初めての都会デート(百合ではない)-2
どこもかしかも人で溢れているこの場所は、私にとってはとても居づらい場所だ。
そして周りをビルなどで囲まれていることもあり、閉塞感が半端ない。怖い。
しかし、そんな状況でも…
「ビルたっけぇ!!! 私の家の1,5倍くらいあるじゃん!! 登りたい!!」
私の隣には馬鹿が一人。つか、小雪さんの家どんだけ大きいんですか。この辺のビルと大差ないとか。
幸いなことに小雪さんのアホみたいな発言も、都会の喧騒の中ではあまり目立たないようだ。本当ここ色々な音で溢れてますからね。
だが、そうであるのにも関わらずすれ違う人の大半がこちらを二度見するのは何故なのか。
答えは簡単です。小雪さんの容姿を見ればそれが答えです。
いつも見ている学校の制服姿ではなく、今日は勿論のことながら私服。因みに私の格好はその辺を歩いてる派手ではない女性を想像していただければ事足りる。眼鏡かけてます。
今日の小雪さんの格好は、私のそれとは大きく異なる。なんというか、もうおしゃれ。一瞬モデルさん?みたいに思っちゃうくらい。
真っ白な装飾の美しいワンピースを身に纏い、両耳にある高級そうなイヤリングが太陽の光を反射して眩しく輝く。
足元に目をやると、彼女はこれまたデザインの豪華なハイヒールを履いている。え、なんだこれ。なんだこのお嬢様。
そしてそれら全ての装飾品を霞ませる程に美しく整った顔立ち、男の目を奪う豊満な胸。死にさらせ。
正直ね、アホみたいに目立つんですよ。それこそ、小雪さんの周りだけオーラがなんかもう違う。
「いやー、今日も暑いねぇ陽菜ちゃん!! 超脱ぎたい!! 産まれたままの姿になりたーい!!」
「マジで止めてくださいね。何人か死にますから」
ほら、今の発言聞いた男の人が何人か悶えてますから。小雪…恐ろしい娘…。
「そして今日も陽菜ちゃんは可愛い!! いつもと印象が違って、とってもカ☆ワ☆イ☆イ☆」
「皮肉にしか聞こえませんよ…。…でも、ありがとうございます」
多分だが、皮肉ではないのだと思う。皮肉が言えるほどこの人性格悪くないですし、そもそも思ったことが口に出てしまう人なのは私が一番分かっている。
「というか、今日の小雪さんの格好もとても綺麗ですよ」
「え、そう~? 面倒だったから家にあったの適当に着てきたんだけど、似合ってるなら良かったよ~!!」
多分これも本当のことなんだろうなぁ…。お母さん辺りが全部用意とかしてくれてそう…。




