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蒼穹を分ける三矢

1916年(大正5年)2月1日、海軍省本館第三会議室。

木製の長卓を囲み、帝国海軍の重鎮たちが静かに資料を見つめていた。

議題は「三個特務艦隊の外洋派遣」。その規模も、内容もかつてない。


ー 出席者 ー

•海軍大臣:加藤友三郎

•海軍次官:鈴木貫太郎

•軍令部部長:島村速雄

•軍令部次長:山屋他人

•聯合艦隊司令長官:吉松茂太郎



加藤友三郎:「帝國の防衛体制を維持しつつ、地中海・インド洋・豪州周辺に三艦隊を分けて派遣する。それぞれに適した構成と指揮官を用意せねばならん」


島村部長が地図を指しながら語る。


島村速雄:「太平洋上に於ける独逸海軍の通商破壊艦はほぼ掃討済み。残る脅威は潜水艦程度で、本邦近海に即応部隊を残せば十分と判断されます」


山屋他人:「軍令部としては、三方面に艦隊を派遣可能と判断しております。戦力は標準編成の2倍――各方面に主力巡洋艦2隻、駆逐艦8隻以上、補給艦および掃海艇等を随伴させる構想です」


吉松茂太郎:「聯合艦隊からも十分な人員・艦艇を抽出できます。問題は、遠方展開における補給線と協調体制ですな」



加藤大臣が一人ひとりの顔を見ながら語る。


加藤:「各艦隊の指揮官は以下の通りとしたい。第一特務艦隊は竹下勇中将、第二特務艦隊は佐藤皐蔵少将、第三特務艦隊は山路一善少将。いずれも遠洋経験と協調性に優れた指揮官だ」


鈴木貫太郎:「竹下中将は操艦と統率に長けておりますし、佐藤少将は過去の英海軍演習でも名を上げております。山路少将も仏海軍との連携経験がございます。適任でしょう」



山屋:「駆逐艦の配備に関しては、我が海軍の在籍数を超過します。これについては英政府との交渉により、ロンドン海軍本部から“貸与を確約”されております。具体的には英海軍にて現在運用されているH級駆逐艦を2〜4隻ずつとのことです」


島村:「派遣艦隊は英仏の艦隊指揮下には入らず、協働関係において独立運用とする。ただし作戦会議には全艦隊指揮官が常時出席し、緊急時は連携指揮下に入ることを可とする」



加藤:「三個艦隊の派遣方針、艦隊編成、指揮官人事、英仏との調整いずれも確定。海軍省より首相官邸へ正式建議を行う。2月中に第一・第二艦隊を出港、第三艦隊は整備完了次第追随」


一同が無言で頷く。

帝国海軍は今、三つの海へ、三つの矢を放たんとしていた。

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