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第34話 ヤンキー、更なる高みへ

魔人を倒して帰ってきた白竜一行は屋敷で休息をとっていた。

そんなある時、突如リューがバルトを呼び出した。


「ご主人様、お呼びでしょうか?」


「おう。呼び出してすまねぇな。暫くまた西の森に籠ろうかと思ってな」


「畏まりました。留守はお任せ下さい」


「あぁ。頼んだ。じゃあ、行ってくる」


「行ってらっしゃいませ」


リューは屋敷を出るとそのまま街を出ていき、西の森へと向かう。

なぜ、また西の森へ向かうのかというと、少し前のようやく倒した魔人を迎えに来たコウモクという魔人。

その魔人から感じた威圧感が強敵だと感じたのだった。


「このままじゃ、次に来た魔人には適わないかもしれねぇ。もっと強くならねぇとな」


そう呟くと森の奥へと歩を進める。

襲いかかってくる魔物を一撃で倒しながら奥へ奥へと進んでいく。


Aランクの魔獣が出てき始めた頃、苦戦を強いられていた。

それは、己の肉体のみで戦っていたからである。

気合いのオーラを使わずに戦っていた為に苦戦していたのだ。


リューは、魔人の身体能力の高さに対抗するために気合いのオーラをかなりの量使っていた。

その為、最後の方は己の肉体のみで戦っていたのだ。

次なる魔人も長期戦になるかもしれない。

その時のことを考えての行動であった。


『ガルルルァ』


バキィ


リューはガードするが、ガードごと振り下ろしの攻撃に耐えられずに吹き飛ばされる。


「くっ! 効くぜぇ」


体勢を立て直し、再び魔物に向かう。


「オラァ!」


ドスッ


『ガルァ!』


ドゴォ!


「ぐぁぁぁ」


再び吹き飛ばされて、土の上を転がる。


『シャァァァ』


後ろを振り向くと大蛇がいた。

魔物に挟まれたのだ。

絶体絶命である。


(気合いのオーラは留めている分には減らねぇのはわかってるんだ。どうすれば消費しねぇで長く戦っていられるか……)


『シャァァ』

『ガルルルァ』


2体の魔物が同時に襲いかかろうとしている。

その瞬間、リューは閃いた。


「気合い! すぅぅぅぅぅ」


オーラを吸い始めたのだ。


「【(たい)】!」


ガシガシッ


魔物の振り下ろしの爪と、大蛇の牙を受け止める。


「オォォォォ!!」


ドゴォォォォン


掴んだ2つの魔物を手を合わせる要領でぶつけ合い、2体を魔石に変えた。


リューは更なる高みへと1歩踏み出したのだった。



その頃、白竜の住む屋敷でも、自分達を高みへ押し上げる為の訓練が始まっていた。


屋敷の庭では白竜メンバーと使用人達が集まって実践訓練が行われていた。


使用人の中で動きがいい者がいた。

以前、リューが隠密にでもするか、といっていたメイドであった。


ジャックが隠密について教える。

気配の消し方などを教えながら訓練をしていく。

リューが戻ってくる前にリューの身の回りの危険を少しでも排除できるだけの力を身につけさせようとしていた。


「使用人達への訓練はこんなもんかぁ? 兄者、なんで1人で行っちまったんだよ!?」


「そんなこと言ってもしょうがないじゃないっすか? 本気で鍛えないとヤバいって思ったんじゃないっすか? 俺らも鍛えないとっすよ?」


ダインが文句を言っている所にグレンがやって来てなだめる。


「ワイも強くなりたいが……強者と戦わないと強くなれん……」


「自分とやるっすか? 本気で」


「グレンの本気か? やりがいがありそうだな! よっしゃ! いっちょやるか!」


「庭じゃ無理っすね……街の闘技場借りて来るっす!」


慌ててグレンが屋敷を出ていくと、それを見ていたララがダインに詰め寄る。


「ちょっとぉ!? リューちゃんいない間に何をしようっていうの!?」


「うっ……いやぁ……ワイ達も強くならないと行けないっていう話になってだな……強者と戦った方がいいからワイとグレンで本気で戦おうと思って闘技場かりにいったんだが」


「ふぅーん。面白そうじゃない? ねぇ、ジェイク?」


「兄貴の舎弟第一号として黙っちゃいられないです! 参戦します!」


これは、なにやら不穏な空気になって来た。


「ワシらもそれは参加していいんじゃろうな?」


そこにやって来たのは、ジャック、ドム、フィル、マイクの各部隊長であった。


「なんだ! 皆やる気があっていいぞ! はっはっはっ! よぉーしっ! この際、強さの序列を決めるぞ! しかし、間違えるな!? みな家族で上も下もない対等だと言う事を!」


「「「おう!!」」」


そこにやって来たのは何も知らずに闘技場を借りに行ったグレンであった。


「!?……みんなで集まって何してるんっすか?」


「グレン! これから皆で本気でぶつかり合い、強さの序列を決めようぞ!」


「えっ!?……それってリューさんが言ってた対──────」


「それは、大丈夫だ! 対等なのには変わらねぇ! ただ、何かあった時に強さの指標ってのは必ず役に立つと……そう思うんだ!」


「そうっすか。ただ序列決めたいだけな気がしますけど、何かの役に立つと言う事にしておくっすよ……自分もどこまでやれるか知りたいっす!」


「じゃあ、誰も文句はねぇな! 闘技場に移動するぞ!」


「「「「「おう!」」」」」


こうして、リューの預かり知らぬところで、白竜内の強さの指標を知るためのトーナメント戦が行われようとしていたのだ。



その頃、リント、シフォン、ハイド、ソフィは、リューが鍛錬の旅に出たということを聞きつけて、自分達も強くなる為に何かしようと考えていた。


「俺は、強くなる為に訓練部隊の訓練を一緒にやりたいと思ってる!」


「そうね! 私も訓練したいわ!」


「僕も……もっと強くなりたい!」


「ワタイ……まだまだ強くなりたい!」


4人の意見が固まったので、正規部隊の人に声を掛けた。


「あの! 僕達も訓練をさせて貰えませんか?」


精一杯の敬語で屋敷にいた正規部隊員にお願いしてみる。


「おう! お前達ならいいぜ!」


「僕達を知ってるんですか!?」


リントが驚愕の声をあげると。


「当たり前だろう!? この前のスタンピードの時に命張ってクラマス助けてたじゃねぇか! ありゃあ相当肝が据わってないとできることじゃないぞ!」


「あっ、あの時は助けなきゃって夢中だったので……」


「お前達も凄いが、俺らをそういう思いにさせるクラマスってやっぱすげえよな?」


「はい! 俺達の憧れです!」


リントが元気にそう返事を返すと、上機嫌で正規部隊員が頷いた。


「そうだな。俺もクラマスのあの気合いの入った大きい背中を追いかけてるんだ。気持ちは同じ。一緒に訓練しようぜ!」


「「「「はい!!」」」」


リント達4人も加わり正規部隊員に混ざって訓練をすることになった。

この時の訓練とは基礎体力作りから始まり、実戦訓練も行った。

実戦訓練は刃の部分を丸めた武器で行われた。


リントは転がされても立上り、剣で打たれても何度も立ち上がって正規部隊員に立ち向かった。

正規部隊員達はその気合いに驚嘆したのであった。


ハイドは盾使いに交じり盾の使い方を学んでいた。

剣を振るわれたのを防ぎ、突進してきた人を盾で受け止め、受け流し確実に成長していた。


シフォンは魔法使いと共に使える魔法の幅を広げていた。

初級魔法と中級魔法を少しくらいしか使えなかったが、中級魔法の属性を幅広く使えるように学んだのであった。

覚えるのが早く周りを驚かせた。


一時は正規部隊員の靴磨きをしていた子供達が、戦いを経て成長していく。

白竜の強さはこれから更に高まっていく。



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