神話と歴史
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ここの所急激に増えて、恐縮しております。
相変わらず拙い文章で申し訳ありませんが、暇つぶしになれば嬉しく思います。
ありがとうございます。
-始まりの時、創世を司る神はこの世界の器を創った。
そしてこの世界を護り支える主神、聖神・オルセレイを創造した。
創世の神と聖神は、創造の力を持って後の七神のうちの二神、太陽神ポアルイテスと月神マナルーシェを生み出した。
これによりこの世界に昼と夜が出来た。
その後も、創世の神と聖神は地神ルイシェイラ、水神ディオエネオーラ、風神シフライ、火神ファレイドを生み出していった。
そして世界に大地と海が生まれ、生命が育まれる環境が整った。
そこで神々は数多の命を世界に根付かせていった。
世界が安定してきた時、神々は“人”を生み出そうとした。
けれどその時、それまで口をはさむことなく見守っていた創世の神が語り出した。この世界の前に創られた世界の事を。
その世界には“魔法”と呼ばれる力があった。その力は人と世界に繁栄を齎した。だがいつしか人はその力を争いに使い始めた。
争いは増え世界は荒廃し、最後には滅んでしまったと。
創世の神の悲しそうな顔を見て神々は人に“魔法”を与えない事にした。
悲しみが繰り返されないようにと。
そして人が世界に馴染んだ時、創世の神は七神に後を任せ次の世界を創る為に世界から姿を消した。
世界は世界に在るものに委ねられた-
これが聖教に伝わる創世神話の概要である。
(神様の名前とか無理! 覚えられない!)
早苗の最初の感想がこれだった。
「オルくん、オルくん、質問です」
そう言って早苗が手を挙げる。ちなみにオルくんとはオルストの事である。
何故オルくんと呼ぶようになったかと言うと、早い話がオルストの周りにいる妙齢のお嬢様方の視線が余りにもキツかった為である。
早苗は立場上は宰相の婚約者で他国からの賓客であり、加えてオルスト本人がさん付けで呼ばれる事を極端に拒否したため、呼び捨てにしてみた結果、お嬢様方から射殺さんばかりの視線を向けられたのだ。
「はい? なんですか?」
「この世界では戦争って起きないんですか?」
「他の大陸の事はきちんと把握できていませんが、アーシェリア大陸では今は戦争は起きていませんよ」
「今は、ですか?」
「はい。“魔法”なんてなくても人は争うものです」
「それは、私の世界でもそうでしたけど……」
「そうですね、争いが起こったのは随分前ですよ」
「そうなんですか?」
「はい。今から三代前の王の頃ですかね? その争い以降は起こっていないはずですよ」
「三代前ですか」
「はい。四代前の王が後宮に一大ハーレムを築いちゃって国政がガタガタになっちゃったんですよ。後宮は後宮で暗殺だの謀略だのでドロドロだったみたいですし。で、何とか王を退位させて三代前の王が即位されたんですが、そこでカデスが攻め込んできたんですよ」
「どうなったんですか?」
「それが不思議な事に争いが始まってから急激に作物が育たなくなったしまったんです。特に争いを仕掛けたカデス国内は酷いものだったと聞いています。それで争っている場合ではなくなって軍を引いたんですよ」
「作物が育たなくなったって…」
「不思議ですよね。当時の文献を読む限り天候が大きく変わるとかはなかったようですし。やっぱり神意なんでしょうね」
「…オルくん、神官だよね?」
「はい。有り難くも神官長の任を頂いております」
「そこは神意だって言い切っておかなくていいんですか?」
「…あ。そうですね。じゃあ間違いなく神意です!」
(それでいいの!?)
早苗は何とも言えない不安に襲われた。
ルファ国の歴史を分かっている範囲で纏めると、世界に馴染んでいった人々は最初は小さな集落を形成して暮らしていたそうだが、徐々に集落は大きくなり国の形をとっていったそうだ。そんな中最も早く国として成立したのがルファ国らしい。
この辺りは口伝が多いので信憑性は微妙な気がするのだが、メラリア公国でもルファ国が最も古い国であると言われているので、全くのデタラメと言う訳でもないだろう。
その後は多少のごたつきもあったようだが、概ね問題なく国を大きくしていった様だ。
そしていつしかルファはアーシェリア大陸一の大国となっていた。
それから時代は流れ、航海技術が発展しアーシェリア以外の大陸とも少しずつではあるが交易が始まった。
そして、今より四代前の王の時代となる。
王は大層な女好きであったそうで、美しいと評判の娘がいると、身分も何も関係なしに後宮へと入れていった。そのうちに執務も疎かになり後宮に滞在する時間が長くなっていった。
国は荒れて行く一方だった。そんな時、王に代わって政務を行っていた王太子がとうとう父王を退位に追い込み、後宮を解体。王として国の立て直しに尽力した。
そしてやっと少しまともな状態になってきた矢先、カデスが国境を越えて戦を仕掛けてきた。
しかし、戦は長くは続かなかった。
カデス国内において作物がさっぱり育たなくなったのだ。あっという間に国庫は尽き、カデスは軍を引いた。
その話は瞬く間に大陸中に広がり、これ以降アーシェリア大陸で戦が起きる事はなかった。
だが争いが残した爪痕は軽いものではなく、王は終生戦後の復興に尽力することとなる。
そんな父の努力も空しく、息子である次代王により国政は荒れに荒れ、ルファ国建国以来の危機を迎える事になる。
暗闇の様な時代を乗り越え、先王が早い段階で即位し国の腐敗をぎりぎりの所で食いとめた。
即位後碌に休むことなく国の立て直しに奔走した王は、長年の無理が崇り志半ばにしてこの世を去った。
その後を引き継いだのが現王レジアスである。
レジアスは先王が残した沢山の資料と証拠を持ってして奸臣達を排斥していった。
それは余りにも性急な改革に思われたが、そこは神子として神殿を後見に持つ真理の存在が大きかった。
神の意思を蔑にする者には神罰が下る。
カデスに起こった原因不明の不作。褪せる事無く語り継がれるアーシェリアの歴史。
神子と神殿を味方につけ、不正の証拠を突き付けた王に刃向かえるだけの者はそこに存在しなかった。
そうしてルファ国は建国以来の危機を何とか乗り切り今に至る。
早苗がサナエ・マキ・シルヴァとなって約二週間後、勉強を始めてから約二カ月。マーロウとオルストより各分野での合格を貰う事が出来た。
合格を貰った翌日、レジアスから謁見の間へと呼びだされた。
神話に関しては文才も表現力も語彙もないのでこれが限界です…!
そのうちレベルアップ出来たら書き直しますが今はこれが精一杯です。お目溢ししてやって下さい。
今回でお勉強週間が終わるはずです。きっと。
あと、真理や早苗が割とあっさり受け入れられたのは、神話で異世界の存在自体は語られてたので、見た事ないけど別の世界があるんだろうな~ぐらいの認識があったからです。でも真理は最初だったので苦労はしてます。半分くらいはレジアスの所為なんですけどね。