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アヤメの決意

 アンナの願いに私は予想外な一言で唖然とした。

 

「私たちの村では輪廻転生が信じられていて、自らの死を願うことで来世では幸福な人生を送ることができると言われています。

 モンスターの襲撃で両親を失い、住む場所も無くなった私は生きていく意味がわからなくなりました。だから来世に身を委ねてみようと思っています。なので信頼のできる霧雨さんにお願いをしたいんです」

 アンナは続けて話した。彼女の目には涙が光っていた。

 アンナはどれだけ絶望したのだろう。突然家族を亡くしたその悲しみは私も分かる。


 話を聞いて、私は生前の記憶を蘇らせていた。


 南雲家の2人兄妹の末っ子として生まれた私は、生まれた時から身体が弱く一年の殆どを病院のベットで過ごしていた。


 病院のベッドで寝るかテレビを見て時間を過ごすしか無かったので私は退屈に感じていた。


 そんな中同じくらいの歳の子が外で走り回っているのを窓から眺めていた私は、自分もそこに混ざって一緒に走りたいと親にせがむが『身体に障るから』と許してもらえなかった。

 

 「アヤメの名前の由来は花の『あやめ』から。

 花言葉の希望をとって、人から愛されて誰かの希望になる子になるようにって願いを込めて名付けているんだよ」

 父親からいつも聞かされていた私は誰かに愛されることを望んでいた。

 ただ家族からの愛に気づいていなかった私は愛されることがどういうことなのか理解していなかった。

 昔の自分を見ているようで放っておけなかった。


 「アンナは人から愛されることがどういうことか分かる?」

 私はアンナに問いかけた。


「人から愛されることですか?

 言われてみるとどういうことかわからないです」

 アンナは私の問いに答えるとなんのことだろうと呆けてみせた。


「実は自分もわからないんだよね。

 生きる意味がわからないなら、ここで死にたいって考えるより生きて愛されることがどういう事なのか一緒に探してみない?」

 私はネガティブを崩すように話しかけた。

 本当は分かっているけど、知らないように装って話した方がアンナのためにも良さそうだな。一緒に探してアンナだけの価値に気付けられるようにしなきゃ。


 私の話を聞くとアンナは笑ってみせた。


 何故人は生きなければいけないのか。その答えを探すために私はアンナと共に旅をする決意を固めた。

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