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第2話 ヤンキー、ゴブリン全ゴロシ

異世界に転移してしまった次の日


お爺さんの家で朝日の光で目を覚ました龍。


「ん? あぁ、そういや外国に来ちまったんだったな」


異世界にいるのだが、龍の時代に異世界転移ものの話などなかった為、いや、あっても読んでいるわけがないであろう。


「おや? 起きたかい? 早かったねぇ」


「あぁ。爺さん、ありがとな」


「いいんじゃ。外に水をくんである。水浴びするといい」


「お、おう。ありがとう」


外の家の裏に回ると水がくんであった。

特攻服を脱ぐと水と爺さんに渡された手ぬぐいで拭き始めた。


龍の体には至る所に傷がある。

新しいものもあるが、古い傷もある。

古い傷は虐待によるものであろう。


龍は負けじと強くなることに意識を向けた為、ここまで生きてこれたのだろう。


龍は身体を吹いてる時に視線を感じで目を向けると、そこにはお爺さんが覗いていた。


「おう。覗きとは感心しねぇなじぃさん?」


「ホッホッホッ。そんな傷をおって……お前さんに何があったか聞くのはヤボじゃろうのぉ。」


お爺さんが近づいてきてじっくり身体を観察する。


「回復魔法でも治らなかったのかのぉ?」


「カイフクマホウ? なんじゃそりゃ!? そんなもん知らねぇ! おれは、病院に行く金もなかった。だから……自然に治るまで気合いで我慢してた」


「ふむ。辛い思いをしてきたんじゃな」


「いや、でもそのおかげて気合いが漲るようになったわけだが」


2人でそんな話をしていると。


「村長さーん!!」


少女がお爺さんの元へやってきた。


「どうしたんじゃ? そんなに慌てて!?」


「お姉ちゃんが朝水汲みに行ったきり帰ってこないの!」


「なんじゃと? まさか、ゴブリンに拐われたかのぉ」


少女の話を聞く限り、いつも戻ってくるはずの時間に戻ってこないようである。


男衆が探す準備をしていた。


「俺も連れてってくれ! 一宿一飯の恩は返すぜ!」


「ふむ。では、頼む」


「おう! 気合い入れていくぜ!」


男衆に混じり捜索隊に加わる。


「君は、不思議な格好をしているね? 村長のお客さんかい?」


「いや、道に迷ってる所だったのを飯を食わしてくれて、泊まらせてくれた。その恩を返してぇのよ」


「そうか。協力感謝する」


「良いってことよ」


すると、男衆が捜索方法を話し合う。


「みんなで散らばって捜索した方がいいんじゃないか?」


「そうすると、見つかった場合はどうすれば……」


「うーん。どうしたら……」


この話し合いを見ていた龍は痺れを切らして発言する。


「なぁ! まず、どっちに行ったか見たやつがいるんじゃねぇか!? 見た人がいたなら聞いた方がはえぇだろ!」


「お、おう。そうだな」


村人に聞き込みに行く男衆。


「私見たわよ! あっちの方向に行ったわ!」


やはり、目撃者が居たらしい。

捜索する方向は決まった。


その方向は、龍がゴブリンに遭遇した辺りであった。


「行くぞ!」


「「「おう!」」」


男衆と龍は森に入っていく。

居なくなったであろう所に向かって歩いていく。


「水汲みに行ったんだろう? だったら、川に向かう筈だよな?」


龍が聞くと。


「その前に拐われたのかもしれない……」


男衆が周りを探しながら進んでいると。


「おい! あれは、水汲み用の桶じゃないか!?」


森に、ポツンと桶が投げ捨てられていた。


「ここで攫われたんだな。足跡を追うぞ!」


男衆の1人が足跡を追って走り出す。

龍もそれについて行く。


すると、集落のようなものが見えてきた。


「おいおい! ゴブリンの村がこんな近くにあったのか!? これは、不味いぞ!」


男衆が焦り出す。


ゴブリンが村を作ってるとなれば、冒険者に依頼して討伐隊を結成してもらい、討伐して貰わねばならない。


それが、村ができる最善の手であった。


「討伐隊を組まないと、ゴブリンの村から救出なんてできっこないぞ!」


男衆が騒ぎ出す。


「おい! 助けに行かねぇのか!?」


「我々では無理だ!」


「てめぇら、ビッとしろぉ!! 話にならねぇ、俺が行く」


龍がゴブリンの村へ進んでいく。


「おい! 1人じゃ何もできないでやられるぞ! 犬死だ!」


「気合いがありゃあ、なんでもできんだよ!!」


金髪の髪をかきあげて気合を入れる。


「ふーーーーっ」


村に向かって歩いていく龍の背中には気合いの文字が背負われている。


その身体から赤い湯気のようなものが立ち上っている。


見張りにいたゴブリンが気付き、2人で龍に迫る。


『プギッ』


振り下ろされた棍棒を半歩右に避け、右ストレートをカウンターでお見舞する。


ズドンッ


ゴブリンの顔が潰れ、魔石に変わる。


もう1体も迫ってくるが、ゴブリンの頭に頭突きをくらわせる。


ゴギンッ


またしても魔石に変わるゴブリン。


「俺のチョーパン(頭突き)はいてぇだろぉ!」


中に入っていく龍は、立ち止まって大声で叫び出した。


「人間を返せぇー! テメェらゴブリンは全ゴロシじゃオラーーーーー!!」


すると、住家からゴブリンがゾロゾロと出てきた。

100体程居るだろうか。

それに臆することなく悠々と歩いていく龍。


『『プギーーッ』』


一斉に迫ってくるゴブリン。

1人の人間など苦ではないというようにニタニタしながら龍の元へ歩いて行く。


ボゴッ バギッ ズドンッ


ゴブリンはぶっ飛びながら次々に魔石へ変わっていく。


ただ、数が多い。段々とかすり傷も増えてきた。

そんな時、ガンッと頭を殴られる龍。


頭から血が流れる。


龍は笑っていた。


「はっはっはっ!! 気合い入ってきたぜぇ!!」


赤いオーラが上げしく立ち上る。


「オラァ!! オラァ!!」


拳を叩きつける度に2、3体を巻き込んで吹き飛ばしている。


蹴りを繰り出す度に4、5体を巻き込んで吹き飛ばしている。


遠くから見ていた男衆にはゴブリンが宙を待っている様に見えた。


「ハッハァ!! どうしたどうしたぁ!?」


そろそろゴブリンが居なくなる頃。


奥からズンッズンッとゆっくり歩いてくる音が近づいてきた。


男衆が驚いて声を上げる。


「ゴブリンキングだ!! お前じゃ無理だ! ゴブリンの親玉だ! 逃げないとやられるぞ!」


遠くから聞こえる声に龍は。


「上等じゃねぇか!! ゴブリンだかゴキブリだか知らねぇが! 全ゴロシだぁぁぁぁ!」


ゴウッ


赤いオーラが一気に吹き出す。

ゴブリンキングへ向かって駆け出す龍。


走る速さが確実に上がっていることを実感していた。

そのトップスピードを維持したままゴブリンキングへ特攻する。


間近に迫ると、ダンッと跳躍した。


そのままの勢いで頭に膝蹴りを放つ。


「ウラァァァァ」


ズドンッ


フラフラとしているゴブリンキングであったが、持ち直したようだ。


『ブゴォォォォ』


発狂して棍棒を振り回すゴブリンキング。


しかし、既に後ろに回り込んでいた龍は後ろから肩に飛び乗り肩車の体勢になる。


その体勢から繰り出すのは、チョーパン(頭突き)である。


「フンッ」


ズガンッ


「フンヌッ」


ズゴォン


「トドメだぁぁぁ」


ズゥゥゥゥン


ゴブリンキングの頭が体に埋まり、息絶えたのだろう。

魔石へ変わった。


「シャアアアオラァァァァ」


両手を突き上げてガッツポーズをしている。

その姿を呆然と見つめる男衆。


「やりやがった……」


「すげぇ……」


「あいつ素手だったぜ?……」


「なんか固有スキルでもあるんだろうか……」


「あぁ。あるかもな。赤いオーラ出てたし……」


龍はそのまま寝そべって休んでいた。

そんな時、男衆が攫われた子は無事か!?と聞いてきたので、探しに行くことにしたのであった。


目星は付いていたのでそこを探しに行くことにした。

小屋の中に入ると、服の乱れた女の人がいた。


「大丈……夫……か?」


その女性に尋ねると。


「は……はい…………もしかして! 助けに来てくれたの!?」


「あぁ。見たところ乱れてるが大丈夫か?」


「服は千切られて……もう少しで……」


そっと特攻服の上着をかける。


「これ着てとりあえず戻るか」


「はい……」


女性を連れ立って小屋から出る。


「無事だったぞぉーー!」


龍が叫ぶと、「ウォォォ」という声とともに男衆が集まって来た。


「村まで戻るぞ!」


龍がそう言って先頭を歩く。


その後ろに続く男衆達からは尊敬の念が見て取れた。


こうして龍はこの世界でも人々を惹き付けていくのだろう。

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