第六話 ヒャッハー!
【悲報】ワイ、魔法適性がなかった。
まぁそりゃそうだよね皆魔法が使えるなら皆魔道騎兵になってるもんね。
でも俺はこれは不平等なんじゃないかとおもいました。(小学生並の感想)
でもどうやらそれは魔法石を使わずに、自分の魔力で魔法を使う場合に限って使えないだけみたいで魔法石を使う道具を使う場合は普通に魔法が使えるとの事。使ってみたい。
「魔法使ってみたいな〜」
「そんな目で私を見ても…ちょっと迷いますけど、使わせませんよ。」
「なんで?」
「魔法が使えなくてもこんなに傍若無人なのに魔法なんか使えるようになったら魔王以上に傍若無人になりそうで…」
「え〜〜……」
なぜフレイヤと駄弁っているのかというと、昇進した事で任された前線である川沿いの村の様子を確認するために村の方へと歩いているから。
その間あまりにも暇なので色々考えたりあるいは何も考えないでフレイヤと話していたりする。
前世では女子と話す事なんて無かったから楽しい、あの頃は女子なんて嫉妬深くて怖いもの程度の認識しかなかったが、フレイヤと会ってからは認識が変わってきた。
だが、楽しいだけで許してくれないのがこの世界だった。
「それでさ〜…」
「おい、止まれ。」
前を向けばそこには謎の男四人組が。
「王国軍だ、通行料を出せ」
「俺が王国軍、それも指揮官なんだけど????」
「はぁ?お前みたいなガキが?冗談きついぜ、ハハハ」
笑いだすガラの悪い男達、なんだこいつら。
「殿下、もしかしたら彼らは軍規のあまりよくない部隊出身のものなのかもしれません。あの鎧は正規軍のものです」
「はえー、半分は嘘はついてないって事か…どうする?これ」
「おい、話してないで早く金目のものを出せや、そうしたら通してやるからよ」
「へへへ、おい、今ならその女の身体をちょっとばかし貸してくれたら、通してやるぜ」
「えぇ…なんだこいつ」
ここはアレをやるしかないだろう。
「ええい、この悪人どもめ。見よ!この紋所が目に入らぬか!!!」
俺は腰の剣を引き抜き、その鍔に描かれている王家の紋章を悪人ブラザーズ四人組に見せた!
男達はしばらくきょとんとした直後にギャハハと笑い始めた。
「ななななんだよそれ、ギャハハ、そんなおもちゃで俺たちを騙せると思ってるのかぁ?」
「殿下、レーン川の右岸、つまり赤い森に近い方の農村の住民は王家の家紋をあまり見ないので、もしかしたら彼らは本当にわからないのかもしれません」
「えぇ…あたまわるわるじゃん」
「…あ?おいガキ、いまなんつった…」
「王家の家紋も分からないなんて頭が悪いなって」
「ちょ、殿下!」
「…死ねや!このクソガキ!!!」
「お、おいバカやめろ!」
制止する仲間の声も聞かずに男は小銃をこちらに向け…
パンという音が響いた。
「あっぶね死んだかと思った、ありがとねフレイヤ」
「いや本当に言葉には気をつけてくださいね本当に」
「弾を使ったら怪しまれ…って!?え?!お前?!なぜ生きている!?」
「魔法障壁を使いました。この事はあなた方の指揮官に報告します。」
「…っち、こうなっちゃ生かしておけねぇ、魔法障壁って言っても何発も撃てば壊れるだろ!野郎ども!やっちまウワァァァァァァ!!!」
ゴォォォォォと火炎放射器のようにフレイヤの手から勢いよく炎が出て、男四人組を焼いた。
しばらく焼き、男達が倒れても焼き続けたフレイヤはしばらくすると焼くのをやめた。
「ウェルダンだね。」
「えぇ、よく焼きました」
男と呼ぶより炭と呼ぶ方がふさわしいそれは残り火をプスプスと燃やして死と同時に火葬が済んだ事を認識させた。
「じゃ、行こうか。」
「えぇ。」
「うわぁ、これはひどい有様だ。地獄かな?」
村はひどく荒廃していた。
家々は焼かれており、かつて畑だった場所は墓になり当然守り人もいないので動物に荒らされ死体が地面に露出していた。
「私は大丈夫ですが殿下は大丈夫ですか?前みたいに吐きそうになったら教えてください」
「あぁ、もう慣れたよ…」
歩けばザクザクと音が鳴る整備されていない道路を歩いていると、ふと今や徴集兵になっている村人達が集まって何かをしているのが見えた。
「この人達は何をして…あっ」
彼らはもう動かないハーピーのような魔物の前で激しく前後していた。
「なんだこれは、たまげたなぁ」
「流石に私も少し気持ち悪いですね…」
「これは流石に士気が低すぎるでしょ、明らかに色んな問題があるよ」
「私もそう思います。激戦地に送り込んで死んでもらいましょうかね?」
「いや、普通に軍規違反で処刑すれば良いでしょ、法の支配だよ法の支配。多分叩けばいくらでも埃が出てくるよ」
俺たちは足早にその村を後にし、その部隊の指揮官に彼らを処分するよう命令した。
自分の部隊が腐ってるのは自分の手足が腐ってるのと同じだからね、仕方ないね。