非日常との出会い
学校は特に何の変哲もない普通の私立高校だ。スポーツに力を入れてるわけでもなく、偏差値もそれ程高くはない。
特に何事もなく入学式は終わり、政近と黄輝はそれぞれ違うクラスに別れて簡素なHRを行った。
「那雲政近です。一年間宜しくお願いします。」適当に自己紹介を済ました。
他の人の自己紹介は多種多様だった。
冗談を挟みウケを狙おうとする者、
恥ずかしそうに話す者、
その中で一際異彩を放っている女子がいた。見た目はいたって普通で、何の変哲もない女子高校生だ。いや、とても美人だ、僕は初めてこんな美しい人を見た。
てゆーか、顔めっちゃ小さい!
スタイルも抜群、何これ、同じ人間?
て思うくらい美しい。
「瀧上彩奈。」そう言ってすぐ席についた。まぁ美人の人って無愛想でも、いいよね!何か、美人て無口っていうのが、
テンプレだよね。誰がテンプレ化したのか知らないけど、お礼が言いたい。
その他のクラスメイトは基本的にどうでもいい奴らだったので、説明を省く。
橘君は同じクラスではなくて、隣のクラスだった。「おーい、政近帰ろうぜ。」
橘君がまだ先生が自己紹介しているのに廊下から顔を覗いている。
先生は不機嫌そうに、「おい、橘!まだ
、終わって無いんだぞ!自分のクラスに戻れ。」 「え〜それじゃ、早く話終わらしてくださいよ。」
「全く、お前という奴は。」
先生は少し呆れたように言った。
チャイムが鳴り先生の話も終わり、他の人も新しい居場所を見つけようとして、
せわしなく、いろんな人に喋りかけている。「やっと終わったか〜!」黄輝が廊下から飛び出してきた。
「早く帰ろうぜ!」
「ゴメン僕、今日用事があるんだ。」
「用事?ふーん、それじゃ俺はナンパでも行こうかな。」謝りながら教室で黄輝と別れた。僕には高校に入ったらやりたいことがあった。それは、、、、
屋上に登ること!なぜ屋上?と思うだろうが、まず、僕の中学校では屋上に登ることが禁止されていて、ドラマやアニメなどでよく屋上のシーンがあってとても憧れていた、あいにく天気もいいし
、この学校で屋上に登ることは禁止されていない!屋上までの階段を一気に駆け上がった。この胸のときめきが抑えきれない!屋上の扉まで登りつめ、そしてドアノブに手をかけ、扉を勢い良く開けた。
扉の先には、僕と同じ制服を着ている人が外を眺めていた。
この人物好きだな~、入学式が終わりに屋上にいるなんて。まぁ、それを言うと僕も一緒か。その人は扉が開いた音を聞いてゆっくり振り返った。
「待ってたよ。那雲政近君。」
はぁ?ぼくは誰とも会う約束をしてない、僕は一人で外を眺めようと思い屋上に来たはずだ。
「誰だコイツって思ってるよね、俺の名前は雨竜蒼真。」
僕はこの名前を知っている。
前、橘君に街案内をして貰った時にカラーギャングや暴走族よりもっとヤバイ人 、と教えてもらった中に彼の名前もあった。 橘君との会話を思い出した。
「雨竜蒼真、コイツは依頼されたことなら何でもやるっていう、何でも屋をしているんだ。どんな、ヤバイ仕事でもやるらしい。噂じゃ人も殺してるっていうのを聞くくらいヤバイ。」
人を殺してる。流石にそれは無いと思っていと思う。第一人を殺してたら、今僕の目の前にはいない。
「君が来るのを待っていたよ。」
それよりなんでこの人は僕の名前を知ってるんだろう。橘君は見かけたり、喋りかけられたりしたら、返事もせずに逃げろと言われたが、僕を待っているというのはどういうことだろう。僕は好奇心が抑えきれず、返事をしてしまった。
「何故僕の名前を知ってるんですか?
どうして僕を待っていたんですか?
なんで同じ制服を着てるんですか?」
「君思ったよりすごいな、じゃあひとつ ずつ答えていこう、まず、名前については、僕が何でも屋やってることは知ってるかい?」
「まぁ一応。」「そうか」と彼が短く返した。「僕は基本的に何でもするけどそれの報酬としてお金や情報をもらうんだ。それで君の名前を知っている。」
「それと次に、君を待ってた理由は君と喋りたいから。」
「そして、最後になんで同じ制服着ているのかというと、僕は君と同じ学校に通っていて、君の一つ年上だということだ。」もういいかな?
「最後にもうひとつ聞いてもいいですか?」
いいよ。
「人を殺したことはありますか?」
それを聞いた途端彼は、大声を上げて笑った。
「じゃあ、君は僕が人を殺してるように見える?」
見えます。そう答える。
彼の眉が少し動いた。
「面白いね、君! 初対面の人間に人殺しって!」
また、大声で笑った。
「その勇気を評して教えてあげるよ。」
彼は歯を着せぬ言い方で確かにそう言った。
「僕は人を殺したことがある。」