表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/80

満洲の分析

何か忘れてると思ってたら、満洲の事完全に忘れてました(°_°)

ひとまず、ポーツマス後から1914年までの満洲の状態を記述していきます。

1. 満鉄の成立と国家的性格


1906年、日本は日露戦争の講和条約であるポーツマス条約によって、ロシア帝国から長春以南の旧東清鉄道南満洲支線を譲渡され、これを基に**南満洲鉄道株式会社(以下、満鉄)**を創設した。


表面上は株式会社であるが、実態は準国家組織である。

以下のような特性を持っていた:

•出資比率は日本政府が5割以上を保有

•初代総裁は後藤新平(元逓信次官、台湾総督府民政長官)

•管理職・現地職員ともに旧官僚・軍人出身が多数


満鉄は鉄道運輸に留まらず、炭鉱・製鉄・農場・都市インフラ・教育・医療など、地域のほぼすべての産業・公共領域に関与するという、まさに「国策会社の中の国」であった。



2. 満鉄附属地と“会社領土”という概念


ロシア時代からの慣行により、鉄道路線から両側100メートル内外の土地が「附属地」として日本の事実上の統治下に置かれた。これを満鉄附属地という。


附属地内では、

•日本法による治安維持(憲兵・巡査配置)

•衛生・上下水道の設置

•日本語による教育

•租税制度の独自運用(事実上の自治財政)


が行われ、結果として**中国領土内にありながら、日本の行政と商業が優先する「会社領」**となっていた。


この附属地が大連・奉天・長春など主要都市の近代化を可能にし、以降の経済発展の母体となる。



3. 鉄道網の拡張と交通インフラの主導権


満鉄が1906年以降に管理・建設を行った鉄道路線は、以下の通りである(1914年時点):

•長春〜大連本線(南満洲本線):主要幹線(全長約900km)

•奉天〜安東支線(安奉線):朝鮮半島との連絡路(国境連絡)

•撫順炭鉱支線・鞍山支線・虎石台支線:資源輸送目的


これらはすべて標準軌(1,435mm)で敷設され、旅客・貨物ともに中国内最速・最高品質の運行を誇った。

時刻表・運賃・荷重規格なども日本基準で統一され、近代的鉄道制度が構築された。


この輸送網は、農産品(大豆)・石炭・鉄鉱石の輸出を加速させると同時に、日本本土との物流連携の生命線となった。



4. 炭鉱・鉄鉱業の直接経営


満鉄は、鉄道事業に加えて、エネルギー源の確保と輸送需要の確保のため、鉱山経営に直接乗り出していた。

•撫順炭鉱:アジア最大級の露天掘炭田。当初は手掘・馬力だったが、徐々に蒸気機関・電力搬送へと移行。

•鞍山鉄山:鉄鉱石の埋蔵量は推定6億トン以上。製鉄所設立はまだ先だが、原鉱の搬出が始まっていた。


これらの鉱山は、満鉄の子会社である「撫順炭鉱株式会社」や「鞍山鉱業所」が管理していたが、実質的には満鉄本体の指揮下にあった。


また、鉱山労働者には朝鮮人労働者や現地の漢族農民が大量に投入され、初期段階から集住・管理・監督の労務体制が導入されていた。



5. 商業・物流拠点としての都市整備


大連・長春・奉天の三都市は、鉄道・港湾と結びつき、満鉄によって近代都市として整備されていった。

•大連:港湾都市。貿易港としての整備が進み、倉庫街、欧風官庁街、日本人町が併存

•長春:鉄道交通の要衝。車両工場・物流集積地として発展

•奉天:伝統都市との融合。旧城下町と新市街を分離、交通・警察機構を日本式に整備


各都市には電灯・水道・警察・学校が設けられ、日本人居留地の環境水準は東京や横浜に匹敵するものとなっていた。


また、都市と郊外を結ぶ軽便鉄道・馬車軌道・バス路線も導入され、地域経済の核として機能していた。



6. 教育・医療・統治補完機能


満鉄は企業でありながら、実質的に「国家の代行機関」として、社会福祉機能も担っていた。

•教育:日本人子弟向け尋常小学校、実業学校。中国人向け義務教育制度の試行

•医療:大連中央病院、奉天診療所など、官民合同の病院整備

•警察・消防:満鉄附属地内に設置。治安維持は日本憲兵・警察による


これらの活動は、しばしば「文化事業」と称され、欧米列強の植民地統治と比して「文明化」の正当化の根拠とされた。


一方で、現地漢族住民にとっては制度の外側に置かれる排除と映ることもあり、民族対立の火種も含んでいた。


7. 満鉄による“経済的領土化”の完成


1914年の段階で、満鉄はすでに以下の4つの機能を果たしていた:

1.輸送の独占

2.資源採掘の実行主体

3.都市建設と商業機能の基盤整備

4.準行政組織としての統治代行


これにより、関東州・満鉄附属地を中心とした南満洲一帯は、**中国の名義的領土でありながら、実質的には日本と満鉄による“経済的植民地”**となっていた。


その過程で、アメリカの資本や技術も一部参入しており、日米共同経営体制の初期形がこの「満鉄モデル」の周縁に生まれつつあったのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ