第四話 昇進
「うわぁ、ひどい有様だね。」
歩兵部隊が確保した陣地を視察に来た俺は割とグロテスクな光景にモザイクをかけてほしいなって思った。こんなの全国放送できないじゃん。
「フレイヤは吐きそうになったりしない?大丈夫?」
「殿下…私は一応軍人ですよ…」
そっか、フレイヤちゃん軍人なのか。
よく考えたら俺も軍人だけど、それはともかくフレイヤが軍人なのは非常に萌える。『ワタシ軍人…ツヨイネ』されたい。
そんな事を考えていたらふと一つの死体が目に入った。
それは下半身がバイバイしていて、断面からはなんか赤黒くてヒョロ長いものが…
「オエェェェェェ」
「で、殿下?!大丈夫ですか!?」
翌日 王宮にて
「いかにも、私こそが王国軍騎士団長。バルドゥール・フォン・フィードリヒだ。」
うわぁ聞いてた通りすごい偉そうなおっさん。というかフレイヤの胸チラチラ見るなよ俺のだぞ。
「ジーク・ナントカカントカ・ナントカカントカ・フォン・ヴィルヘルムです。」
「ふむ、ジーク君。此度の戦いひとまずご苦労であった。」
「ありがとうございます。閣下」
ナントカカントカって言ったの突っ込まれなかった!俺の『勝ち』やね。
「ジーク君、私は此度の戦いでの君の活躍を昇進という形で祝したいと思う。どうだね?」
「謹んでお受けいたします、閣下」
俺が昇進すれば副官であるフレイヤも恐らく昇進する。それは砲兵が拡大される事を意味しているから重要だ。それに俺が指揮権を持つ部隊も増えるしね。
「それで、ジーク君よ。見返りと言ってはなんだが、そのー…」
「なんでしょう?」
「…昇進の事を王に報告頂けないかね?『私が』君を昇進させたという事を手紙か何かにして王にアピールしてもらいたいのだ。」
成程こいつは地位が欲しいのね、地位が欲しくて可愛い生き物じゃん。ワ、ワァ…!
「もちろんそうさせて頂きます。閣下の厚意での昇進である事を王にご報告いたします。」
「うむ、期待しておるぞ。」
王宮からの帰り道、フレイヤと雑談していた。
「というかあいつフレイヤの胸ばっか見てたよな、他にも見る所いくらでもあるのに、顔とか髪とか性格とか身長とか脚の長さとかあと…」
「殿下…私の事を好いてくれるのは嬉しいのですが、殿下の婚約者の方も好いてあげてください…」
「というか、俺の婚約者って誰なの?」
「殿下の婚約者は…あ!あそこ…」
「え?」
正面を向くと、そこには…
「やぁ、ジーク。待っていたよ。」
うわぁ何このすごい可愛いケモミミ美少女。
「あの方が殿下の婚約者、ローザリンデ・フォン・ハプスブルク様です」
「ハハハハプスブルク?!?!?!?!」
「ハハハハプスブルクじゃなくて、ハプスブルクだよ」
ハプスブルクって言ったらそりゃああのオーストリア=ハンガリー帝国の家系じゃないですか。やばいわよ。
「…?あの方はオーハン王国の第3王女の方です…オーハン王国というのは我々人間や獣人など様々な種族の連合国家で「やっぱりオーハンじゃないか!というか獣人?!?!?!?!?!」殿下落ち着いてください…」
獣人の国とかケモナー大歓喜じゃん、俺も行きたい。
「ふーん…やっぱり記憶喪失っていうのは本当だったんだね。じゃああの夜の事も忘れてるのかな?」
「あの夜の事って?」
「ほら、3年前の夏、君は熱帯夜の熱気の中であんなに私を熱く愛して「あの、普通に外交問題になりますのでおやめ下さい」」
「えぇ俺そんな羨ましい事してたのか「してないです、あの方は冗談がお好きなだけで…」」
心なしかフレイヤが俺の肩を掴む力が強くなっている気がする、あちょっとまって肩つぶれる
「ミズ・フレイヤ。やめてあげなよ、痛がってるよ。」
「あっ!!申し訳ありません殿下…」
「どうして右半身ばっかりこんなに怪我するの…」
ああローザリンデちゃんは優しいなぁ。かわいいし、胸大きいし、それに身長ものすごいデカいし…え、大きくね?多分2mちょっとくらいあるよあれ。
「私の身長なら240cmくらいだよ。」
「デッッッッッッエッッッッッ」
というか何で俺の心の中読んでるの?
「それは私が超能力者だからだよ」
「じゃあさっき俺が思ってた事も…」
「うん…私と交び「違うと思います(全ギレ)」
フレイヤはなぜか顔を真っ赤にしてブチギレている。なんで?
「超能力と魔法ってどんな違いがうわちょっと待ってフレイヤ」
「ふふ、またね。ミスター・ジーク」
フレイヤは俺を抱き抱えたと思えば人間を軽く辞めている速度で走り出した。
「ちょっとどうやってそんな速度で走ってるの、というかこんな所でそんな速度で走ったらあぶな…」
もっと加速した。
「ヒェェェェェェ!!!!!」