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第13話 ヤンキー、護衛をする 後編

「君たちが護衛をしてくれる冒険者かい?」


「はい! 僕達が今回護衛することになりました。何卒、よろしくお願いします」


礼をし、きっちりした対応をするのは、ジェイクである。

このような対応ができるのは、リューのパーティではジェイクしかいないのである。


「うん。それでは、私は御者をやります」


「はい。僕達も周りを警戒しながら付いて行きますので!」


「はい。お願いしますね」


馬車が出発するのに合わせてリュー達も進むことにした。

警戒することに慣れているダインを前に配置し、左にはララ、右にはジェイクと左右は魔法で対処し、ケツモチ(最後尾)をリューとした。


歩きながら辺りを警戒する。


ララがジェイクに魔法について質問する。


「ジェイク? 索敵魔法使えるかしら?」


「使えますよ。でも範囲が500mくらいまでですよ?」


「私は1kmは索敵できるから、私が索敵するわね」


ララが警戒しながら魔法を使用するらしい。


「ララ、さくてき?ってのはなんだ?」


「私の場合は、周囲1kmの範囲の生き物を感知するのよ」


「すげぇじゃねぇか!」


「でも、動物も感知しちゃうから万能ではないんだけどねぇ……サーチ!」


ララが索敵魔法を使用する。


「今の所何もないわね」


「そうか。なんかあったら言ってくれよ?」


「えぇ。わかったわ」


警戒しながら進むが、今の所は問題はない。

しかし、道が森の中になってしまう為、視界が悪くなる。


「ここからは、死角が多くなる! 周囲の警戒を怠るな!?」


ダインが前から指示を出す。

すぐにララから反応があった。


「この先で待ち伏せされているわ! 人か魔物かはわからないわ!」


「了解! 俺が警戒しながら進む!」


しばらくすると、大木が行くを阻んでいた。


馬車が止まる、すると草むらから何者かが飛び掛かってきた。


「【我流 流返し(ながれがえし)】」


ダインが受け流しながらカウンターを繰り出す。


『ぐぎゃ』


首を切り裂き、魔石へと変える。

相手はオークであった。


「オークだ! 数がいるかもしれない!」


「「ウインドカッター」」


ズパズパァーン


奥にいたオークも倒す。

すると、奥からオークキングと取り巻きがやってきた。


「オークキングだ! ワイには荷が重いで!」


「俺が出る!」


リューが前に出てきた。


「一瞬で終わらせる【しゅん】」


ズドドドドドドドッ


周りのオークたちが一瞬で魔石に変わる。


「あとはお前だけだ」


オークキングは仲間をやられて怒っているようだ。


「プギィィィィィ」


でかい棍棒を持って振り下ろしてくるが、こんなのはリューの敵ではない。


「終わりだ【げき】」


右腕を赤いオーラが包む。


ズドォォォォォン


オークキングは吹き飛び数本の木をなぎ倒して魔石へ変わった。


「さすが兄者!」

「さすが兄貴!」

「流石ねぇリューくん」


リューを称賛する3人。


「いやー、本当にすぐに倒してすごいね。圧倒していたし、見ていて安心だったよ」


商人からも称賛されるリュー。

それほど、見ていて安心したようだ。


「あとは、周りにはいなさそうね」


ララが索敵魔法を再び使い、警戒しながら進む。

この日はルノー村までこの襲撃だけで何事もなかった。


「今日はここに一泊して、明日帰りますので、また明日よろしくお願いしますね」


「はい! また明日よろしくお願いします! 朝ご飯を食べて少ししたら出発でよろしいですか?」


「はい。そのくらいに出発しましょうかねぇ」


「わかりました。よろしくお願いします。」


ジェイクが商人との打ち合わせを終えるとリューの元へ合流する。


「ジェイク、ありがとな」


「いえいえ。お役に立てて嬉しいです!」


リューにお礼を言われて照れているジェイク。


「今日は、宿に泊まって明日に備えましょう!」


ジェイクは張り切って仕切る。


「そうすっか」


一行は宿を取って休むことにするのであった。



「今日は違うルートがいいのではないかと思うんですが」


ジェイクが提案する。


「昨日のルートだと帰りを狙われる可能性があるわね」


ララが賛同する。


次の日の朝出発の支度を整えながら話し合いをしていた。


「じゃあ、違う道を行くか」


リューが決断した為、ジェイクは商人にその事を伝えてくる。

商人が支度を終えてやってきた。


「昨日とは違うルートで行くんだよね?」


「はい。昨日の道は襲撃される可能性が高いので」


「わかりました。お願いします」


そういうと商人は馬車に乗り込み出発する。


「配置は昨日と同じで!」


ジェイクが指示を出す。


「また、私が索敵をするわ! サーチ!」


周りを警戒しながら進む一行。

何もない草原を移動する。


道のりも半ばまできて岩場のエリアを通らなければならない。

ここも岩が大きい為、見通しが悪いのだ。


「また、待ち伏せされているわ! 結構な数! 20はいるわね!」


すると


ゴロゴロゴロゴロ


音がしたかと思うと目の前に岩が転がってきて道を塞いだ。

するとゾロゾロとみすぼらしい格好をした男どもに馬車を囲まれる。


「はははは! お前たち! その馬車とそこの女を置いていけ! そうすれば見逃してやろう」


そう。現れたのは右目に傷のある盗賊であった。


「はぁ。当てが外れてしまいました。兄貴すみません……」


「しょうがねぇって。落ち込むなよジェイク」


構わず話をしているリュー達にイライラしたようである。


「お前達、立場をわきまえろ!? この数を見ろ! 敵うわけねぇだろう!?」


「1対1でやろうぜ? そしたら、他の奴らは見逃してもいいぜ?」


逆に提案するリュー。


「ガッハッハッハ! バカかこいつは! 自分の立場が分かってねぇ! 気が変わった! 皆殺しだ!」


「オオオォォォォ」


盗賊たちはリューを嘲笑い起こすために剣を振るってきた。


「はぁ。頭もオークと一緒じゃねぇか」


リューは呆れながら応戦することにする。


「ダインはジェイク守って戦えよ!」


「了解! 兄者!」


ダインに指示を出しながら、自分はララの元へと向かう。


「いい女じゃねぇか! こいつら殺したら楽しんでやる」


ニタニタしながら寄ってくる盗賊達。


「俺の女にてぇだすなよ」


ズドォォォン


盗賊が顔面を陥没させて吹き飛ぶ。

数人巻き込まれたようだ。


悠々と歩きながら首を鳴らす。


「やりやがったな!」


バゴォォォン


ハイキックで吹き飛ばす。

すると吹き飛ばしたところに魔法が放たれる。


「ファイアーストーム」


ゴォォォォォォ


「おいおい。死んじまうんじゃねぇか?」


「何言ってるの? 盗賊は捕まっても死罪よ? ここで死んでも一緒よ」


「そうなのか。恐ろしい世界だな」


自分のいた世界とは違う世界なのだと、改めて感じるリューなのであった。


ダインとジェイクの方も順調に倒しているようだ。


リューの側は盗賊がいなくなり、盗賊の頭を叩きに行くことにするようだ。


「あんだけノウガキたれておきながら、情けねぇな?」


「ぐぬぬぬ。うるせぇ! ぶっ殺す!!」


切りかかってくるが避けるとそのまま後ろへ行き、ララを人質にする。


「ハッハッハァ! この女がどうなってもいいのかぁ?」


剣を首に付きつけてニヤニヤしている。


「どこまでも腐ってやがるなぁ。おれぁトサカにきたぜぇ」


リューの頭にスジが浮かぶ。

身体の周りのオーラが赤からオレンジに変化する。


「手加減すんのはやめだぁ」


「な、なにする気だ! この女がどうなってもいいのか!?」


「お前はもう終わりだ【しゅん】【げき】」


ッッッドッパァァァァン


盗賊の頭はチリと消えた。


「リューくんありがと!」


「おう! ケガはねぇか?」


「首筋少し切れてるけど問題ないわ!」


「すまなかった」


頭を下げるリュー。


「俺が油断したからララを危ない目に合わせちまった。すまない」


「リューくん。あれは私が悪いのよ。私は守られるだけの女にはなりたくない。一緒に戦わせて」


「おう」


またリューにしなだれかかるララ。


「お前ら、行くぞぉ」


号令をかけるリューに続いて元の位置に戻る。


「君たち無事かね?」


「はい! 僕達は大丈夫です! 行きましょう!」


安定のジェイク対応である。


その後は何事もなくブラウズの街へと戻ってきたのだった。


ミラー商会の商人と一緒にギルドに向かう。


「おーっす! 報告に来たぜ!」


「お疲れ様です! 護衛依頼は無事に終わりましたか!?」


その問いには、ミラー商会の商人が答えてくれた。


「魔物に襲われ、盗賊にも襲われましたが、危なげなく撃退してくれて、私は安心して移動できました。報酬にイロを付けさせてもらいますよ」


「了解しました! 評価の方は最高ランクにさせて頂きますね!」


「はい。そうしてください。では、私はこれで失礼するよ」


「はい! ご報告ありがとうございます! ミラー会長!」


去っていくミラー会長を見送る一同。


「会長だったんですか!?」


狼狽えるジェイク。


「そうだろうと思ってたぜぇ。大丈夫だってジェイク。お前の対応は間違えちゃいねぇよ!」


「それならいいんですけど」


リューは励ますが納得いってないようだが、ダインも励ます。


「大丈夫だって兄弟! ワイ達じゃ無理だったし、ジェイクしかいなかったんだからよ!」


「はい……そうですね! いい事にします!」


「そうよぉ! 良いのよ!」


皆に励まされ、立ち直ったジェイク。


「では、報酬を渡しますね!」


「おう!」


リューが報酬を貰う。


「これで、ダインさんとリューさんはC級に昇級となりました! あと、遭遇した盗賊というのはこの中に居ますか?」


似顔絵のような物をだすエリー。


「あぁ、コイツじゃねぇかな? なぁ?」


ダインに話を振ると。


「そうだよ! 右目の傷! 間違いねぇ!」


「ちなみに、捕まえてたりは……」


「するわけねぇだろ!? 兄者がチリにしたぜ!」


ダインが凄んで言うと。


「ですよねぇ。その人、賞金が掛かってまして、別で報奨金が出ます!」


「おぉ。そりゃラッキーだな」


「報酬金の白金貨3枚になります!」


「結構出んだな?」


「かなりの悪党のようで……」


「その割には強くなかったよな?」


「そりゃ、兄者からしたら強くないだろうけどよぉ。ありゃ厄介だぜ!?」


ダインに言われ納得するリュー。


「まっ、貰っとくわ、今日はけぇるわ!」


ギルドを出ていく一行。


(なんか、リューさん、遠くの人になった気がするなぁ……グスン)


密かに寂しく思う、エリーなのであった。

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