第十二章:障害物を踏み台すること
完結です! いわゆるアフターストーリーってやつですね。読まなくても問題ないですw でも、二人がどうなったか、気になりません? 気にならないですね……
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結局、私と楠雄は結婚した。私や楠雄が好きな作家さんから言わせてもらえば、叶った恋愛話を語るのはつまらないらしいから、あえて言わないけど、一つだけ言わせて欲しいの。
「タイミングが合わないなら、合わせればいい」
ってね。退院後、刑事さんのもとに二人で行って、起訴する方針で新しい人生は出発した。楠雄と刑事さんは絶対に聞かせてくれなかったけど、もうひとつの証拠によって学も被害者として洋を訴えることになった。洋は今では牢屋の中、あと少ししたら出てくるらしいけど執行猶予つきだから、一安心かな。学とも仲直りできたし、私が結婚できたのは学の結婚式でブーケをキャッチしたからだと思ってるしね。あと、春花ちゃんね……今、彼女はシングルマザーをやりながら、徳医会を引き継ぐために経験を積んでるらしいの。強い女性の鑑だと思う! 彼女の子のお父さん? それは私も暗黙の了解でなんにも言わないようにしてる。ほかは……学! 学は大学卒業したらすぐに結婚して、奥さんの瑠美ちゃんは編集者、学は作家として頑張っているみたい。瑠美ちゃん曰く、もう一生困らないくらい稼いだらしんだけど、学の創作意欲が止まらないらしいの、学らしいわ。ちなみに鳥居刑事は警視庁に行って、今はエース女性管理官として働いてる。婚期を逃したってたまにメールが来るの。
楠雄いや、私の夫は加賀見教授のもとで勉強後、同大学の助教授、准教授、教授となって、若き病理学の権威なんて言われてる。同時に徳医会の幹部もやってて忙しいけど、ちゃんと家族の時間はとってくれる。かくゆう私は、娘の楓と息子の竹雄を産んだあと、子育てしてる。二人共大きくなったら、私も心療内科として復帰するつもり。たまに春花ちゃんと瑠美ちゃんと女三人で女子会したりもしてる。
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俺はいまでもあの晩をこう思う。その日は暗い雲が空を覆い、小雨が降る見通しの悪い日だった。別に俺だって悪くなかった。もちろん、椋乃も悪くない。椋乃がとても可愛いく昔からそういう類の奴に狙われていたことも、見通しが悪い天気であったことも、俺が椋乃と一緒に帰れなかったことも、俺が発見者になり椋乃が被害者になってしまったことも……ただの偶然の重なりにすぎない。
でも、良くない偶然が重なりそうなら、良い必然を挟めばいい。そうすれば、ズレたタイミングは違う重なり方をして、人生の歯車は違うものとかみ合い、違う方向に回りだす。間違っていたなら直せばいい、それが人生だ。
《完》
まさか、ハッピーエンドでしたね。いやー、投稿し終えました! ちょっとだけ後語りを……
この話は元々はもっと自然なハッピーエンドを予想していましたが、ある人物設定を立てるために内容自体は大きくは変わりませんでしたが、キャラの性格が大きく変動しました。それは「楠雄」でも「椋乃」でも「洋」でもなく、「学」でした! 彼は文学部に進んで、賞をとるみたいな流れを組んだ時に、こんな純粋な人間がこんな事件を起こすか……? と思ってしまいました。そこで、学にはいい人になってもらいました。でも、そのせいで学の予定していたダークな部分を全部、洋に着せることになってしまいました……。はっきり言って、洋はまったく好感が持てない悪役にしてしまったことが非常に残念です。悪役でさえも愛されるようにするのが私の考える小説の鑑なのに……。今後の作品ではこのような悪役が出ないように頑張りたい!
最後になりました、最後まで読んでいただきありがとうございました! 今後作に置きましては、このサイトの簡易ブログの方に! では、また会える日を! 笑顔でさらばヽ(・∀・)ノ