第95話 百合華女王のドジっ子メイド
静まり返った女子更衣室で二人きり。
背中を向けている悠の耳に、シュルシュルと衣擦れの音が聞こえる。悠としては色々と想像してしまい気になって仕方がないのだ。
「ユウ君、こっち見ても良いのに」
下着姿の百合華が話しかける。
今日の下着は、薄い紫色の大人なタイプだ。
「いや、ダメだって。学園内でエッチなのは」
「ちょっとくらい良いのに」
立場を弁えると決めたはずなのに、こっそりイチャイチャしたい困った姉である。
ファサッ、シュルシュル――――
メイド服に袖を通す。
「ユウ君、ファスナー上げて」
「う、うん」
悠が振り向くと、そこには可愛いメイド服を着て開いた背中からブラの紐が見えるセクシーな百合華がいた。
「ぐっ、これだけで凄い破壊力が……」
チラリズム理論なのか何なのか、大事なところは隠れているのに、背中から見えるブラの肩紐やサイドベルトやホックがエッチ過ぎる。
白くスベスベで綺麗な背中とブラ紐のコラボが最高の色気だ。
「ああ……また変なフェチを増やされそうな気がする」
「ユウ君、早くファスナー上げて」
「う、うん……」
ジジジィィィィィィ――
「あ、あれ?」
「どうしたの?」
「上がらない……」
メイド服のサイズが小さいのか胸の部分がキツくて途中までしかファスナーが上がらない。
「ええぇ……どうしよう」
「ちょっと位置を変えて……」
メイド服は、胸がキツいのにウエストは緩いようだ。
一般的な体形に合うように作られていて、百合華の超グラビアモデル級のボディには合っていなかった。
「お腹の布が余ってるから上に持ってきてこうやれば……」
ジジジィィ――
「あ、上がった」
何とかジッパーは上がったが、百合華の巨乳で胸の部分がパツパツで全体的に丈が短くなり、裾が上がり超ミニスカになってしまっている。
プリッとした上を向いた尻が、更にスカートを押し上げパンツが見えそうだ。
「くっそエロい」
「もぉ、何なのこれ!」
「これサイズがあってないよ」
「こんなの恥ずかし過ぎるよぉ……」
悠は姉のメイド姿を見て、超興奮すると同時に超心配になってしまう。
ま、マズい!
これは非常にマズい!
これじゃ、お姉ちゃんが……
「ど、どうしよう! お姉ちゃんが羞恥プレイに!」
「羞恥プレイじゃないからぁ!」
真っ赤になってモジモジする姉が超可愛い。
下着が見えそうな超ミニから伸びた太ももを、スリスリとさせている仕草が魅惑的だ。
「これ、どうにかならないかな?」
百合華が下着が見えないように裾を引っ張ると、今度はおっぱいが飛び出しそうになり、おっぱいを隠そうとすれば下着が見えそうになる。
「これはエッチ過ぎるから放送禁止っぽいな」
「何でよぉ~」
「まあ、お姉ちゃんが着れば何でもエロいんだけど」
「ちょっと、ユウ君!」
二人で埒が明かないことになっていると、外から女子たちの声が近付いてくる。
コンコン!
「明石先生、着替え終わりましたか?」
「え、ええ……」
「入りますね」
ガチャ!
クラスの女子数人が入ってきた。
「えええっ、先生、すっごく可愛い!」
「きゃあぁぁーっ! かわいい~」
「え、ええっ、そ、そうかしら?」
「超かわいいです!」
「すっごく綺麗!」
あんなに恥ずかしがっていたのに、褒められまくって満更でもない感じになってしまう。
「あ、髪型はポニーテールの方が良いかも」
「ホワイトブリム付けますね」
女子達により、更に可愛く仕立てられてしまう。
見た感じJKと言われても納得してしまいそうだ。
「じゃあ、行きましょうかセンセっ」
悠が茫然と見送る中、百合華は女子たちに連れて行かれてしまった。
「あ……あれ? どどど、どうしよぉぉぉぉ!」
その気になった百合華が、エロいメイド姿で出て行ってしまい、その場には悠だけが残された。
――――――――
廊下を歩くJK風メイドコス姿の百合華に、生徒も来場者も目が釘付けで注目の的だ。
いつもと違う可愛いポニーテールとメイド服姿で、それが厳しめの明石先生だとは気付かない。
「えっ、誰? あの可愛い子?」
「うっひょぉ~めっちゃ可愛いじゃん!」
「くっそエロい」
「ダメだ、我慢できねぇ」
廊下にいる男子を魅了し催淫し前屈みにさせてしまう。
「ちょっと、あなた達。これ、変じゃないかしら?」
注目されまくって心配になる百合華が恐る恐る聞いてみる。
「全然変じゃないですよ」
「先生、超綺麗です」
「先生って大人っぽい服だけじゃなく、可愛いのも似合いますよ」
「そ、そう?」
半信半疑の百合華だが、褒められまくってよく分からなくなる。
「「「うおぉぉぉぉぉぉ!」」」
教室に入ると、一斉に男子たちの歓声が上がる。
想像を絶するような百合華の可愛さで男子が虜にされてしまった。
遅れてやって来た悠が、教室の盛り上がりを見て肩を落とす。
うううっ……
可愛いお姉ちゃんは、俺だけのお姉ちゃんにしたかったのに……
皆が俺のお姉ちゃんを見てる……
悠の独占欲が溢れてくる。
美人で可愛くて大好きな姉は、自分だけのものにしたいのだ。
「ま、負けました……またしても……」
メイドの中で一番人気だった葵が、ガックリと打ちひしがれる。
それまで男子にチヤホヤされていたのに、一気に百合華に人気を持っていかれてしまった。
「あの、六条さん。気にしないで。相手は人間じゃないから。支配者級悪魔なんだから。人間じゃ絶対勝てないから」
ちょっと哀れな気持ちになった悠が、葵を慰めてあげた。
「今なら明石君の発言が理解できます。初めて会った時から只者ではないと思っていましたが、やはり明石君の好きなアニメのように、先生は魔界から転生した魔王なのかもしれませんね……」
ショックで葵まで中二病っぽいことを言い出した。
一方、JK風メイドの百合華ちゃんは――――
「やっぱり恥ずかしい……」
盛んに裾を気にして、手で引っ張っていた。
油断するとパンチラしてしまいそうなのだ。
だからといって、余り裾を引っ張ると胸がポロリしそうなのだが。
「し、師匠……それは……」
何も知らず見回りに来た花子が愕然とする。
「末摘先生……何も言わないでください。自分でも何をやっているのか……」
恥ずかしいやら気まずいやらでモジモジして、更に色気を出しまくってしまう。
超美人メイドの出現で、入り口に長蛇の列だ。
席に着いた男子達のテーブルに百合華が向かう。
そのままメイドの挨拶をするのだが……
「い、いらしゃ……いま……ご、ごしゅ……む、ムリ……」
最後まで言えていない。
「「ぐはぁぁっ!」」
魅惑的な上に羞恥心でプルプルする超美人メイドの出現に、男子たちが衝撃を受ける。
「ご、ご注文は……?」
「えっ、えっと……」
「ううっ、すげぇ……」
胸元がパツパツでこぼれ出そうな巨乳と、プリッとした尻でスカートが上がり、ムチッとした艶やかな太ももが魅惑的すぎて、もうメニューを決めるどころではない。
「うっ……おさわりは追加料金ですか?」
男子生徒が我慢の限界で問題発言してしまった。
百合華から放出される凄まじいフェロモンで、健全なメイド喫茶がいかがわしい店のような雰囲気だ。
「あの、一万円でパイタッチをオナシャス!」
「は?」
一気に百合華の表情が険しくなる。
男子生徒が調子に乗ってやっちまったようだ。
「キミ、二年の生徒よね。教師に対して、その発言は見過ごせないわ」
「えっ、あれ?」
「も、もしかして……明石先生?」
目の前の可愛いポニテJK風メイドが百合華だと気付いたようだ。
いつもスーツ姿で厳しめな女教師が、まさかこんな可愛い恰好をしているとは思わなかったのだろう。
メイドさんに癒されに来たのに、女王様みたいな女教師の説教をくらってしまう。
「いい! 女性にセクハラまがいの発言をしちゃダメよ!」
「はい、すみません」
「キツい罰をお与え下さい。女王様」
「反省してないようね!?」
百合華の威圧感が上がる。
「「ひぃぃぃぃ~」」
男子達は、百合華の威圧感とエチエチ感で、どんどん前屈みになり跪きそうな勢いだ。
そんなこんなで、可愛いJK風メイドから怖い女王様メイドになった百合華が思いのほか好評で、クラスの出し物のメイド喫茶は大成功したのだった。
――――――――
大繁盛のメイド喫茶だが、途中で百合華のメイド服が破けそうになり撤収となった。
足りないメイドは男子にやらせておいたから大丈夫だろう。というか、最初から男子にもやらせるべきだった。
着替える為に悠と女子更衣室に入る。
「ユウ君、早く脱がせて。もう、胸の部分が苦しくて」
悠がファスナーを下そうとするが、ミチミチになっているメイド服が破けそうで怖い、
「これ、ファスナーが弾け飛びそうなんだけど……」
ジジジ、ジジジ――――
壊れないようにゆっくりと下げてゆく。
「ふうっ、やっと解放された」
プリンっとおっぱいが飛び出して揺れている。
ファスナーが下がり、綺麗な背中とブラ紐やサイドベルトのコラボが最高過ぎる。
「うううっ、凄い破壊力の背中だ……」
少し汗ばんでしっとりした背中に、肩から縦に走るブラ紐が何ともいえない色気を出している。しかも、大きな胸をホールドするカップから繋がるサイドベルトが少しだけ透けた素材になっており、薄く背中が見えていてホックの部分と相まってたまらないエロさだ。
こ、こ、これが魅惑の背中ブラホックか!
全国のブラジャー背中フェチの皆!
今日から俺はブラジャー背中フェチになります!
当然、百合華のせいで悠に新たなフェチが増えてしまった。
「はあぁ……疲れた……」
「もうっ、俺だけのお姉ちゃんが……」
「ユウ君、もしかして妬いてるの?」
「当然だろ。俺のお姉ちゃんが男子にジロジロ見られて……」
ヤキモチでモヤモヤする悠。
「ふふっ、ユウ君ったら可愛いね」
「笑い事じゃない。お姉ちゃん、帰ったらオシオキね」
「えっ?」
いつもオシオキされている悠が、今日はちょっとだけご立腹で姉にオシオキしたくなる。
自分だけの女にしたい独占欲がメラメラなのだ。
姉のエッチな恰好を男子達に見られ今夜のおかずにされるのだと思うと、どうしようもない気持ちが込み上げてしまう。
「ユウ君、冗談だよね?」
「冗談じゃ無いから。キッツいオシオキにするから。もう泣いても許してあげない」
「えええぇ~っ、そんなぁ」
嫌がる素振りを見せながらも、弟のオシオキを期待してしまう自分と、姉の威厳を守りたい自分とでムラムラゾクゾクしてしまう百合華。
いつもと逆のパターンも良いかもと、イケナイコトを考えてばかりだ。
因みに、文化祭は大成功だったが、百合華の超魅惑的メイドさんが学年主任の耳にも入り説教されてしまう。
「明石先生、人気があって生徒に慕われているのは分かりますが、いかがわしい恰好で男子生徒の劣情を誘うのはどうなんですか?」
「はい……仰る通りです……」
申し訳なく思う百合華だが、帰ってからの最愛の弟からのオシオキが気になって心ここにあらずだった。




