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その頃にはヌマタコを殺しておきたい  作者: てるゆう月
夕日が沈んだ日の夜に
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コロニと地球と少女たち

2XXX年、地球とコロニは平和を誓い共に技術や文化を共有しあい生活をより豊かにすると約束した。

この作品は、地球と“コロニ”という惑星の生命体との共存を目指して、中2の主人公“杉井みやは”とその協力者“井田れう”が葛藤していく様を書いた物語である。

杉井みやは。彼女には秘密がある。焦茶色をしたセミロングの髪の毛を2つにわけおさげをしている、至って普通の中学2年生女子生徒だ。秘密があること以外は。


「みーやはっ!どうしたの〜、浮かない顔して」

彼女は崎田ゆうひ。サラサラのボブで見た目は穏やかな印象、みやはの1番の親友だ。

「あはは〜…ちょっとね、“イグニア”のことで…」

イグニア…それは、地球の周りを回っている星“コロニ”に住む、地球でいう人間のようなポジションの生命体のことだ。

「え、イグニア…?が、どうかしたの?」

ゆうひは戸惑い、顔を顰めた。

「あ、ごめんごめん!ゆうひはイグニアが嫌いなんだっけ」

イグニアの体は赤ー白のどこかの色素を持っている。個体差はかなり大きいが、真っ赤なイグニアはかなりグロテスクな見た目になってしまう。そのため、嫌いになる人がいても無理はないだろう。

「んー、ていうか、親がねぇ…」

苦笑いしてみせたゆうひを見て少し気まずい空気が流れる。

と、そこへバカっぽい子がきた。

「よっ!お前ら何頭良さそうな話してんだよぉ、俺も混ぜろー!」

俺っ子のチビ、彼女は朝井ひの。ただのバカだ。

「別になんでもないよ笑」

みやははケラケラ笑いながら言った。みやはとひのは小学校の頃からの友達だ。中1でクラスが変わり、一時期疎遠になったが今年同じクラスになったことでまた仲良くなった。

逆にゆうひとみやはは、中1で仲良くなりそれ以降親友だ。

「俺なー、コロニと地球が仲良くしようってやつ、ぶっちゃけやなんだよねー」

「え、なんで?」

みやははすかさずツッコミを入れた。ひのは、目をぎゅっと閉じため息をしながら言った。

「だってー、昔は授業でコロニの学習しなかったらしいよ?日本は何がしたいんだか知らないけど、うちまじでコロニの点数低いからー!」

去年は15点だったっけ、とか言いながらひのは時計を見て席に戻った。

「じゃあ、私も戻るねー」

ゆうひも自席に戻り、みやははまた考え事をしだした。

(うっわ〜、こりゃどうしよう…保健室行った方がいいかなあ)

みやはの肩から少し蒸気が出ている。彼女の体はほんの一部だがイグニアと一体化していたのだ。そう、それこそが彼女の秘密だ。

ただ、これはすでに原因が解明済みのただのイグニアからもらう感染症である。体の水分が抜ける、貧血になるなどの害は報告されているが個人差があり、みやはのは正直ほっといてもそんなに苦しくはない。

ただ、今日に限ってはなぜか悪化しているのだ。

(なるべく他の人にはバレたくないんだよなあ感染してるって…)

というのも、時間が経てば治るとされているが、治療法などがまだイマイチ分かっていない現状では隔離とまではいかないが感染者の人間は避けられる傾向にあるためだ。一応、学校側は知っているがクラスメイトなどに伝えるかは任意となっているためみやはの友達には知られていないことになる。

そんなこんなで悩んでいるととっくにチャイムは鳴っていた。が、みやはは肩がじわじわ痛くなっていることを把握していた。今は全然耐えられるレベルだが、このまま悪化したらどうしよう、ということでみやはは保健室に行くことにした。

「ねぇ、井田さん。私保健室行ってくるから先生きたら伝えておいてくれないかな?」

「うん、分かった」

井田…彼は井田れう。みやはの隣の席の男子だ。ちなみにこの会話が初めてした会話だ。れうはよく言えばミステリアスでかっこいい少年だから若干モテてはいるが、悪く言えばただのインキャなので好かれているかと言われると微妙である。

みやはがれうに話しかけた時、ちらっとれうのコロニの教科書が見えたが、そこには悍ましい量の書き込みがされていた。

(げ、どんだけコロニオタクなんだよ…)

みやははその時、その程度にしか思っていなかった。

のちに世界を変えるであろうみやはとれうの最初の出会いはどこにでもいるただの男女だった。

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