて困るわ!もう!
「ねえさま、おかおまっかだね。どうしたの?おねつあるの?」
ピトッ、・・・・・・きゃーーーー!
ピトッて!ピトッって!エルがおおおおでこを私のおでこに・・。顔が近い!瞳を開けてられませんわ!
よけい真っ赤になったセレシア。それを見てエルは慌てた。
「ねえさま!?おかおさっきよりまっかになっちゃったよ!?お、おいしゃさまよぶ?」
それをみたセレシアは、段々と落ち着いていき・・
「クスッ、・・エル。ねえさまは幽霊だからお医者様は必要ないわよ」
「あっ・・。ーでもねえさま、ほんとうにだいじょうぶ?」
少し潤んだ瞳でこちらを見上げてきた。
・・この子、わざとやっているのかしら。
「えぇ、大丈夫よ。さっきのは・・ーっ。えっと、その・・ね、エルが可愛すぎて、ドキドキしてしまったの」
お・・思い出したらまた顔が赤くなってきた・・っ。
それを見たエルはクスリ、と笑った。
「ねえさま、かわいい」
「もうっ!やっ、やめてちょうだい!可愛いなんて・・」
真っ赤になってしまった顔を隠すセレシア。その手を掴み、エルはゆっくりと近づき・・・
「かわいい・・ね」
っっ・・ーー!!!
耳元で囁かれてしまったセレシア。
もう気絶寸前!その時、
コンコンッ、と扉が叩かれた。
「エルリック様、起きていらっしゃいますか?朝食のお時間です。王妃様がお待ちしておりますよ」
その声にほっとするセレシア。
「チッ!」
バッ、と音のした方を見る。
そこにはニッコリと笑っているエル。
・・空耳かしら?
「ねえさま、いってくるね。すぐにかえってくるから」
しょぼーん、とした顔でこちらを見るエル。
「ゆっくりでいいのよ?エル」
セレシアがそういうと、エルはぎゅっ、と抱きつき・・
「ううん。ぼく、ねえさまといっしょにいたいから・・」
きゅんっ
「エー・・『エルリック様?』・・・」
しーん・・・・ぷっつん。
「・・ん?」
今の、なんの音かしら?
「ー・・ねえさま。ぼく、いってくるね」
「あっ、ええ。いってらっしゃい」
「うん。ゆ~っくり、いってくるね」
そう言ってエルは出ていった。
今、エルから微かに黒いものが・・
だめよ、セレシア!気にしたら負けよ!
ーー数十分後ーー
「ねえさま、ただいまー!!」
「あら、お帰りなさい、エル。早かったわ・・ね・・、それ、どうしたの?」
帰ってきたエルが持ってきたのは、かごに入った数個のパンだった。セレシアに聞かれたエルは、とてて、とこちらに駆け寄ってきて隣に座った。
「あのね、ぼくはやくねえさまにあいたくて、ごはんをすこしだけたべておへやをでたの。そのときに、メイドさんがこのパンをくれたんだ」
「まぁ、そうだったの。優しいメイドさんがいてくれてよかったわね」
まさかさっきの・・
「ねえさま?」
「なっ、なな何かしら?エル」
私ったら、何を考えていたのかしら。エルがそんなことするわけないじゃない!そうよそうよ!うんうん。
セレシアが頭の中で納得していると、エルがセレシアにパンを持たせ、目を瞑った。
「あーん」
ん?・・・・ハッ!まさか・・!?いやいやいや、お行儀がよくないわ!やめさせないと!
「あのっ!エルー・・」
「あーん♪」
キラキラキラーー・・
うっ・・。
・・ふっ、所詮人は、天使には敵わない生き物なのだわ・・ー。
その後、千切っては食べさせてと、永遠にも思えるような時間が経過した。
「ごちそうさまでした!ねえさまにたべさせてもらえたからいつもよりなんびゃく、ううん、なんぜんばいもおいしかった!ありがとう、ねえさま!」
「い、いいのよ、エル」
は・・恥ずかしかったー!!エルの口が指にあたるし!たまに舐められるし!あわわわわ!っきゃーー!!
セレシアがあわあわしていると、エルが体をもじもじさせながら言った。
「ねえさま、あのね、ぼくといっしょにおさんぽ・・しよ?」
「喜んで!」
エルの頼みなら私はなんでもするわ!
・・セレシアはもう先ほどのことなどポーンと忘れて、エルとの散歩の事を想像している。
エルはそれをみてくすり、と笑った。
庭園に行こうとエルと廊下を歩いていると、前から護衛を引き連れた王妃様が現れた。
「あら、エルリック・・。護衛も連れずに、ここで何をしているのです」
王妃様は私からみても、とてつもない美人だ。キラキラとした黒色の髪に、エルと同じ、緑色の瞳・・。そして魅力的な体!うう、何を食べたらあんな風に大きな胸になるのかしら・・。
「別に・・」
答えになってないわよエル!
バッ、とセレシアはエルの顔を見た。
(かっ、顔が!エルの天使のように可愛い顔が!!)
その答えが気に入らなかったのか、王妃様は眉間にシワを寄せた。
「まぁ、どうでもよいわ。いくわよ」
王妃様は去っていった。
むっ・・むかつくわ!何よ!自分から聞いておいてどうでもいいなんて!
セレシアは王妃様の目の前まで飛んでいき、掌で彼女の頬を叩いた。まぁ、すり抜けたけれど・・。
そう。彼女のストレス解消法とは、見えない、触れないことをいいことに、王妃様を叩いたり蹴ったりすることであー・・「違うわよ!」ー・・すみません。ーしゅんっ・・。「あっ、ーっ、はっ、半分当たっているわよ!だから落ち込まないでっ!」ー・・キラーン☆はい。ふぉっふぉっふぉっ。ツンデレセレシアちゃんカワユス。「なっ!・・っもう!」
・・すみません。本編戻ります。
叩いた後、スッキリしたセレシアはエルの所へ戻った。エルはまだあの顔をしていた。
セレシアは少し考え、エルの手をぎゅっと握った。
エルはバッ、とセシリアを見上げた。そしてハッ!とした後、ニッコリと天使のような顔で、少しだけ泣きそうな顔をしながら微笑んだ。
ーー庭園ーー
エルと手を繋ぎ、たわいもない話をしながら歩いていたら、庭園についた。
ーサルビアの花が、もうじき咲きそう。
とても楽しみだわ・・ー
セレシアが微笑んでいるのを見たエルは、理由を聞いた。
「ふふっ、今は秘密よ。もうじき教えてあげる」
セレシアはゆっくりと人差し指を唇にあて、ニッコリと微笑んだ。
エルは少し不満そうにしながらも、我慢した。
その後、二人はそりゃもうイチャイチャ(無自覚)しまくった。花冠を作ってお揃いだね、って笑いあい、お花の指輪を作ってエルが「ぼく、おおきくなったらねえさまとけっこんするー!」っていってセレシアの指に嵌め、キスをしようとしたりと。・・さすがに唇へのキスは止めたけどね。ほっぺにちゅーはしたわ。きゃっ!思い出したら恥ずかしくなってきちゃった。でもー・・、ふふっ♪
ニッコリと笑顔のセレシアなのであった。
ーー夜ーー
今日もセレシアとエルは一緒のベットヘ寝転んだ。
エルはうとうとと眠そうにしながらも、セレシアに話しかけた。
「ねえさま。ぼく、きょうも・・ね、とってもたのしかった。また・・あしたー・・も、あさってもずっと・・ーずっと、いっしょにすご・・そうねー・・」
「ふふっ、ええ、エル。ねえさまもエルと、ずっとずっといっしょにいたいわ」
エルはセレシアのその答えに、天使のように微笑んだ。
「で・・ね・・ー・・」
エルの瞳が閉じて、すぅー、すぅーと寝息が聞こえてきた。ー・・ふふっ、可愛い。
今日もとても楽しかったわ。明日も明後日も、ずっとこんな日々が続きますようにー・・。
ーおやすみなさい、エルー
セレシアはエルの額にキスをし、ニッコリと微笑んだ。