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第一話 捨て王子です、早く拾って下さい

「うーん…?」


目が覚めると知らない曇り空だった。

辺りを見渡してみればどうやら道端の石畳の上に寝かされていたようで、体中が痛くて仕方ない。

建物は中世ヨーロッパのような石造りで、ごちゃごちゃした住宅地ばかり見てきた俺には綺麗なものに…見えなかった。

よく見てみれば白い壁には所々黒い焦げ目がついており、中には壁が崩落して半壊した建物もある。


体の節々に痛みを感じながら起き上がり、体をパンパンと払うと遠くから声が聞こえてきた。


「…王子ぃぃぃー…」

「…ジーク殿下ぁー…」


なんで日本語喋ってるのと思った俺は一つの結論を導き出した。

あぁ、これ夢か、と。


これが夢の中だとするなら自分は日本語とせいぜい英語、ロシア語を少ししか知らないので夢の中の登場人物が日本語を喋っていてもおかしくない。

折角だからその『王子』になってやるか、どうせ夢だし。


「おーい!!ここだ!早く来てくれーー!!!」


「…おい!ジーク王子の声じゃないか?!…」

「…殿下ぁー!すぐ行きますからねー!!!…」


やはり夢だ、折角夢の中で夢と認識したのだから明晰夢にしてやろう。

銀髪ロング美少女出てこい銀髪ロング美少女出てこい銀髪ロング美少女出てこい…!!!

いくつかの走る足音が近づいてきて、建物の角から出てきたその人は…!!


「殿下!無事だったのですね!!!」


ワォ、明晰夢最高!!!

そこまで言ってなかったのにちゃんと身長と胸がでかいし声も自分好みだ。

バブみを感じる見た目をしたのでおぎゃる事にした。


「怖かったよぉぉぉぉ!!!!」


俺はその人に抱きついた!


「あらあら、殿下ったら。そういう事は私ではなく殿下の婚約者の方にしてはどうですか?」

「マジ?!俺婚約者いるの?!」


「…俺?!」

「え?」


なぜか驚かれた、こっちが驚きたいのに向こうに驚かれてはあまり驚かない。


「殿下!殿下のひとりしょうは『僕』ですよね?!そうですよね?!!!!!」


ひとりしょうって何だよ、一人称(いちにんしょう)でしょ?でもそういう所も可愛いから好き♡特に銀髪と身長と胸が好き♡


「俺の一人称は昔から俺だよ、そんな事よりちょっとあそこの宿屋に…」

「えええぇぇぇぇぇ!?!?!?!?」

「え?」


やたら驚いている、感情豊かだなこの人。

そういえば名前は何というのだろうか?」


「そういえば貴女の名前は何なの?」

「ワ…ワァ……!」


小さくて可愛い生き物のような声を出しながら感情が豊かすぎて感情が死にかけているその人はフリーズしてしまった。


「中々クレイジーな夢だな、名前だけでも知りたかったんだけどなぁ…」


フリーズしてしまっては彼女を宿屋に連れていくこともできないので仕方なくこの場で致そうと思った矢先に彼女はこう言った。


「で…殿下…これは夢ではありません…」

「これは夢だって言う夢の登場人物がどこにいるよ、いないよ」

「それと私の名前はフレイヤです…」

「フレイヤか!白い炎という訳だね。フレイヤ、我が命の光、我が腰の炎。我が罪、我が魂。フ・レィ・ヤ。……」

「なんか怖いのでやめて下さい…」




「そういえば、ここはどこなの?わたしはだぁれ?」

「で…殿下…殿下はジーク・ヴィルヘルムという名前で、ここはゲルマー王国です…」

「なにそれ完全にドイツじゃん、それで、どうしてこの辺の建物はこんなひどい有様になってるの?」

「それは我が国が戦争中で、負けかけ…いえ、軍が転進し続けているからです…」

「なにその呼び方日帝か?ヘイト国家ゲルマーは転進という呼び方をやめろ!」

「殿下…本当に記憶喪失に…」


どうやら俺は記憶喪失という扱いになるらしい、夢の中でも異常者扱いなんて世知辛いね。


「というかどうしてドイツなのに日本語使ってるの?日独同祖論者か?陰謀論者がよ。」

「殿下…それは「いたぞ!いたぞぉぉぉぉ!!!」」


ランボー者のような声を出しながらやってきた彼らは騎士のような装備を着ていた。


「うわ重そう、それ着てて何でそれ着てるのか疑問に思わないの?」

「殿下…?だってかっこいいし…」

「かっこいい?かっこいい????軍服の方がかっこいいだルルォ????」


「殿下…少し眠っていて下さいね…」

「え、やだよ、だって夢の中で寝たら夢から覚めちゃ…」


文句を言おうとして言い終わらないところでフレイヤの手が俺の口を覆い、謎の青い光が口の中に吸い込まれていった。


「ふぁひこれちぇれんこふこう?(なにこれチェレンコフ光?)」


そのまま意識は深い眠りに堕ちてしまった…

次回はちゃんと戦闘するのでどうか見捨てないでください。

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