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序章
--小さい頃、思い描いた夢があった。
その夢を追いかけてここまで来た。
ここまで来るのは早かったのか、周りからは優秀だと言われた。妬まれもした。
でも、私はただ必死だった。他の事は必要最小限にしか顧みなかった。
たぶん、それだけが私の目標だったから。それしか無かったから。
羨ましかったのはきっと、私--
--リィン……
何も無いその空間に微かな音が鳴った。
聴き取りがたいほど微かに響いた鈴のような音を、何も無いはずのその空間で男は確かに聴き取った。
それは、呼ぶ音。
それは、始まりの音。
それは、運命を変える音