初めての都会デート(百合ではない)-4
オーケー、一度状況を整理しよう。これは何かの間違い。もしくはこの暑さがもたらした幻覚に違いない。私の隣にいたのは美少女であることはあるのだが、こんな女神のような人ではない。
まず、ここは原宿の駅前の大通的な場所。人がたくさん。倒れそう。
そこで私と小雪さんが集まって喋りながら歩いていると、何やら頭の悪そうな男達が話しかけてきた、と。
そしてこの人達は、きっと私達に話しかけてきたことを後悔するはずなのだ。小雪さんの本性、もといネジの外れた発言を聞きさえすれば。
よし、それを踏まえた上でもう一度隣を見てみよう。いつもみたいに思わず耳を塞ぎたくなるような発言の数々が飛び出してるはず…ッ!!
「お、もしかしてお嬢さん照れてる感じ!? 別に緊張しなくてもいいんだけどな~」
「あ、あう…。困ります、こんなの…」
誰だぁぁぁぁぁぁ!!!!私の隣に存在するこの完全無欠超美少女は一体誰なんですかぁぁぁぁぁ!!!???
何で照れてるんですか、いつもみたいに
「え、もしかしてこれはSASUKEのお誘いかな!? いいよいいよー!! 私の実力見せてやるぜよ!!!」
みたいなこと言ってくださいよ!!
頭のぶっ飛んだ発言しない小雪さんなんて、本の無い図書館と同じようなものですよ。中身が一切存在しない、外観だけの量産型美少女。美少女は量産されてないけど。
「大丈夫大丈夫!! 俺らがこの街案内してあげるからさ~! ね?」
「あ、あの…小雪さん困ってますし、その辺で…」
このままでは埒が明かないと思い、私が口を挟む。多分このまま小雪さんに応対させていたらなすがままこの人達の言いなりになってしまう。
「いいじゃんいいじゃん!! ほら、君も行こうよ!」
ナンパ男達を制止するために小雪さんの前へと出した腕を不意に掴まれる。
「ちょっと、勝手に掴まないでください…」
知らない男性に腕を掴まれることはあまり好ましくない。拒否反応を口に出し、振りほどこうとする。が、やはり性別の差は大きく簡単には振りほどけない。
「ちょ、暴れんなって!!」
「ここまで拒否されちゃうとはなー。…まぁ、そっちの地味な娘はおまけみたいなもんだし、最悪そっちの可愛い娘だけでもいいか」
私の腕を掴んだ男の隣にいた男が、小雪さんへと手を伸ばす。その伸ばされた手に、小雪さんは体をビクッと強張らせ怯えていた。
その光景を見た私は思った。あ、これは久々にあれやらなきゃダメなパターンだ、と。
小雪さんと一緒に過ごしてきて、大分私の理性は強くなった。この人にキレたところでどうしようもないですからね。
だが、これはあの時と同じだ。『大事なもの』を守る為なら、これが必要な場面であろう。
そろそろ限界なんです。…ここで一気に放出してもいいですよね、と思い私は大きく息を吸い込んだ。




