れうの正体
れうの家で疲れ切った2人は眠りについた。
何かが始まる…嵐の前の静けさだ。
2時間ほど寝て、れうは目が覚め、地下に向かった。
「れうくんじゃないか」
「ヒビトさん!」
ヒビトは、霊宮れんとの父親だ。白衣を着ていた。
「今日の昼間は大変だったなあ、作戦は失敗か」
「はい…ヌマタコをルグレに引き渡したかったけど、それどころではなくなってしまって…おそらく我々の動きを読んだ対イグニア同盟の動きでしょう」
「あそこまで派手にやられるとはなあ、俺たちの存在が世に広まっちまうよ」
「ですね…」
「そういえば、あの場に俺の息子…れんとがいたんだけど、何か知らないか?」
「えっ!そ、そうなんですか。れんと…」
「ヒ、ビビトさん〜、ちょっとお願いします〜」
「おっと、呼ばれちまった。じゃあなれう、元気で」
「はい!」
ヒビトに向けて笑顔を作って、いなくなったらすぐ真顔になった。
れうが今いる地下室は…研究所だ。イグニアの。れうはただのイグニアオタクなんかじゃない、若くしてイグニアの研究に励んでいる歴とした研究員の1人だった。れうは“ヌマタコ”の資料を取り出した。
「みやは…」
人間とイグニアの間に子供はできない。どちらのお腹も、その赤ちゃんが成長するのに適した環境ではなくて、赤ちゃんが育たないのだ。しかし、遺伝子操作を重ねた上で、孕ってからも調整を怠らなければごく稀に人間の母やイグニアの母から通称ヌマタコが生まれてくる…とされているが実例は…
だからこういうイグニアの研究所では、元々純粋な人間だった人をキメラに後から改造するケースが多い。ただ、命の保証はなく日本の闇であり違法である。れうのいる研究所はバッチリ違法というよりは黒寄りのグレーである。約14年前、ヌマタコを巡ったイグニアによる反乱事件が起こり、多くの命が理不尽に奪われた事件があった。それ以降みやはの村にはイグニアが行かなくなったのだが…その事件の引き金にもなったのがれうの研究所である。
「みやはは、本当に俺のことを何も知らないんだな…いや、わざと話してないんだから当たり前か…はは…」
みやは…それは、天然のヌマタコだ。母方が人間で、父方がイグニアなのだろう。それは歴史的価値のある固体であった。と同時に、殺戮兵器の可能性を秘めた生き物でもあった。ゆうひを殺したあの時のように、ヌマタコの力は尋常ではない。一時期は天然のヌマタコが生まれたことが裏社会で広まったが、12年前の反乱事件と共にヌマタコの存在は有耶無耶にされ、みやはは自分の正体を知ることもなく生きてきたのだ。
「それが、俺の勝手な都合で…みやはは一生その事実に気付かないまま、生きていけたかもしれないのに」
“あの日”、れうが山に行った、本当の理由は、れうが生きるためにみやはをいknenjbngtskrtm
ー突然、爆発音が聞こえたー
とうとう、あいつの暴走が始まった。