崎田あさひ
みやはが見たことある顔…その正体は、崎田ゆうひの母、崎田あさひだった
「帰り道はこっちだったかしら?私もちょうどそっちに買い物に行くのよ〜、一緒に行きましょう?」
目に光のない、にやけた笑顔を作った。
「あ…はい…」
少し歩いて狭い道に入った時だった。
バチンッ
みやはの頬を崎田あさひは思いっきり叩いた。
「あなたでしょう!?あなたがゆうひを!!!」
勢いのまま倒れたみやはは頬を抑えながら崎田あさひを見上げた。
「え、あ」
みやはが言葉を発する間もなく崎田あさひはポケットから“スタンガン”を取り出した。みやはもそれは一度は目にしたことがあった。“イグニア用のスタンガン”だ。
「みやは!!」
れうが駆けつけてきた。
「ちっ」
崎田あさひはみやはを無視して走って行った。
「みやは、大丈夫か」
みやはは我慢していたが涙が溢れてしまった。
「大丈夫…だよ、ちょっと痛かったから涙出ちゃうけど…」
れうはしゃがんでみやはの手をとった。
「立てるか?うわ、こりゃひどいな…すぐ治ればいいが…」
「え?私そんなに?」
「ああ…イグニアの力を使って直せるか?」
「どういうこと?」
「これも教えるべきだったな。イグニアっていうのは、きっと公に発表されているより、みんなが思っているよりずっとチート性能なんだ。例えば、傷をおったとしても傷の治癒に神経を集中させれば大体治る」
自分の手を見ると、みやはの手は少し感染していた。その手を自分の頬に当ててみた。
「…」
「…」
「ちょ、れう、どうやるん」
ちょっとできそうな雰囲気出したのが恥ずかしくなった。
「俺は感染してないからなあ、詳しくはわかってないんだよ。第一、ここまでイグニアに近い人間は初めて見たからさ。元からできないのかもしれない」
「なんだよー、できるかと思ったじゃん」
れうの背中を軽く叩いた。
「まあ、みやははまだ人間だったってことだな」
「うん…あのさ」
「ん?」
「私、やっぱり明日れうに着いて行こうかな」
「おぉ」
「ゆうひのお母さんのこともそうだし、霊宮が学校で流した噂のせいで学校のストレスが半端じゃないのよ。明日は学校を休みたいからついでにれうについていく。勘違いしないでよね、別にれうに協力的になったわけじゃないから」
みやははケタケタと涙を流しながら笑った。れうも「強がるなよ」と言って笑った。
ーれう、みやは、れんとのライングループー
れう「追加しといた」
既読は2ついているが、返信は誰もしなかった。そういえばみやはとれんとには接点が薄いことをれうは思い出して経緯を2人にラインで説明した。