『タナトスの誘惑』
小説からドラマ,アニメ化になった作品は数多く存在するが 小説から音楽となったものは数少ないだろう。
「小説を音楽にする」そんなプロジェクトとして最も有名なのは、コンポーザーのAyaseとボーカルのikuraからなる音楽ユニットYOASOBIである。小説投稿サイトの作品を原作とした楽曲作りを展開し現在チケットはプラチナチケット,入手困難とされている。
YOASOBIという名前が世界に渡ったのは楽曲「夜に賭ける」だろうか。
2019年に発表されたYOASOBIデビュー曲であり、集計でストリーミング累計13億回再生を史上初めて突破しました。また、オリコン週間合算シングルランキングにおいても累積400万ポイントを達成し、多くの前人未到の音楽記録を樹立している。
星野舞夜による小説『タナトスの誘惑』を原作としており、ポップな曲調とは裏腹に、死の衝動に取り憑かれた恋人を救おうとする主人公の葛藤を描いた作品だ。
小説の中の「タナトス」というのは「死の欲動」
。「生の欲動」(生きたい、生きるための本能)とは真逆で「死にたい」という強い欲からなる。
「タナトス(死の欲動)」を解いた精神分析創設者フロイトが1920年代に導入したである。
1920年は第一次世界大戦の時代、フロイトも年老いて病に侵されて死に近づいていく頃だった。
またフロイトはユダヤ人で集団虐殺による親戚が次々と殺され この概念に行き着いたのだろう。
当時、精神分析で「死にたい」というものがなかったが、メラニー・クラインが1932年以降に積極的に取り入れ発展させた。
人間にもそっとふとした瞬間に破壊性や暴力性に置き換わることがある、悲しさや虚しさ、怒りや嫉妬に心にすり餌ってそれが他人に向かっていく、もしくは自分に向かっていくことがある。
例えば
「こんなに女性が好きなのに」信じてもらえない
共感してほしい、
そんな苦痛から解放されたい などだろうか。
日本の年間自殺者数は、1万9,097人(2025年暫定値)統計が開始された1978年以降、初めて2万人を下回ったがしかし、未だに多くの人が自らの命を落とす
小説はマンションの屋上から飛び降りようとする彼女と、それを止めようとする「僕」の狂気と愛情が入り混じる様子を描いた物語。
「死にたい」から「生きたい」に思考をかえるのはとても難しい。




