初めての共同作業(意味深)-3
―次の日―
「…小雪さん、少し私の話聞いてくれませんか?」
「うん!いいよ!!何々!?」
「まずは簡単な質問からしますよ。今は何時ですか?」
「んーとね、朝の4時半だね!!太陽カモンエブリバディ!!」
「…ここはどこですか?」
「陽菜ちゃんの家の前の公園だよ!!」
うん、おかしいね。さっきまでベッドで寝てたはずですよ、私。
そもそもパジャマですらない。何で体育着着てるんでしょうか。
「どうやって私の家に侵入したんですか…?」
「窓から!!!余裕だったよ!!」
あぁ、四階から飛び降りる人ですもんね。そりゃ余裕ですよね。
…窓閉めてから寝るべきだったなぁ…。
「最後の質問です。どうしてここに?」
「そりゃ、二人三脚の練習するためだぜ!!昨日の分取り返すよーッ!!」
うん、知ってた。
予想出来たはずだ、この人はこういうことする人だって…。
とはいえ、小雪さんの熱(苦し)い言動で完全に目が覚めてしまった。
どうせ来たなら少しやっていくのもいいかもしれませんね。
「…はぁ。分かりました。少しだけですからね?」
「その意気だぜ、陽菜ちゃん!!今日はちゃんと結ぶもの持ってきたよ!!」
そう言って小雪さんが取り出したものに異議を唱えざるを得なかった。
「…何故、そんな高級そうな帯なんですか小雪さん…?」
「え、家にあったから!!どうせ余ってるものだしいいかなって!☆ミ」
…忘れてたよ。この人ブルジョアなんだった。
私の家から少し離れた所に大きな豪邸が建ったのは、今からおよそ1ヶ月ちょい前くらいでしたね。
言うまでもなく小雪さんの家です。
容姿端麗、家柄○。
なのにどうしてこんなに残念なんですか、小雪さん…!!
「取り敢えずやってみよう!!私と陽菜ちゃんの初めての共同作業だね!♪」
「…意味深に言わないでください。…取り敢えずやってみましょうか。」
二人三脚は息を合わせるのが最重要だ。
足の速さ云々より、どれだけ二人の息が合うかの勝負になる。
曲がりなりにも1ヶ月共に過ごしてきたのだ。多少は息が合う…かなぁ…。
私の右足と小雪さんの左足を無駄に高級そうな帯で結び付ける。
身長はそこまで変わらないのでそこまなちぐはぐにはならないはずだ。
「うおー!!陽菜ちゃんと繋がってる気がするぅぅ!!!ファンタスティック☆ミ」
「いいですか?小雪さんはまず左足を前に出してください。いいですか、左足ですよ?」
相変わらずの叫びは軽くスルーして、確認に入る。入念に確認しておかないと大変なことになりそうだ。
「うん!!分かったー!!」なんて言ってるがこの人本当に分かってるんでしょうか?
まぁ、何事もやってみないと分からない。
「じゃあ、行きますよ。せーの…」
「レッツゴー☆☆!!!快速で行くぜぇぇぇ!!!」
確かに、小雪さんは最初に左足を出した。
「ストップです!!ストップ!!引き摺らないで!!」
共同作業って言ったな?あれは嘘だ。と言わんばかりの無慈悲な加速。
スタートの掛け声と共に彼女は爆走。私が合わせようとした時にはもう私は無惨にも引き摺られていた。
「もー!!陽菜ちゃん遅いよ!?一位取るんだから!!☆ミ」
これはもう既に二人三脚じゃない…、拷問ですよ…。