なんで知ってるの?
やはりみやはの持つ感染症が悪化してあんなことが起きてしまったようだ。
「ところであんたさ…なんでそんな資料持ってるの?」
れうは少し戸惑った顔をしたが優しい笑顔を浮かばせた。
「ただ、イグニアが好きなんだ」
みやははドン引きだったが何も触れないことにした。
「てか、私が一方的に質問しちゃったけど、わざわざカラオケにきてまで話してるんだから、私にもなんか言いたいこととかあるんじゃないの?」
「んー、そうだな…一応、俺はみやはのことを生物学的に興味を持ってる」
「えぇ…」
「自惚れんなよ」
れうはみやはを睨んで見せたが別に本気で怒っているわけではなかった。
「俺は見ての通り“ただの”イグニア、及びコロニオタクだ。それでみやはの体の状態っていうのは、いわゆるイグニアと人間のキメラだ」
「ぇ…」
か細い声をみやはは上げた。
「…俺は今までイグニアを調べていてこんな状態の人間は初めて見たんだ。どうか原因追求のためにも俺と一緒にイグニアについて研究してくれないか」
れうは丁寧に深々と頭を下げた。
みやはは、正直かなり悩んでいた。今後自分が人間として生きていられる保証はどこにもない。ましてやゆうひのような事故が今度は学校で起きたら…そもそもゆうひのことがまだ大事になっていないのがみやはにとって奇跡でしかないのだ。
「研究って、たとえばどういうことをするの?」
「そうだな…あ、そうだ。ちょうど明後日隣町にイグニアのルグラ総長がくるんだ。それに会いにいくからついてきてくれないか?」
ルグラ総長…王族の1人で暴君だが生まれた地位の高さで許されているコロニの偉いイグニアだ。
「は?私それいく必要ある?」
「みやはが実際にイグニアに接触して得られる情報もあるんだ。頼む」
「てか、明後日って普通に学校あるよ?放課後にいくの?」
「俺は学校休んで朝から行くよ」
「えぇ〜…じゃあ、協力はするけどさぁ…」
「なんだ、行かないのか?」
「うん…ちょっと…」
「俺はお前がバケモノだって知ってるんだけどな」
「え?」
「いや、なんでもない。そうか、来ないのか。わかったよ。別に最初から期待なんかしてなかった」
「え…なになに、まさか誰かに言うつもり?」
「俺はみやはのことは誰にも言わないよ。まあ、みやはが俺に危害を加えるってなら話は別だけど」
「え…怖い」
「別に来なくて大丈夫だよ。うん。あ、そろそろカラオケ退出しないとだね?」
「あ、わかった…」
れうの異質な雰囲気を感じながらカラオケの会計を無言で済ませて2人は帰路についた。
「じゃあね、みやは」
「あ…ばいばい」
そのれうの淡々と歩く姿にみやははとてつもない違和感と威圧感を感じだがゆうひのことで気が重くなってるだけだと思った。