ルグレ
みやは達はついに、イグニアの総長「ルグレ」に会いに行けた。想像よりもずっとイグニアは奇麗だった。
ルグレは人間提供のエビをつまみながら話していた。
「オホホ、時間になりましたね。サァ、今回はワタクシのために集まってありがとう。あなたがた、ありがとう」
ところどころに違和感を感じる日本語だが、問題なく聞き取れる。
「私、この目で見るの初めて。すごい」
れんとが鼻で笑った。
「杉井さんリタイアで」
みやはは歯を食いしばった。
「霊宮野郎が…ていうかれうと霊宮、絶対お互いに性格影響受けてるでしょ」
れうはぎくっとして、れんとは舌打ちした。
「いやまあ…れんとって結構モテるから…」
もじもじと、手を後ろで動かしていた。
「れう…気持ち悪いね…」
「あははは、れう、僕のことそういうふうに思ってたんだ〜。ほれほれ、僕のこともっと真似してみろよ〜」
れうは2人にゲンコツを食らわせた。
「元気な子供達がいますね」
ルグレが3人を見て笑った。みやはがヒュッと息を呑み冷や汗をかいた。ルグレを見ているうちに、目眩がしてきた。
「みやは?大丈夫?」
そう言うれうもなんだかクラクラしていた。みやはは倒れ込み、口を抑えた。
「みやは!?」
そんな時、10人程度の大人たちが乗り込んで、
ルグレに向かって発砲した。
「ぎゃあああああ」
一斉に悲鳴が上がる。
「るぁゅっ」
ルグレはかなり痛がる動作をしたが、体に埋まった銃弾を自らの手で取り出した。
「みやは!れんと!」
しかしその時にはみやはは手袋をしている何者かに服を掴まれていた。
「れう、、!た、助けてっ」
「みやは!」
人混みをかき分けてみやはを追いかけた。発砲騒ぎで辺りがお祭り状態でさらに人が増えていく。
「れう、どうしよう!」
「みやは!!!抑えろ!!!」
みやはは“感染”していた。服を掴むその手を感染したイグニアの爪で引っ掻いた。
手はすぐに離れ、人混みに消えていった。
「はぁ、はぁ、はぁ」
「みやは!?無事か?」
「なんとか…」
みやはは怖くてうずくまってしまった。
「もう無理〜…私帰るぅ…」
「分かった。逃げよう、ほら、立てるか」
れうはみやはをおんぶして逃げた。
「うお…おも…」
「ん…そういえば霊宮は?」
「あいつなら…生きてるだろう…」
「くっそ…なんなんだよ!」
れんとはその場に取り残され、大人達を警備員の人間やイグニアが捕まえる現場を見ていた。
「れん!?」
不意に後ろから声がした。れんとのお父さんだった。かなり若々しく見えるイケメンだ。
「パパ!?」
「こんなところで何をしているんだ!」
「パパこそ!」
「私は仕事でここにいるだけだ。れん、まさか学校をサボってまでわざわざこんなところへ来たのか?」
「あ、や、今日学校休みだから、遊びに来てたらたまたま…パパに会えて嬉しいよ、でも、今は、ごめんなさい!」
「ちょっと、待て!れん!戻ってこい!」
まさか親に会うとは思っていなかったので一旦逃げることにした。