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第五話 航空劣勢

司令部がテントじゃなくてちゃんとした石造りの建物になった!

いや、所々穴とか崩れた所とかあるけど!なんか血痕があったりもするけど!!


「ジーク殿下、部隊の指揮官を連れて来ました。」

「おお、入って入って」


入ってきた四人の男達と1人の女は皆この前の魔道騎兵とは比べ物にならないくらい精悍な顔つきをしていた、きっと死線を乗り越えてきたのだろう。


「第5魔道騎兵連隊長、ヤンティスであります!」

「第64歩兵連隊長、ギャリーであります!他の二人はそれぞれ第56歩兵連隊長と第41歩兵連隊長であります。」

「第14魔法砲兵連隊長、フレイヤです!」

「第3後方支援連隊長、カサンドラであります!」


ヤンティスさんとカサンドラさんは部隊の番号が若い、今度話を聞いてみたら騎兵の運用についてヒントが得られるかもしれない。


「それでは会議を始めよう。議題は部隊の編成の確認だね。それぞれ自分の部隊の編成を報告してくれ。」

「第5魔道騎兵連隊は5個魔道騎兵大隊と魔道騎兵本部中隊を有しています。」

「我々歩兵連隊はそれぞれ6個歩兵大隊と一個本部中隊を有しています」

「魔法砲兵連隊は5個魔法砲兵大隊と一個斥候中隊、本部中隊を有しています」

「後方支援連隊は2個整備中隊と2個補給中隊、一個回復中隊を有しています!」


魔道騎兵と砲兵の割合が多い、いわば城攻めのための精鋭部隊という訳だ。赤い森での惨敗を生き延びたのだから相当な練度だろう。言わなくても順番を守って発言してたしね。


「我々を合わせて第7魔道騎兵師団という訳か。」


すごい仕事を任されたものだ。こんな良い残存戦力があるなら首都近郊の敵戦力なんて全て…


「敵襲!!敵襲!!」

カンカンカンと鐘が鳴らされている!敵襲だ!


「どこからだ?!」

答えたのはフレイヤだった。

「空からです!逃げましょう!」

「空からって、え、えぇ?!」


肩に担ぎあげられてまたすごい速度で走っている。


「だから人間の速度じゃないでしょこれェェェェェ!!!!」


風景が一瞬で後ろから前へ飛んでいく、逆に担がれているから三半規管がついていけなくて気持ちが悪い。

ヒュュュュュという間抜けな風切り音がそこら中で聞こえる。直後に爆発音、低い音だからそこまで怖くないがこれは普通の爆発なので破片が飛び散るのでやっぱり怖い!!


城下町の中心の城の辺りまで来たかと思うとドアを開ける音がした。


そのままカカカカカカとすごい速度で階段を下る音が聞こえたかと思うとようやく下された。


「空襲で死ぬかと思ったし運ばれて死ぬかと思ったよ。」

「あれはワイバーンという飛行生物に乗った魔王軍が城を囲む魔導シールドの上の薄い部分から魔法石を先端に置くことでシールドを貫通できるようにした砲弾を落として城下町を破壊しているものです…」

「対抗できないの?」

「…悔しいですね、何もできないなんて。」


「いや、何もできるでしょ。大砲を上に撃てばいいじゃん。」


そう言うとフレイヤは一瞬きょとんとした顔をしたかと思うと笑い出した


「ハハハハハ!!」

「ちょ、何で笑うのよ」

「フフフ、ごめんなさい。いくら大砲でも空中にいるものに当てるなんて至難の技ですよ」

「直撃させる必要はないんだから空中で爆発させたらいいじゃん」


「…空中で爆発…!!!」


フレイヤはまたきょとんとした顔をしたかと思うとものすごく驚いているような顔をした。


「何その物凄い驚いているような顔、可愛いけど」

「いや、だって、そんな発想無かったですよ。いやよく考えれば時間制御魔法でクロック回路とカウンター回路を組み合わせて信管回路に衝撃として出力すれば…いやそれだとタイマーをセットする必要が…なら跳ね返った魔素ビームを検知するとか…いやそれだと…」


フレイヤは突然一人で独り言を言いながら考え込んでしまった、かわいい。

しかしそうなると俺にはやる事がない、俺はただこの地下壕の中で他の指揮官が無事かどうか考えながら時を過ごした。












「いやはや、ひどい目に遭いましたね…」

「本当にそうですね、まさか司令部が吹き飛ばされるなんて…」


「俺の司令部がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」


なんてことだ、せっかくもらえた司令部が粉々の瓦礫と化している。


「もごもごもご」

「え、なんて?俺右耳の鼓膜破れてるから右から話しかけられてもあんまり聞こえないんだよ…」


話しかけて来ていたのはフレイヤだった。


「あ、そうですね…殿下、多分申請すれば代わりの建物くらいいただけると思いますが…」

「そういう問題ではないのだよこれは…よくも俺の右腕を…なんで右半身ばっかり…」

「これは殿下の右半身ではない気が…」


おのれ魔王軍、許すまじ。もう許さねぇからなぁ!!




「それにしてもどうして誰も対空魔法兵器を作らなかったんだろうね?折角だからフレイヤが対空兵器の第一人者にならない?」

「え、アレを本当に作るのですか?」

「うん、マジマジ」

「…分かりました、でも少し時間が必要です。魔導回路を製作してから職人に大量生産させるまでに時間が必要ですから。」

「おっけー、とりあえず臨時で今すぐ対空に使える魔法とかないの?」

「…嫌がらせ程度に火の玉をぶつけるのは戦争初期にはやっていましたが、ワイバーンは炎に強いためにあまり効果がなくて…」

「何か実弾撃てるやつないの実弾。石でも何でもいいからさ。」

「じ、実弾なんて撃ったらそのうち地面に落ちて来て危ないじゃないですか!」

「爆弾とワイバーンの方が危ないと思うんですけど(名推理)」


「…い、一応あるにはありますが…」

「お、なになに?」

「…レールガンと言って、屑魔法石を魔力を通す素材のレールに挟んで、片方のレールから魔力を通せばローランド効果で屑魔法石が高速で打ち出されるというものならありますね…」

「お、いいじゃんそれ。レールガンっぽいけど名前もレールガンなのか。作るのもそう難しくなさそうだしとりあえずそれ作ろうよ」

「で、ですが屑魔法石は周囲の魔力を吸収する効果があって、近くに置いてある魔法石を屑魔法石にしてしまうんですよ…」

「腐ったミカンって事ね…まぁ管理にさえ気をつければ短期的には役に立つでしょ、職人にお願いしてレールガンとその弾薬の屑魔法石を作ってもらってきて」

「…分かりました…」


魔法があるだけで近世レベルの科学力でレールガンが作れるんだから魔法使えたら便利なんだろうなぁ。

魔法書か何かでも読んで魔法の使い方を学ぶ事にしようかな、そうしよう。

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