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第一話 ~イクス~

 場所はウラシア大陸東北部。ノルウェン国城内の広場にて、多数の剣戟が鳴り響く。

 爆音や獣の鳴き声、それに混じって人々の悲鳴に近い声が城の中庭から上がってくる。

 煙や砂埃が立ち込めて辺りが見えなくなることもしばしば。ひときわ大きな声が上がるところでは火をまとった狐が天に向かって火を吐き、傍らでは大きな羽を羽ばたかせた鳥獣、グリフォンが宙に飛び上がり、空を自由に旋回している。

 これはノルウェン国に城を落とそうと、敵兵が押し寄せてきた、というわけではない。見れば幾人かのノルウェン国の兵士達が飛び回る獣や響く剣戟、爆音が響くすぐそばにいて監視している。

 これは試験だった。ここノルウェン国は周辺諸国から優秀な人材を募集していたのだ。その人材の能力を測る試験が行われている。

 募集要項は近接の戦闘に優れた戦士、体を流れる気をエレメントに変換し使用する術士、その気を魔力に変えて精霊たちに呼びかけ、奇跡を起こす魔術師だ。特殊な募集事例として獣を召喚し使役できる召喚士という者達もいる。

 

 募集理由は単純に兵力が不足していたから。その最たる原因が永氷竜と呼ばれる幻獣コールドドラゴン。古より伝わる四大竜の一匹だ。

 何千年も前に封印されていたとされる四大竜が十数年前に観測されたのだ。ほぼ同時期、ウラシア大陸の各々四地域で。

 その一報はすぐ全地域に広まり、驚きと恐怖でウラシア大陸全土は混乱の渦に陥った。

 その中の一匹、ノルウェン国に北部に突如出現した永氷竜=コールドドラゴン。口からはありとあらゆる物を凍らせてしまう冷気を吐き出し、見えうる限りの全生命を奪い尽くした。

 巨大な羽が生み出す強風は大地を氷で染め上げ、膨大な魔力は天から数多の氷塊を生み出し、凍えた大地を打ち砕く。宝石のようにキラキラと輝く吐息は命の火をかき消し、幕を下ろす人生に有終の美を飾る。


 コールドドラゴンはノルウェン国北部地域をわずか七日で壊滅させ、その後住み着いてしまったのだ。

 ノルウェン国は全兵力を投入し、討伐に赴いた。が、ドラゴンの力は驚異的で多くの犠牲が払われただけだった。

 その補充要因としてやってきたのが現在城の中庭で剣戟や爆発音を奏でている者達というわけだ。監視している兵士はその実力を測るための審査員達。

 コールドドラゴンを討伐するにあたり、その資格を有しているか、審査するのだ。

 兵士達の眼鏡にかなう者は少数、前回の募集では千人中五十人程。その上位五十名にくい込めばドラゴン追随部隊に所属できるのだ。だから皆、遠路はるばるやってくる。中には国境を幾つも越えてやってくる者もいる。

 国の損得関係なく働いてくれる者達。ノルウェン国にとってはまさに救世主達だ。 その人材をこの世界では総じてイクスと呼ぶ。





「イクス諸君! 我々は君達の活躍を大いに期待している!」


 中庭での実技試験、その後城内で筆記試験を終えた後休憩を挟む。

 再び中庭に呼び出されたイクス達は筆記試験中に用意された台に上った男の演説を聞いていた。


「我々はコールドドラゴンに長年辛酸を舐めさせられてきた! その被害は実に凄まじい! 何が起こったかも分からず、志半ばで氷漬けにされ絶命した者、勇敢にドラゴンに挑み、戦い、散っていった者達の死を無駄にしない為! 我々と協力し――」


 ノルウェン国城の中庭に設置された檀上で熱弁をふるっているのはこの国のドラゴン追随部隊隊長、ゴードン・フィッシャーだ。彼は勇敢にもコールドドラゴンの胸に剣を突きつけた唯一の人物だ。その実績と能力、勇気を買われコールドドラゴンを休む間もなく追随する部隊の隊長に任命されたのだ。


「共にコールドドラゴンを倒そうではないか!」


 ゴードンの言葉に、一旗揚げてやろうと熱い志を持った連中の歓声が怒号のように湧き上がる。約千人のイクス達が城内の中庭で張り上げた声はノルウェン国中に響き渡るほど大きい。


「えー、ではこれからギルド分けに移る。今から呼ばれる者達が同じギルドで同様の任務をこなして寝食を共にし、互いに命を預けあう同志となる!」


 イクスのメンバーは多い。毎年何回かの募集によって今やノルウェン国の兵士よりも多いくらいだ。個人個人を管理するには限界がある。だから幾人かのグループに分け、それをギルドとし、どの程度の功績、能力があるかを管理する。


「では上位者、つまり追随部隊に即戦力として加わる者を私が読み上げる。呼ばれたものは前へ出ろ」


 上位者はゴードン自らが読み上げるらしい。一人の兵士が名簿をゴードンへ掲げて渡す。

 グループ分けの基準は実技、筆記試験の合計点でランク分けされる。

 それぞれの採点は術式で行われその集計はすぐにでる。この広場に来る前、すでに実技、筆記試験の合計点で順位は発表されていた。

 例年通りならば上位十名ずつグループ分けされ、その上位五十名がドラゴン追随部隊と呼ばれる討伐隊に派遣されるはずだ。ここで上位者を発表するのはただの通過儀礼で皆の羨ましい視線にさらされることになる。


「えー、カイン・ヒュガード、ミィコ・アンゼリゼ、――」


 総合得点が上位の者から順に名を呼ばれていく。

 呼ばれたものは群衆から抜け出て、ゴードンの後ろに順に整列していく。そして上位十名の名前が呼ばれたところでゴードンが持っているリストを折りたたんだ。


「以上の十名はドラゴン追随部隊に即戦力として参加してもらう。とは言っても一週間の研修を受けた後でだ。そこは安心していい」


 今期の追随部隊即参加は十名しか選出されないようだ。いつもは五十名近くのイクスが選出されていたのだが今期はやけに少ない。


「ちょっとまて!」


 イクスの中には名を上げようとドラゴン追随部隊に入るがためだけに遠路はるばるやって来た者達も少なくはない。しかも約千人中五十人という、競争率二十倍の狭き門。それが更に五分の一に狭まったのだ。文句が出ないほうがおかしいというもの。


「納得いかねぇぞ!」

「何のためにここまで来たのか分かんねぇだろ!」

「ふざけんな!」


 あちらこちらから罵詈雑言が飛ばされるが的となっているゴードンはどこ吹く風だ。

 この騒ぎでは進行することは難しい。しかし予測していたのか、止めることもせず騒ぎ、が治まる頃合をを待って進行を再開するようだ。

 しかしその考えは甘かった。罵詈雑言は止むことなく、むしろ更にエスカレートしていった。ゴードンの後ろに控えている兵士達がそれを察し、小声で何か囁きあっている。続いて手に槍を持ってその罵声を鎮火しようというのか。一人の兵士が槍を構えようとした。

 だがそれを隣の兵士が制す。イクスはノルウェン国の為にやってきてくれた人材だ。ここで矛先を向ける行為は無礼に当たるし自国の格を下げる無粋な行為となる。兵士は動くに動けない。ゴードンも困り顔だ。

 しかしその罵声は意外な者の発言で鎮火した。


「これには納得いきません」


 野次を飛ばしている連中と同じ。不平を漏らした者は先程ゴードンが真っ先に読み上げた総合首位の人物だったからだ。

 色素の薄い金髪をオールバックにした青年。カイン・ヒュガードだ。

 確かこの青年は一番初めに名前を呼ばれた人物。つまり総合首位だ。

 この意外なクレーマーにゴードンだけではなく、中庭に集まっている者達の野次もぴたりと止まってしまった。


「これはまた……お前は意外性もナンバーワンだな」


 目を幾度かしばたかせ、不可解な面持ちで壇上からカインを見下ろした後、総合首位と皮肉って笑うゴードン。

 だがカインの青い瞳には少し怒りの色が見える。腰には刀身の幅の広いブロードソードが備えられ、あと少し挑発すれば剣を抜いて襲い掛かってきそうな、そんな雰囲気がある。


「納得のいく説明をしてもらいたい! その返答如何では帰らせてもらう!」

「ほう」


 ゴードンは壇上から飛び降りるとカインに歩み寄り、目の前で腰に手をすえて立ちはだかる。更に品定めするように上から下、下から上へ視線をめぐらせて。


「ふむ、実に良い鍛え方だ」


 その品は文句なしの一品だったよう。長袖、長ズボン、更に上着まで来ているというのに盛り上がる筋肉は隠せそうもない。それ程がっちりとした体つきだ。ゴードンは背が高いがそれと同じか少し高い位に背が高い。


「お前のような強靭な体を持ち、頭脳明晰な人材は我々の望む所だ。是非とも追随部隊に入って欲しいんだがな」


 もちろん、ノルウェン側としても総合首位を取るほどの男に帰ってもらいたくはない。だからゴードンは熱い期待の眼差しをカインに送る。


「何が不満だ? こちらも出来る限り努力はしよう」


 是が非でも自分の部隊に迎え入れたいのだろう。熱いまなざしと好条件で問いかける。


「僕には親友がいる。だから――」


 だがそのカインの一言でその熱いまなざしはさっと音がしそうなほどに一瞬で冷たいものとなる。


「あぁ、やめろ。言わなくていい」


 皆まで言うなとゴードンは掌をカインの目の前に提示し言葉を絶った。

 冷たい視線に加え、ゴードンの言葉も温度を下げ、濁らせる。先程までの明朗快活な演説とは違い、失望感が滲み出て落胆の色が隠せない様子。


「はぁ……お前はこういいたいんだろ? 追随部隊に一緒に入って仲良しこよしがしたい親友がいるから枠を増やせ、と」


 完全にカインを馬鹿にした言い方。これには総合首位であるカインも冷静さをかき、たまらず言い返す。


「仲良しこよしではない! 共に戦いたいだけだ!」


 即答したカインにゴードンは思わず吹き出した。冷静さをかき、ムキになるものは得てして手球に取られるものなのだ。


「ははっ、おいおい……今期のイクスはどうなっているんだ!? もしかしてお前らは皆こいつみたいに甘い奴ばかりなのか!?」


 更に大勢のイクスの前で仰々しくカインを掌で示して嘲笑した。


「甘ちゃんは下がってろ!」

「なわけねぇだろ! 引っ込めカイン!」

「カイン! 俺に枠を明け渡せ!」


 先ほどとは色の違う歓声が上がる。

 カインは眉間にしわを寄せ、その歓声を上げる者達に一歩踏み出した。更に剣を握り締めた。

 ここで一暴れするつもりだったのか、その姿勢をカインが見せたとたん、不思議なことに野次が一瞬で消えた。今ならカインを実力で倒し首位の座を奪い取ることが出来る可能性もあるかもしれないのにだ。

 だがそれは実技試験でカインと当たった者達なのだろう。

 今回イクス収集で行われた実技試験には二種類ある。

 一つは自分の技を披露する『実演』だ。これは魔術師、術士が技を出し、有用性や威力を測る目的で行われる。

 もう一つは自分の得意な武器で互いに一対一の勝負を行う『闘技』。対近接での戦闘能力を測る。力強さ、俊敏さ、体術、判断の優劣を測る。

 どちらの評価が高くなるかといえばそれは『闘技』だ。ただ見せるだけの『実演』はどれほど秀逸であってもさほど高くもないが低くもない。それに対し『闘技』はかなり高い。だが初戦で負ければ評価は半分以下確定。勝てば上位に食い込める博打のようなもの。

 『闘技』にてカインは勝ちあがり優勝したのだ。野次を飛ばしている者達はカインに負けたのだろう。だからせめてもと呪いの言葉を吐きかけているのだ。


「カイン・ヒュガード。悪いがこれはお遊びじゃない。戦争だ」


 にじり寄るカインを止めたのはゴードンの片腕と厳しい言葉だった。


「そんなこと分かって――」

「分かってない。お前は何も分かってないんだよ、カイン・ヒュガード。戦争に親友なんてお荷物以外の何者でもない」

「何だとっ」

「お前は親友がやられたらどうする?」

「……それは当然――」

「仇とばかりに一人突っ込んで死ぬつもりか?」


 いきなり問われ、更に先を越されたカインは口をつぐむ他ない。

 カインのような者を以前に見てきたのだろうか。ゴードンはカインの話す先を言い当て話す。


「その親友とやらが危うくなれば命令を無視してでもお前は救出に赴くだろう。親友を見捨てることなど出来ない、他の仲間はどうだっていい、親友一人のためなら他を見殺しにしてでもと。それが一個隊にどれほどの影響を与えるかも考えずに、それが正義だと、大儀だとっ、戯言を抜かしてな!」


 極限状態での人間の心理や経験に基づく言葉なのだろうか。友情とは邪魔な存在だと。ゴードンは説得するでも言い聞かせるでもなく、ただ感情的になり、カインの思考を批判している。


「い、いや、そういうわけでは……」

「頭を冷やせよ総合首位」


 それは自分へ向けての言葉でもあるかのようにゴードン自身も語気を落とす。


「奴の前で親友なんてのは餌をおびき寄せる餌でしかない。一匹食えたら儲けもん、二匹食えれば丸儲けだ。必要なのは優秀な指揮官。その指揮官の下、従順に命令をこなし、強靭な精神力、鋼の肉体を有した優秀な戦士だ! それに尽きる」


 追随部隊隊長であるゴードンの希望するところは邪魔な存在の一切を排除し、ただ命令に従うだけの従順な人材なのだ。その人材を従順な人形として操ることができたなら、兵士の死亡率も減る、というものだった。非道徳的なその考えも長くドラゴンと対峙した人物だからこその大切さが身にしみているのだ。

 この考え方で兵士の死亡率が減るならば、カインの考えは甘く、青く、無用の長物として扱われることになる。


「これに従えないのならば故郷へ帰ってもらっても一向に構わん。もちろんその時はお前の親友も一緒だ。安心しろ」


 歪む両者の表情の眉にしわがよる。その表情は全くの対極だ。視線はぶつかり合ってどちらも一歩も譲らない。


「その場その場の状況で自己判断し、最良の動きをする兵士、というのも捨てがたい」


 その時、イクスの群集を書き分けて抜け出した一人の青年がいた。ゴードンが振り向いて視線をはずし、カインも視線をそちらに向ける。その青年はゆっくりとゴードンに歩み寄りながら言葉を紡ぐ。


「兵士達は命令だけに従って動く機械ではない、心の通った人間だ。彼らの心理、行動を熟知し、最良の判断を迫られる時もあるのでは?」


 青年は偉そうにゴードンに説教交じりの演説で歩み寄ってきた。ゴードンの前まで来た男はゴードンを見据えて回答を待つ。


「ん? ああ……うむ。それも一理ある。だが、兵士は大勢いる。それら全て把握するのもな。ははっ」


 突然の青年の侵攻にゴードンは目を瞬かせ、しどろもどろ答えた。


「大勢の兵達を統括するアンタの思考はこのカインとかいう堅物の甘ちゃんに理解させるにはちょっと早すぎるのでは?」


 堅物で甘ちゃんというおかしな単語を使う青年の意見にゴードンはしばしの間を入れて、「確かに」と何故か納得してしまう。それに青年も満足そうに頷いた。


「その教育過程を飛ばし、故郷へ帰らせるとはいくら何でも早計というもの。その親友もたまったものではないだろ? それに総合トップの男だ。そちら側としても惜しい人材ではあるはずだ」

「あ、ああ。そうだな……」


 自分の言っていることの早計さ、浅はかさ、損失を思い知らせるような物言いにゴードンもついに折れたようだ。

 ゴードンはカインに向き直ると済まなさそうに頭を掻き、譲歩の意を告げる。


「あー……まあ、なんだ。ああは言ったが個人的にお前のような情に厚いタイプは嫌いじゃない。我々に力を貸してはくれまいか」

「は、はぁ……分かりました」


 上に立つ者であるゴードンに頭を下げられ、譲歩されたのだ。カインは承諾するしかない。

 カインとゴードンは軽く握手を交わす。

 その直後、ゴードンは少し前からある疑問を口にする。


「ところで君は誰だ」


 約千人のイクスの前で平然と演説し荒れた現場を丸め込む青年の名は誰か。ゴードンのみならずイクス達も多少の関心があるようでその成り行きを黙って見届けている。


「ポトス・アイゼンバーグという」


 青年の名はポトス・アイゼンバーグ。年齢十八歳。栗毛色の髪に灰色の瞳。


「そうか。ふむ、なかなか面白い奴だな」

「よく言われる」


 と、謙虚もクソもない返事で即肯定する。それにゴードンは声を上げて笑い、再び「面白い奴だ」と繰り返した。


「まさかお前がカイン・ヒュガードの親友じゃないだろうな?」


 ゴードンは冗談めかして言ってみただけなのだろうがポトスは笑顔で固まり押し黙る。ゴードンは「冗談だろ?」と苦笑しカインを見た。だからポトスへカインが助け舟を出す。


「こいつです」


 泥舟だった。しかも沈没寸前の。

 ポトスは自分が故郷へ強制返還されると危惧した為、千人の前で偉そうな演説を行い、ゴードンを説得しに来ただけだった。

 自分自身へ向けられた弊害を排除する為にこれほどまでのことをする。見上げた根性だが言い換えれば自分がよければカインの意見はどうでもいい。そう取られてもおかしくない。

 情の厚いカインを気に入ったと公言したゴードンにとってポトスの印象は最悪だと思われた。がそうでもなかったらしい。


「はっはっは! こいつはいい!」


 意外にもカインの言葉を聴いて爆笑していた。行き過ぎる悪印象は人によって好印象となりうるのだろう。故郷に帰りたくないという意志が千人のイクスの前で演説させた。その必死さがゴードンを気に入らせたのだ。


「おい! ポトス・アイゼンバーグの順位はいくつだ!」


 すぐ近くにそのリストを持っている者に問いかける。

 目の前にいるポトスは自分の順位を知っている。なのにポトスには問いかけない。それはゴードンがポトスという青年を気に入ったことに他ならない。


「は、はい! えー……ポトス・アイゼンバーグは……」


 当然その言葉に今まで沈黙して成り行きを見守っていたイクス達がざわめいた。 

 ゴードンがポトスを気に入り、兵士に順位を聞く。つまるところ順位がよければドラゴン追随部隊に特別枠で入隊させようとしている。それは火を見るより明らかだ。ポトスがもし上位に食い込めば、最低でも五十位以内に入っていさえすればポトスは入隊してしまうだろう。

 残されたイクス達にもそれは分かる。だから少し前の罵詈雑言がまたしても出てきたのだ。

 

「それで納得すると思ってるのか!」

「職権乱用だぞ! ゴードン!」


 だがそんな罵詈雑言もやはりどこ吹く風のゴードン。ポトスもまたそんな罵詈雑言などどこ吹く風。

 ゴードンはポトスを不適に見据え、ポトスもまた怪しい笑みを持ってゴードンを見据えている。二人の間には何か通じるものがあるようだ。


「ありました! ポトス・アイゼンバーグ! 順位は」


 総合首位のカインが共に戦いたいと思わせるほどの男。千人の前で臆することもなく自衛の為の策を弄しカインとゴードンを和解させただけではなく、気に入らせた男。

 やいやい言うイクスを尻目にポトスの順位が発表された。


「えと、百位です」

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