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第17話 ヤンキー、豪邸を買う

野営は何事もなく朝を迎えた。


「お前ら、出発するぞぉ!」


「「「「「おす!」」」」」


クラン白竜の一行は大移動2日目に突入していた。

2日目とあって疲れが見える者もいる。

野営では寝れなかった者もいたようだった。


ブラウズの街まではあと3時間程で着きそうであったが、休憩しながら行けばもう少しかかることだろう。

女性と子供の速さにも合わせて進んでいた為、ゆっくり進んでいる。


6時間程して少し日が傾きかけたくらいの時間にブラウズに到着した。


「おーっし! 着いたぞぉ! 宿に案内するから付いてこい!」


リューがそう呼びかけると大行進が始まる。


「ちわーっ! 部屋空いてるー?」


「あぁ! リューちゃん! 帰って来たのね! 部屋空いてるよ。何部屋だい?」


「全部使わせてもらっていい? 俺が全部払うからさ」


「いいのかい? 20部屋あるけど……」


「あぁ、大丈夫! とりあえず今日の分ね」


そういうと白金貨一枚渡す。


「こんなには多いよ! おつりだせないよ!」


「何日いるかわかんねぇからとりあえず、もらってくれ! 迷惑かける!」


「それは構わないよ! 気にしなさんな!」


宿について空いている部屋全てに人を割り振る。


「グレン! 外の人を部屋に割り振って休ませろ!」


「おす! おーい! 順番に中に入れー!」


リューはこの場をグレンに任せることにした。

白竜の中でも大人数のリーダーとしてやっていけるだろう。


「俺は、ギルドに行ってくる。任せたぞ」


「おす!」


リューが宿を出るとギルドへ戻ってきた報告をしにいく。



「おう! エリー! 久しぶりだな。戻ってきたぜ」


「リューさん! おかえりなさい! みなさんも!」


リューの後にはララ、ダイン、ジェイクもいた。


「なんだ、お前らも来たのか?」


「リューくんに付いて行くに決まってるでしょう。どうせ、家探すんでしょ?」


ララがそういうとエリーが反応する。


「なんか、大所帯連れて来たそうですね!? なにする気ですか?」


「いや、ちょっと家族が増えてな、家探してんだよ。いい家ねぇかな?」


「それが……」


「やっぱりねぇか?」


「あるんです。でも、先日リューさんが取り潰しにしたイテーサ家の屋敷なんですけど、無駄に大きい為に高くて売れないんです」


「ほう。いくらなんだ?」


「安くしたんですが、白金貨48枚なんです……」


「48枚か……そういやぁ、ローグのやつが報酬を送るって言ってたが?」


「はっ! そうでした。リューさん宛に信じられないくらいの白金貨送られてきてました。」


「いくらある?」


「100枚です」


エリーがそう答えると


「はぁ!? 王様そんなに払って大丈夫なのか!?」


ダインが驚いて声をあげる。


「ロベルタ王国の国家予算から出しているでしょうから、大丈夫でしょう」


「王様恐るべし」


ダインが再び驚いているとその前でリューが話に割って入る。


「じゃあ、その家俺が買うわ」


「本当ですか!? それは助かります! 手配しますので、明日また来ていただけますか?」


「おう。わかった。頼むわ」


「代金ですが、陛下から頂いたものから引いていいですか?」


「おう。そうしてくれ」


「はい! かしこまりました!」


ギルドを後にするリュー達は宿へ再び向かう。

すると、グレンが待っていた。


「グレン、家の方はなんとかなった。明日には住めるだろうさ」


「すごいっす。流石っす兄貴」


グレンがそういうとダインが笑う。


「なんでかその話し方手下感がすげぇな」


「そうっすか? 話しやすいんすよね」


グレンが答えると、笑いながらリューが前の世界の事を話す。


「まぁ、そんなもんじゃねぇか? 俺の周りはこんな話し方の奴らばっかりだったぜ?」


「そうなんか兄者! おもしれえな」


宿屋の前で円になって話す一行。

異様な威圧感を放っていた。


「まず、明日家の引き渡しが終わったら迎えに来るからよぉ。今日はゆっくり休め」


「おっす! ありがとうございます!」


リュー達は別の宿で一晩迎えるのであった。



「おーっす! エリー、来たぞぉ! 家は見れんのか!?」


「はい! これが、簡易的な地図です! 貴族街になっちゃうんですけど、リューさん達は通れるようになってます。王都で、白竜はくりゅうってクラン作ったんですって!?」


「あぁ。受付嬢に進められてな」


「そうなんですか!? 私が勧めたかったのに……ブツブツ」


「エリー!? どうした!?」


「いえ! なんでもないです。行ってみてください!」


「あぁ。ありがとな」


キュン


(あんな笑顔されたら、ときめいちゃうじゃない!! ずるい!!)


「いってらっしゃいませ!」


平静を装い笑顔で返すエリー。

リューの後ろでニヤニヤしているララ。


「なっ! なんですか!? ララさん!」


「ふふっ。べつにぃ」


リューに付いて行くララ。


ギルドを出ると地図を頼りに家に向かう。


「ジェイク? 任せた」


地図をジェイクに渡すリュー。


「兄貴、わかんないんですか?」


「こんなの見てもわからねぇ」


「案内しますよ!」


リューの役に立てて嬉しそうなジェイク。

進んでいくと門のようなものがある。


「この先なんですけど……」


門の前には警備隊の門番がいる。


「おう。リューっつうんだが、入っていいか?」


「リューさんですね。お入りください」


ガーーーーッと門を開ける門番。


「なぁ、門番さん名前は?」


「ケビンと申しますが?」


「ケビン、この門についてちょっといいか?」


「なんでしょうか?」


「白竜のメンツは通れるんだろう?」


「はい。そのようになってますね」


「どうやって判断すんだ?」


「白竜だと言われたら通すしかないですね……」


「それだと困るんじゃねぇか?」


「うっ。はい……しかし、そうとしかできなくて……」


「まぁそうだよな。なんか俺が考えておくわ」


「お願い致します」


ケビンへそういい中へ進んでいく。


「兄貴、ここだよ」


「おぉ。ここか。こりゃでけぇな」


目の前に広がる立派な柵。

その中には小さな学校くらいの建物が建っていた。


「お待ちしておりました! リュー様!」


ちょっと小太りの髪をペタっとした男が立っていた。


「おぉ。ここは今日から住めるのか?」


「はい。住むことができます。鍵がこちらになります。中をご案内しましょうか?」


「いや、早く皆を呼びたいから案内はいらない。すまんな」


「左様でございますか。この度は、有難う御座います。それでは、失礼致します」


「あぁ。ありがとな」


去っていく男。


「よーっし! みんな呼びに行って住めるようにすんぞ!」


「「「おー!」」」


宿屋に向かうリュー達。

宿屋に着くなり、グレンを呼ぶ。


「グレーン!」


「お呼びっすか?」


部屋から出てきたグレンに指示を出す。


「家が用意できた! 出る準備をしてくれ!」


「りょーかいっす!」


すると、素早くグレンは各部屋を周り準備するように指示を出している。


リューは、宿屋のおじさんとおばさんに別れを告げる。


「おっちゃん、おばちゃん、ホントに世話になりました。ありがとう!」


そういうと


「何言ってんだい! 街にはいるんだろう!? ご飯食べに来なよ!?」


「はははっ! そうだった! また飯食いに来るな!」


「待ってるよ!」


温かいおばちゃん言葉でまた来ようと誓うのだった。


グレン達の用意が出来たようだ。


「兄貴! 全員移動準備ができたっす!」


「よしっ! じゃあ、行くぞぉ!」


「「「「「おす!」」」」」


再び大移動を開始する白竜メンバー。


門番のケビンに再び挨拶をする。


「ケビン、コイツらが白竜のメンバーだ。まぁ、なんか目印付けさせるからよ」


「かしこまりました。どうぞ、お通り下さい」


門を開けて通してくれるケビン。


「あぁ。ありがとよ」


礼を言い通っていくリュー達一行。


少し歩くと屋敷に着いた。


「さぁ、ここが今日から俺達の家だ!」


「「「「「おぉぉぉ!!」」」」」


「でけぇ」

「ここが私達の家?」

「こんな所に住めるの?」


口々に驚きと戸惑いの声が聞こえてくる。


「最初は、慣れないだろうが、徐々に慣れていこうぜ! さぁ、入って掃除だ!」


ゾロゾロ入っていく白竜メンバー。


こうして、王都のスラム街からの引っ越しを終えたのであった。

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