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第3話 ヤンキー、感謝される

村に戻ってきた龍は、村長宅に向かうことにした。


「そんちょー! お姉さん助けてきたぞぉー!」


「なに!? まことか!?」


村長は慌てて外に出てきて確認する。


「おぉ! ソフィアではないか! よかった! 家に報告に行かねば!」


「おう! じゃあ、俺も送っていくぜ!」


ソフィアと呼ばれていたお姉さんの肩に手を起きながら、家へ送っていく。

ソフィアがブルブルと震えていた。

心配になり声をかける龍。


「大丈夫か?」


声を掛けると、ソフィアは涙ぐんでいた。


「はい! 大丈夫です! もう少しで両親に会えると思うと嬉しくて……」


自分があの悪夢の中から助かったことが嬉しくて、喜んでいたようだ。


(こんな子を泣かせるような事をする魔物。許せねぇ。魔物は全ゴロシ決定だな)


ソフィアの涙に感化されたようで、魔物退治を誓う龍であった。


女の涙に弱い。まぁ、龍も単純なのであった。


村長がソフィアの家に行く。


コンコンッ


「ソフィアが戻ってきたぞー!」


バタバタバタ


「本当か!?」


ソフィアの父が出てきた。


「おぉ。ソフィア。本当に良かった」


涙ぐみながらソフィアを抱きしめる。

その後から、母が来た。


「ソフィア……無事で良かった」


母もまたソフィアを抱きしめた。


その光景を見てた龍は自分の体験したことの無い光景を見て、涙を流していた。


「どうしたんじゃ? 若いの?」


村長に聞かれて初めて泣いているのに気付いた。


「こ、これは?」


龍は不思議に自分の涙を見ていた。


「ソフィア達の家族愛に触れて、感動したんじゃろうのぉ」


「家族愛?」


「ホッホッホッ。わからんか。お主、親の愛情を受けずに育ったようだのぉ」


「親には育てられてない。じぃちゃん、ばぁちゃんが育ててくれた。俺に親はいない」


拒絶の言葉を放つ龍に、村長は戸惑ってしまう。


「そ、そうか。お主、辛かったんじゃのぉ。じゃから、ソフィアが抱き合っているのに感動したんじゃろう」


「うーん。愛とか? それはわかんねぇわ。けど、俺が涙を流すなんてな。まだ、人の心が残ってたか」


しみじみと龍が言っていると。


「あの! 娘を助けて頂いたとか!? 本当にありがとうございます!!」


父親が土下座してお礼を言う。


「ありがとうございます!!」


続いて母も土下座をする。


「……やめてくれ」


「はい? 娘を助けて頂きました! 恩に報いなければ!」


「やめてくれ!!」


叫んだ龍にソフィアの家族3人が目を点にする。


「俺なんかに頭を下げることは無い! 頭を上げてくれ! 俺は、頭を下げられるような人間じゃないんだ」


龍が叫ぶと。


「あの、お名前をまだ聞いていませんでした! 教えて頂けないでしょうか!?」


「……リューだ」


「リューさん! 娘を助けて頂いて、本当に有難うございました!!」

「有難うございました!!」


両親に頭を下げられ、戸惑うリュー。


「リューと言ったか? 親とは本来、子のことを1番に考えるものだと、ワシは思う。色んな考えがあるじゃろうがな。しかしの、愛を知る機会はまだまだあると思うぞ?」


「そうなんだな。頭を上げてくれないか? 俺は、村長への恩を返そうとしただけなんだ」


ソフィアの両親はそれを聞くと、村長へも頭を下げた。


「村長のお陰でもあったんですね……いつも…………有難うございます」


2人で深々と頭を下げる。


「ホッホッホッ。そのくらいにしないか! リューも困ってるであろう?」


村長が言うと頭をかきながら照れているリューが立っていた。


ソフィアが駆け寄る。


「リューさん! 本当に有難うございました!!」


「お、おう。良いってことよ」


ほのかに顔を赤くしながら照れているリュー。


すると、村長が激をとばす。


「男衆は、リューを連れてブラウズに行ってくるのじゃ! そして、魔石を換金し、リューを冒険者として登録してくるのじゃ!!」


「「おす!」」


「無論、換金したものは全てリューへと、渡すのじゃ!」


「「おす!」」


リューは戸惑っていた。

こんなに親切にしてもらって良いのだろうかと。


「リュー! 行くぞ! ソフィアを助けてくれたんだ! 俺たちも協力する!」


男衆の1人がそう言って、龍を案内役を買ってでる。


「リューよ。本当にありがとう。男衆に一番近い冒険者街を案内させる。リューなら、冒険者としてやって行けるだろう」


「あぁ。感謝する」


「ブラウズの街で成功することを祈っておるよ」


「おう! 冒険者ってのでもてっぺんとってくるぜ!」


空を指さしながらそう宣言する。


村長は「またのぉ」と言いながら手を振り、リューを送り出した。


男衆と村を出ようとすると、ソフィアが駆け寄ってきた。


「あの! 助けて頂いて、本当に有難うございました!」


頭を下げるソフィア。


「おれは、村長への一宿一飯の恩を返したまでだ。気にするこたぁねぇよ!」


「またこの村に来てください! 私にお礼をさせてください!」


「おう! またな!」


振り返り背中越しに手をヒラヒラ振るリュー。

男衆について一緒にブラウズに向かう。


「リュー。ここから2時間ほど行ったところにブラウズがある。そこまで我々も行くが冒険者登録が終わり次第戻るから、後は何とかしてくれ。済まないが、冒険者に伝手もないもんでな」


「はっ。自分でどうにでもできらぁ! 心配ねぇよ!」


「すまんな。では、行くぞ」


村を出発してひたすら歩く。



「ここがブラウズだ」


魔物の侵入を防ぐ為であろう壁がグルっと街を囲んでいるようだが、端が見えないほどデカかった。


「デカい街だな……これ、入れるのか?」


「我々が保証人となって入れば大丈夫だ。すぐに冒険者として登録するしな」


「そうか。じゃあ、行くか」


入口の方へ向かうと、並んでいた。

列の後ろに回って順番を待つ。


「次の人〜」


進むと門番が身分証を確認しているようだ。

男衆達は身分証を見せる。


「この男は身分証は紛失してしまってないから、我々が保証人になる。すぐに冒険者として登録するから、問題なかろう?」


「あぁ。問題が起きたら責任とってくれよ? そんな変な格好してて大丈夫か?」


「少々奇抜だが、問題ない」


「なら、通っていいぞ」


男衆と共に街の中へ入っていくリュー。

見慣れない街並みにキョロキョロしてしまう。


「あんまり、周りを見るな。田舎者だとバカにされるぞ?」


「おぉ。すまん」


男衆が前を歩き、後ろを着いて行くリュー。


人に親切にされ、恩を返して感謝され、ここでの生活の要になるであろう冒険者登録の手助けもしてもらい、リューは態度には出さないがかなり上機嫌であった。


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