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第7話 ヤンキー、修行する

ダインと兄弟分になる事になり、強い方が兄となるという発言をしていたリュー。


次の日、早速その機会が訪れるのであった。


「チャーッス! 依頼あるかぁ?」


「おはようございます! 依頼はないですが、昨日のダインさんとお話していた強い方がどうの、という件ですが……」


「おう! 決闘とかあんのか?」


「まぁ、似たようなものですが、一週間後に闘技大会が開かれます!」


「おぉ! 大会か、俺も出れるのか!?」


「それなんですが、部門がそれぞれ別れておりまして、D級以下のブロンズカップ、C級とB級のシルバーカップ、A級とS級のゴールドカップが開催されます!」


「ぶらんずだか、しるびーだか分かんねぇが、とにかく、俺は出れんのか?」


「はい! ダインさんと、リューさんはブロンズカップに出れます!」


「ッシャー! どっちが上かハッキリさせれるな!!」


「そうですね! 頑張ってください!」


「おう!」


自分がまだまだだと思っていたリューは、森に篭もることにした。


森で野宿するための道具を揃える事にした。

思い立ったリューは道具屋へ行く。


「チャーッス! あのー、野宿っつうのかな? 森で寝泊まりしたいんだが、何が必要か知りてぇんすけどぉ?」


「いらっしゃい! そうだねぇ、この布テントと、毛布かな? あとは、魔物避けだね!」


「それ全部貰えるか?」


「あいよ! まいど!  銀貨2枚ぴったりでいいよ!」


「ありがてぇ!」


お礼を言うと、お金を渡して道具屋をあとにする。


行ったことがない西の森で一週間生活してみようと考えていた。


それは、ギルドで話を聞いた時の事。



「この街の周りで魔物が1番強えのは、何処なんだ?」


リューが強くなりたいと思い、エリーに聞いて見た時の事だった。


「リューさんはまだ、絶対行ったらダメですよ? 西の森は、浅いうちからD級の魔物が出て、奥に行くとドンドン強くなるんですから! あっ! 喋っちゃった! ぜっっっったい! 行っちゃダメですからね!!」


「ふーん。西がつえぇのか……」


「どうしよう……この人聞いてない……グスン」



という事を聞いた為、どこまで行けるのか試したくなったのだった。


「うしっ! いっちょ行くか!」


西の森に踏み入るリュー。

一直線に奥へ進む。


『グルルルル』


ブラッドウルフの群れがリューの周りを囲んでいる。


ブラッドウルフは、D級の魔物で血のような毛色である事から名付けられた。


ポッケに手を突っ込んだまま突っ立っているリュー。


『ガウッ!』


1体が噛みついてきた。

それを半歩横にズレ、蹴りを放つ。


ズドンッ


首の急所に蹴りが入ったブラッドウルフは、魔石に変わり、コロリと落ちる。


『『『『『ガウッ!!』』』』』


同時に飛びかかっていくブラッドウルフ。


ダンッ


リューはその上へと跳躍した。

そして、ブラッドウルフが固まった所にかかと落としをお見舞いする。


「オラァァ」


ズガァァァァン


小さいクレーターができた。

全てのブラッドウルフが魔石に変わる。


魔石を回収するリュー。

まだ、気合いは使っていない。

気合いを使わない状態での自分の強さと、使った状態での強さ、その強さを認識していないと固有能力の運用は出来ないと考えていた。


その後もドンドン進む。


ヒュンヒュンッ


音がしたかと思った、その瞬間、片足を何かに引っ張られて逆さに吊るされていた。


「うおっ! なんだこりゃあ!」


リューは自分の足を見ると木の枝に足が取られているようであった。


「フンッ!」


バキッ


もう片方の足で枝を踏みつけなんとか脱出する。


地面に着地すると枝の根元を追う。

すると1本の木に辿り着いた。

足をとった魔物の正体はトレントであった。


「こいつぁ厳しそうだな」


枝を2本自由に動かせるようで、普通の木と何ら変わらない。


違うところと言えば、顔のような部分がある所だろう。


迫る枝を避けながら、トレントに肉薄する。


「ラァァァ」


ズドンッ


振動はするが効いていないようだ。


「うしっ! 気合い入れるぜ!」


髪をかきあげ気合を入れると赤いオーラが身体から吹き出す。


改めて自分で見ると、確かに日本にいた時はこんな湯気みたいなのが出たことは無いな、とリューは気付いた。


「おぉ。これが固有能力っつうやつか。まぁ、気合い入れりゃ発揮する能力なんだろうな」


考えていると枝がリューを絡め取ろうとする。


再び避けながら攻撃する。


「オリャャャ!!」


渾身のハイキックを放つ。


ズガァァァン


少し削れたが、まだ倒せないようだ。


「かてぇな。まだ気合いが足りねぇ!」


パンッパンッ


頬を挟み込むように叩き、気合を入れる。


「ふーーーーっ」


息を吐き出し気持ちを集中させる。

すると、オーラがオレンジに変化してきたのであった。


「力が漲ってくるぜ!」


3度目の挑戦でトレントに肉薄する。


「ウォォォラァァァ」


再びハイキックを放つ。


ドッッッッガァァァン


トレントは半ばが木っ端微塵になり倒れていく。


ズゥゥゥゥン


そして、魔石が残った。

残った魔石はD級魔石であった。


「はぁ はぁ はぁ」


リューの固有能力は体力を消耗するらしい。

現在の限界まで高めた気合いはリューから一時的に立つ力を奪う程であった。


(こりゃあ、もっと気合いを高めれるように慣れておかないと敵と戦えねぇなぁ)


「はぁ はぁ はぁ」


座り込み体力回復に努める。

10分程休憩すると体力が戻ってきた。


「ふぅ。よしっ! 行けるな」


昼時になったので、携帯食料を食べながら向かう。


ここから先はC級の魔物が出る辺りになってくる。


ズンッッズンッッ


音のする方を見ると、大きな人型の魔物がいた。


トロールであった。

身体は大きい為パワーがあるが、速く動けないのが特徴の魔物であった。


「あんなでかいの相手にすんのか……どう戦うか考えねぇとな……」


考えている間も近付いてくるトロール。


「よしっ! 気合いだ! まず、足を潰す!」


赤いオーラを纏い、トロールの足元に駆ける。

跳躍してかかと落としを放つ。


「オラァァ!」


ズドォン


『ギィアアァァァァ』


ドスンドスドスン


のたうち回り寝っ転がって痛がっている。

頭が近くに来た。


こめかみ狙って蹴りを放つ。


ズガァン


ダメージはあるようだが、倒すまではいかないようだ。


暴れ回っているため一旦離れる。


(気合いをこれ以上高めるしかねぇのか?……攻撃する瞬間だけとか、攻撃する部分だけとかなんか突破口がねぇかなぁ)


こんなことを考えれるあたり、リューもただのヤンキーではないらしい。

攻撃に関しては、敵に何が有効かをしっかり考えられる思考能力を持っているようだ。


(そうだ! 腕にだけ気合いを集めるとかできれば!)


リューは気合いを操作しようとする。


「ぐぬぬぬ」


そう簡単に気合いの操作はできない。


『ガァァァァ!!』


立ち止まってしまっていたリューにトロールが襲い掛かる。


「やべぇ!」


ズガァァァン


小さいクレーターができたすぐ横に転がるリュー。


「危なかったぜ」


(たしか洞窟の暗がりで見えなかった時は目に気合いだ!って念じたんだよな。そしたら見え始めて……)


フッとオーラを消すリュー。

右腕に力を込めていく。


「気合いだ! 気合いが足りねぇ!!」


トロールが再び迫る。


「うぉぉぉぉぉ!!」


トロールの腕が、無情にも振り下ろされる。


バキッ


リューが潰れたかに見えたが、右腕でトロールの拳を受け止めていた。

その右腕にはオレンジがかったオーラが漂っている。


「ううおらぁぁ!!」


右腕を払い、トロールのバランスを崩させる。

その隙に足元に駆ける。


「ふんっ!!」


またしてもトロールの小指を狙う。


ッッッッドォォォォン


放った拳の威力は凄まじく、トロールの左足のくるぶしから先がなくなった。


『グガァアァァァ』


しりもちをつきもがいているトロール。

その頭の方へ回り込み。


「これで終わりだぁぁぁぁ!!」


ッッッドッパァァァァン


頭部が無くなった瞬間、大きめの魔石へと変わった。


「よっし! これはしー級魔石か?」


拾った魔石を袋に入れる。

この男、袋に入れる事をちゃんと学習したようである。


「この調子でガンガン倒してくぞぉ!!」


このようにして1週間に渡るリューの森籠り修業が行われたのであった。


そして、1週間後の闘技大会で波乱を巻き起こすのであった。


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