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謁見の間

遅くなりました。お気に入り登録、評価、拍手ありがとうございます。

 マナー、ダンス、教養をマーロウに、聖教に関する知識とルファの歴史をオルストからそれぞれ及第点を貰った次の日、早苗はレジアスから謁見の間に呼び出された。

 “謁見の間”に呼び出すと言う事はレジアス個人としてではなくルファ国国王としての呼び出しであるとルッティアから説明された。


 この二カ月の間、レジアスとは何度か顔を合わせたが謁見の間が使われる事はなかった。王妃の間に呼び出されるか、真理がお茶会と称して早苗を息抜きに引きずり出した場に乱入してきた時だけである。

 早苗は一応ラジェス国の貴族の娘と言う肩書きが付いたので正式に挨拶をしなくてもいいのかと尋ねた所、着いたその日にディスファルトの婚約者を見たさにレジアスが二人を呼び出した事になっているそうだ。



 公式の謁見と言う事で、朝からルッティア達に磨きあげられた早苗は派手ではないが華やかで上品に仕上げられた。姿見に映った自分の姿を見て感嘆する。


(相変わらずいい腕してるなぁ……)


「さあ!いかがですか?サナエ様!」


「前も思ったけど……本当に凄いね。ありがとう!」


 嬉しくなってお礼を言うと、ルッティア達は満面の笑みを返してくれた。


「サナエ様は元がよろしいですから! この国では黒目も黒髪も滅多に居りませんから私もう嬉しくて嬉しくて! ああ! サナエ様にお召しいただきたいドレスが沢山!! 沢山あるんです!」


「うん、もう好きにしていいから落ち着いてね」


 ルッティアはよく暴走する。早苗の事を元がいいといつも言ってくれているが、早苗自身にその意識はさっぱりないので、たまたまルッティアの好みに自分の外見が当てはまったのだと思っておく事にした。


(もしかしたら世界が違うんだし美的感覚も違うのかもしれないし。今までこんな風に言われる事もなかったんだから有り難く受け取っとこう!)


 早苗がそう結論付けた時、扉がノックされディスファルトが現れた。


「そろそろ時間だが準備は出来ているか?」


「はい。ルッティア達が頑張ってくれました」


「ああ、綺麗だ。よく似合ってる」


 早苗が嬉しそうに言うと、ディスファルトは笑みを浮かべ早苗の少しだけ垂らされていた髪に触れる。


(うぁぁ!? だから何でそんなに近いの!?)


 早苗は毎回思っているだが、ディスファルトとの距離が近いような気がする。

 何と言うか、踏み込めるギリギリの所まで踏み込まれているような感覚に襲われる。


「あ、りがとう、ございます」


 顔を赤くし、しどろもどろ礼を言う姿を微笑ましそうに見ながらディスファルトは早苗の手をとる。


「行くか?」


「はい」


 二人で早苗の部屋を出て、謁見の間に向かう。

 廊下を歩きながらディスファルトと他愛無い話をする。


(いつもより少し多く話してくれてる……緊張してるの分かっちゃったのかなぁ…?)


 いつもと変わらない、でも少しだけ沢山話すことで早苗の緊張を和らげようとしてくれているのだろう。そんなディスファルトの気遣いを感じて心が温かくなる。


「着いたぞ」


 そう言ってディスファルトは大きく重厚な扉の前で、騎士だと思われる人物に話しかけた。二言三言言葉を交わすとすぐにその扉が開かれ、目の前に広々とした空間が広がる。

 そのままディスファルトに促され謁見の間に足を踏み入れた。

 そこにはこの二ヶ月間早苗を支えてくれた人たちが揃っていた。


 中央にある五段ほどの階段の上の玉座であろう大きな椅子にレジアスが座り、すぐ隣の一まわり小さな 椅子に真理が腰かけていた。

 その階段の下には公爵夫妻、マーロウ、オルスト、シスが並び、彼らから少し離れた場所にエルミアとルッティアが居た。


(……ルッティ!? 私が部屋出る時にはまだ向こうで片付けしてたのに……!?)


 早苗は集まった顔ぶれよりルッティアの早業に驚いた。


「来たか」


 早苗たちが彼らの前まで来たのを見計らいレジアスが声をかけてきたので、早苗はこの二カ月マーロウに叩きこまれた動作で礼をする。


「ここにはお前の事情を知る人間しかいないからそう畏まらなくていいぞ?」


 早苗が口を開く前にレジアスが告げた。


「そう言う訳には……」


「気にするな。いつも通りしていろ。別に普段が礼を欠いているわけでもない」


「ありがとうございます。ではお言葉に甘えさせていただきます」


「ああ。そうしろ。で、今日お前をここに呼んだのはこの二人から合格が出たと聞いたからだ」


「はい。及第点を頂きました」


「そうか。この二カ月ここにいる人間がお前の人となりを見てきた。勉強や教養だけじゃない。人間性もサナエは文句なしで合格だそうだ」


「人間性、ですか」


 そう早苗が言うと、レジアスは人の悪そうな笑みを口元に乗せた。


「悪いな。二ヶ月間お前がどういう人間か見せてもらった」


「いえ、それはそう言うものでしょうから」


「物わかりがいいな。怒るかと思ったぞ?」


「怒りませんよ。採用試験の一種でしょう」


 そう返すとレジアスはおかしそうに笑った。


「そうだ。言っただろう? お前には密命を受けてもらうと」


「そうですね。何ですか密命って」


「サナエ、会計士として俺の下で働かないか?」


 レジアスの言葉は早苗の思考を奪った。

変なところで止まって申し訳ありません。

ここで止めると色々あれかなと思ったんですが、ここで止めないと暫く止められるところがなさそうだったのでここで。

次は出来るだけ早く書けるように頑張ります。



あと、あんまり必要じゃないと思って書いてない部分ですが、早苗の容姿は凄く綺麗とかではないです。ちょっと綺麗くらいです。

誰もが振りかえる美人じゃないけど、時々誰かの好みにハマる、クラスとかで人気投票したら一番じゃないけどそこそこ票が入る感じです。

ルッティアが早苗べた褒めなのは、早苗の思ってる通りルッティアの好みの顔ってだけだと思って下さい。

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