第25話 ヤンキー、活性ダンジョンに潜る
白竜と合流したリューは、指示を出す。
「白竜は全員で活性ダンジョンに挑む! 2番隊を先頭に進む! いいな!?」
「「「「「おす!」」」」」
「よーしっ! 入るぞぉ!」
「「「「「おす!」」」」」
白竜は続々と入っていく。
リューの初めての活性ダンジョン攻略が始まる。
スタンピードが起きていただけあって、中は魔物だらけであった。
「グレン! 1番隊は2番隊の後ろで待機! 魔物が来次第殲滅!」
「「「「おす!」」」」
順調に進んでいく。
「ストップ! ここに罠があります! 今解除します!」
解除作業に入る2番隊。
「なぁ、罠の解除なんて出来るもんなのか?」
リューは隣のララに聞く。
「出来るわよ。かなりの技術が必要なんだけどねぇ」
「じゃあ、アイツらすげぇじゃねぇか!?」
「えぇ。凄いわよ」
自分のことを褒められたかのように喜んでいるリュー。
「解除出来ました! 通って大丈夫です!」
「お前達、よくやった! その調子で頼むぞ!」
「はい!」
リューは感心しながら進んでいく。
「ストップ」
「また罠か?」
「いえ、魔物の足音ですね」
「1番隊準備! 殲滅しろ!」
静かに近づいて来るのを待つ。
近づいたところで、飛び出す。
現れたのはオーガであった。
討伐適正等級はCとなっていた。
「【腕】」
ズドォン
オーガが魔石に変わる。
「いきなりオーガか。ボスは歯応えありそうだな」
リューがそういうと
「そうっすねぇ。それでも、まだ歯応えないっすけどね」
「そうだな! ドンドン倒せ!」
「おす!」
どんどん倒していき、階段を見つけた。
「2番隊、慎重に進め!」
「了解ですじゃ!」
罠を探しながら探索する。
「魔物じゃ!」
ジャックを知らせると、グレンが倒す。
「【脚】」
ズガズガズガァァン
オーガを一気に倒して魔石に変える。
「あっけないっすね」
余裕のグレンと1番隊である。
こうして順調に進み、5階層にやってきた。
大きめの扉がある。
「ここがボスかぁ?」
「たぶん、中ボスよ? 途中のボスじゃないかしら?」
「そうなんか。よく分かるな? ララ?」
「私も何回かダンジョンには潜ってるからわかるのよ? 頼って? リューくん?」
「おう。頼りにしてるぜ? ララ?」
リューとララだけピンク色のオーラを出している。
「オッホン! じゃあ、行くぞぉ!!」
ダインが号令を出し、突入する。
そこには、オーガキングと取り巻きのオーガが5体いた。
「ここは、1番隊と2番隊が受け持つっす!」
そういうとグレンが駆け出す。
「ジャック! 背後からアタックっす!」
「わかったのじゃ!」
正面からはグレンが行くようだ。
「【腕】 ウラァァァ」
ズガガガァァァン
3体は倒した。
グレンに1番隊が続く。
「複数で1体にあたれ!」
グレンの指示に従う1番隊。
背後からは2番隊が迫る。
「【アサシンアタック】」
ズシァァァ
オーガキングの首筋を切り裂く。
だが、傷が浅いようだ。
「ワシの攻撃じゃ浅い!!」
「自分に任せるっす!」
オーガキングはジャックが背後から攻撃を仕掛けたため、背後に意識を向けている。
その隙にグレンが迫る。
「行くぞぉ! 【全】!!」
ボンッと紅蓮の身体が巨大化する。
「はああぁぁぁぁ!! 連撃っす!!」
ズドドドドドドドドッッッバァァァァン
オーガキングは全体に衝撃を受け、薄くなった状態で魔石に変わる。
「やったっす!!」
グレンが喜んでいると、ジャックがやってくる。
「ワシとは火力が違うのじゃ」
「いや、気を逸らしてくれて助かったっす」
パンッとハイタッチする。
いいチームワークであった。
「すげぇじゃねぇか! グレンもジャックも! 連携がよかったぜ!」
「「おす!」」
「よーしっ! どんどんいくぞぉ!」
中ボスを倒して勢いに乗り、先に進む白竜一行。
次の階からはオーガが群れで出てくるようになり、時々オーガジェネラルも出てくるようになった。
オーガジェネラスはオーガキングよりは下だが、B級相当である。
一段階魔物が上がったことにより、1番隊と2番隊の消耗が激しい。
しかし、懸命に足を進めていた。
10階層になんとか着く頃には、1番隊と2番隊の疲労はピークにきていた。
目の前には、大きなオーガの顔が書かれた扉が佇んていた。
「1番隊と2番隊は援護に徹しろ。疲労のある状態で闘うと負傷するからな」
「「「「「おす!」」」」」
「今回は、俺が————」
「まっで欲しいんだな! おでだちがやるんだな!」
そこには闘志を宿した3番隊、4番隊、5番隊のメンバーがいた。
「しゃーねぇなぁ。譲ってやるよぉ」
「ありがとうなんだな! それじゃあ、いぐんだな!」
「「「「「おおおおおぉぉぉぉぉ!!」」」」」
扉を開けてなだれ込んで行く。
ボスはオーガロードとオーガジェネラル、オーガであった。
「おでだぢがてぎをおさえるんだな!」
「我らはおさえてるところを遠距離から撃つ!」
「ぼ、僕たちも遠距離から魔法で援護します!」
ドム、フィル、マークがそれぞれ打合せをしながら駆けていく。
オーガがこちらへ駆けてこようとするが、フィルが遠距離から移動しながら弓を引き攻撃を繰り出している。
4番隊がオーガに迫る。
「【バリア並列】なんだな!」
ズドォォォォン
「おさえこむんだな!!」
4番隊がオーガに衝突して取り囲む。
手が届かない所へはバリアを張る。
「我らも撃つのだ! てぇぇぇ!!」
スドドドドドドドドドドドドッ
弓がオーガに正確に降り注ぐ。
『グガァァァァァァ』
オーガロードがうっとおしそうにもがいている。
「頑張ってもちこだえるんだな!! でかいのがくるのをまづんだな!!」
「「「「おぉ!!」」」」
5番隊は合体魔法を放つため詠唱に入っていた。
今回は小規模に範囲を留めなければ味方も巻き込んでしまう。
マークの魔法の選択にかかっていた。
『『『グォォォォォォ』』』
オーガ達が力を込めて4番隊を離そうとし始めた。
「ぐっくぅぅぅ」
歯を食いしばって4番隊はオーガをおさえこんでいるが、徐々に押され始めた。
「まだかぁぁぁ!!」
「お待たせしましたぁ!! 4番隊の皆さん! 痺れたらごめんなさい! 行くぞぉぉぉぉ!」
「「「「「ライトニングゥゥゥボルトォォォ!!」」」」」
カッ—————ズドォォォォォォォォォォンッッッバリバリバリバリィィィィ
衝撃波が4番隊を襲い、ズズズーッと吹き飛ばされる。
煙が充満していて周りが見えない。
オーガは倒せたのだろうか。
「ジェイク、煙をはらってくれ」
「はい、兄貴! ウインド!」
リューの指示により徐々に煙が晴れていく。
大きな影が見える。
「まだオーガロードが生きてる! 撤退しろ!! 俺がかたを付ける!」
オーガロードに駆け出すリュー。
『ガァァァァァァ!!』
咆哮により硬直して動けなくなる4番隊。
『ゲッゲッゲッ』
その4番隊に笑いながら巨大な棍棒を叩きつけようとしている。
迫る棍棒に盾を構えながら目を瞑る4番隊。
ズガァァァァン
4番隊が目を開けると黄色いオーラを纏い、棍棒を受け止めているリューがいた。
「リューさん、ごめんなんだな」
「気にするこたぁねぇよ、ドム。今終わらせるからな」
オーガロードが棍棒を再び振り上げようとするが、ビクともしない。
「うちの弟共が世話になったなぁ?」
ビシッ
割れるような音がした方向を見ると棍棒のリューの持っている所にヒビが入っている。
ビシビシビシッ
「この棍棒もろいんじゃねぇか?」
バラバラバラッ
棍棒がなくなったオーガキングは拳を振り下ろしてきた。
「力比べかぁ?」
ガシッと拳を受けとめ反対の拳を繰り出した。
「【撃】」
ボッという音と共にオーガロードの腕が吹き飛ぶ。
「オラオラオラオラオラァァァ」
拳を握ったまま拳を次々に繰り出す。
ボボボボボッ
オーガロードは塵となり魔石に変わった。
「俺達白竜の勝ちだぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「「「「「うおおおおぉぉぉぉぉぉ!!」」」」」
勝鬨を上げるリュー。
奥に進むと部屋がありダンジョン魔石が光って浮いていた。
「これを持ち帰りゃあいいんだな?」
「えぇ。そうよ」
ララが返答すると、浮いているダンジョン魔石をとる。
すると光が失われ大きなただの魔石となった。
「全員、この部屋に入れー!」
ぞろぞろ入ってくる。
入り終わると、ブンッと外に移動してきた。
「「「「「おぉ!」」」」」
驚く面々をよそにリューは歩き出す。
「みんなごくろーだった! また街に戻って祝勝会だ!」
「「「「「おおおおぉぉぉぉ!!」」」」」
白竜一行はブラウズの街に戻っていく。
スタンピードから守り、そのまま元凶である活性ダンジョンも攻略した。
白竜は、後世に伝わる功績を残したのだった。
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