ヌマタコ
情報を集めるためにイグニアに会いに行く3人。電車に乗ってその場所へ向かった。
「なあれう、“ヌマタコ”が最近どうかしたのか?」
「ん…“ヌマタコ”ね…最近進捗があったみたいでよ…」
「え、まって、2人ともヌマタコって何?私にまだ教えてないことあったの?」
れんとは呆れ顔をした。
「おま、れう、杉井さんは本当に何でついてきてるの?」
みやはは拳を握って見せた。
「2人ともいちいち煽るなよ。ごめんみやは、ヌマタコっていうのは、あんまり公の場では言えないんだけど…」
だんだんれうは小声になりながら言った。
「人間とイグニアのキメラの隠語だ」
つまりは…みやはのような状態のことだろう。
「れんとには私が“そう”だって言ってるの?」
2人はれんとに聞こえないようにこそこそ話を始めた。また聞き耳を立てられそうだが、れんとはスマホゲームを始めるとガチャに熱中し始めたため大丈夫だろう。
「言ってない。れんとはなぜだか分からないけど崎田ゆうひにかなり執着している。もしみやはが…ってのがバレたら何をしでかすのか分からない」
「ちょ、ならなんでわざわざついて来させたのよ」
「一応れんともイグニアの研究に必要なんだ」
ちらっと見たらガチャでハズレが出て落胆していた。
「あれのどこがよ?」
「多分崎田ゆうひのことなられんとが1番詳しい」
「ゆうひとイグニア何が関係あるのよ?」
「それを見せるために今から本物のイグニアに会いに行くんだ」
忘れてはいけない。今電車に乗っているのは対イグニア同盟…つまりゆうひの母・崎田あさひなどと関わりの深いイグニアに会いに行くためである。事件の詳細を調べるために多方面から調査を進めるのだ。
「勿体ぶらずに教えてくれてもいいじゃない」
「言葉で説明するのが難しいんだ」
「だるいなあ」
「あ、次みたいだよ。れんとー、ゲームに課金するのもほどほどにな」
「おうー」
ついにこの先を歩けばイグニアに会えるのだ。みやはは人生初である。駅から少し歩いたところで開けた公園のような場所に出た。そこにはステージや椅子が用意されていて、センターには…イグニアがいた。
「わぁ…本物…」
みやはは思わず感嘆してしまった。イグニアは気持ち悪いものだと思っていた、が、鮮やかな赤色とマスコットっぽいタコのような見た目をしたイグニアは可愛い…いや、奇麗というべき美しさだった。
「げー、きもちわり…」
れんとは白目をむいて舌を出した。
(動かなければイケメンなのになあ…)
れんととみやはの思考が一致した瞬間だった。
ステージのイグニアは、ルグレというイグニアだった、ルグレ以外にも護衛のイグニアと人間が何体かいた。
「んにゃぁー、ワタクシは人間と仲良くしたいです。なぜ人がウラギル?」
ルグレはイグニアの基準でいくと男らしいが、想像とは違った可愛らしい声をしていた。