れんとってもしかして
霊宮れんとに崎田ゆうひが行方不明だという噂が流されていた。れうと少し話した後、れんとはかなり動揺しているようだった。
れんととれうはその日の帰り、一緒に帰ったようだ。
「れう、さっきの話だけど、詳しく聞かせて?」
「うん。崎田ゆうひの親は対イグニア同盟だ。だから国に消されて死んだ」
ゆうひの母のことは事実だ。コロニと地球の繋がりを絶つことを過激に主張しているグレーラインの集団のことだ。みやはのことは、取り乱したれんとがみやはに攻撃してこないように隠して嘘をついている。
「はっ…れうは冗談言うタイプじゃないよなあ?」
「分かってるなら察しろよ。これは事実だ」
れうは肩を捕まれ、近くのフェンスにぶつけられた。
「はい…?崎田ゆうひが死んだ…?僕がみたのを最後に…?そもそもてめえはなんで死んだことを知ってる?なんでそれを黙っていた!!!」
強く握るれんとの腕を掴んでれうは抵抗する。
「怒りの矛先を見間違えるな。今怒るべきは俺じゃないだろ。俺も黙っていないと何をされるか分からない。れんとのことは信頼してるから、今打ち明けたんだ」
「ん…ごめん」
「崎田のことを本当に思うのなら、明日ついてきてほしい場所があるんだ」
「どこ?」
「Y市…そこに対イグニア同盟と関わりの強いイグニアが来るんだ」
「え?対イグニアとイグニアがぶつかってもいいのか?」
「細かいことはおいとけ」
「…まあ、分かった。僕は崎田のことを思って動くからな」
「お前さ、なんでそんな崎田さんのことを気にしてるの?」
「別にいいだろなんでも」
れんとは顔を赤らめて早歩きでれうのもとを離れた。
「れんと、ラインで明日の予定伝えるから」
「はいはい」
れんとは振り返らずに適当に返事をした。
みやははひのに途中までついてきてもらい、そのあとは別れて下校した。
「ばいばーい」
「ばいばいみやたん」
ひのを見ていて、そういえばひのはみやはが山に入るところを見ていたことを思い出した。ひのの家から山は少し遠いし、なぜあそこでひのが出てきたのかも分からない。
「…考えすぎだよね」
とりあえず時系列的には、
れうが山に入る→みやはがひのと会う→みやはが山に入る、ひのは帰った?→ゆうひが山に入る、それをれんとが見ていた
といった感じだろうか。おそらくれんととひのは山の前で会っていないのだろう。ひのは完全にれんとのことを知らない口ぶりだったからだ。
「あら、みやはちゃん」
みやはは突然綺麗なお母さんらしき人に話しかけられた。顔を見て5秒ほど考えたあと、みるみるうちにみやはの顔は青ざめていった。
「お、お久しぶりです…崎田、あさひさん」
崎田あさひ、ゆうひのお母さんであった。