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第12話 ヤンキー、護衛をする 前編

闘技大会が終わった翌日。


リューとララが同じ部屋から出てきた。

ララは心なしかツヤツヤしているように見える。


下の食堂に行くと、ダインが食事をしていた。


「おう! ダインも飯か!」


「兄者は、もう女を作ったのか!? 手が早えぇやい!」


「いや、昨日成り行きでな……」


ララをチラッと見ながら頬をかいている。


フフッと妖艶に笑うララ。


「兄者! 羨ましいぜぇ!」


すると、そこにジェイクがやってきた。


「おはようございます! 兄貴! 姉御!」


リューと、ララに挨拶するジェイクだが、ダインには知らん顔だ。


「おい! ワイにも挨拶せぇよ!」


「貴方は同じ舎弟ですから、立場は同じ! 挨拶する必要なし!」


「ワイはリューとは対等な弟分だ! だから、俺もお前の兄貴だ! 闘技大会の決勝を観たんだろう!? 実力に問題は無いはずだ!」


「負けたくせに態度がデカいですねぇ。この人は……」


「お前には負けてねぇだろうが!」


二人でいいやっていると、リューが割って入った。


「落ち着け二人とも。ダインは俺と同等の兄弟だ。ジェイクは俺達の弟だ。別に虐めるわけじゃねぇ。兄は弟を守るもんだ。家族なんだから喧嘩すんなよ」


「うぅ。わかりました」


ジェイクが反省したようにシュンとしていると、ダインも「すまねぇ」と言って朝飯を食べだした。


「ララ、俺たちも食べるぞ」


「えぇ、そうね」


「おっちゃん! 朝飯くれ!」


リューが大きい声で言うと。


「あいよ! 待ってな!」


しばらくすると朝飯が出てきて、皆で朝飯を食べ始めた。


「ダインよ、お前D級からC級には上がれるのか?」


「ワイは、護衛依頼さえ受けれれば昇級するぜ? それより、ジェイクは大丈夫なのか?」


「ジェイクはまだE級だけど、依頼は受けれるからうけりゃいいかなって思ってっけど?」


話しをジェイクへ振るリュー。

振られたジェイクは思考を巡らせながら話し始めた。


「そうですね。依頼を一緒に受けて護衛依頼をこなしておけばD級から上がるときに楽ですし、戦闘も前を受け持ってくれる人がいれば魔物は倒せると思うので、すぐに昇級できるかと思います」


「ほらな? 大丈夫そうだろ?」


再びダインを方を見て話を振る。


「いや、兄者何も考えてなかっただろう!?」


「俺は、考えるのはできねぇからジェイクに任せる。ついでに貴族とのやり取りとかは頼むぜ?」


「はい! 僕も貴族の端くれ! 礼儀は心得ています!」


「おう。弟が頼もしいぜ」


そんな会話をしながらワイワイ朝食を食べた一行は、ギルドに依頼を受けに行くことにした。



「おーっす、人数確保できたから護衛依頼受けに来たぜぇ」


リューはエリーの元へ護衛依頼を受けに来た。


「おはようございます。もう人を見つけたんですか!?」


リューを見ると腕に絡みついているララを発見し、後ろに付き従うジェイクも発見し、エリーの頭はパニックになりかけていた。


(この人B級で魔法至高主義のとっつきにくそうな人じゃなかった!? なんでリューさんの腕に絡みついてるわけ!? しかも健気に頑張っているジェイクくんまで餌食になって! 私が救わねば!)


「リューさん! ジェイクくんをどこで捕まえて来たんですか? 無理矢理手伝わせちゃダメですよ!?」


「エリーさん、違うんです! 僕が望んで兄貴に家族にしてもらったんです!」


ジェイクが後ろから慌てて口を挟む。


「そうなの? どういうなりいきで……」


「エリーよ、俺をどんな目で見てんだよ? チンピラに絡まれてたから助けたんだよ! そしたら、弟子にして欲しいっていうから、じゃあ舎弟になれよって話になったのよ」


「そうですか。疑ってしまってすみませんでした」


頭を下げるエリーにララが苦言をいう。


「事実関係を確認しないで憶測でものをいうのはダメよ? 私のリューくんがそんなショボいことするわけないじゃない?」


(えっ? 私のリューくん? そういう関係になったってこと!? なんでなのよ!?)


「そ、それは、すみませんでした。あのー、お二人はお付き合いしているんです……か?」


「そうなるな」

「そうよ?」


リューとララが肯定する。


「そうですか! 話がそれてしまいましたね! 護衛依頼ですが、ミラー商会から依頼が出ています。明日から歩いて半日程の所にあるルノー村まで往復の護衛となります」


「おう。じゃあ準備はジェイクに任せるかな」


「はい! お任せください! ダイン、荷物持ち頼むよ!」


「力仕事は、ワイに任せろ!」


ジェイクとダインは仲良く準備に取り掛かる。


「エリー、預けてた白金貨1枚下ろしてほしいんだが」


「はい! これです! どうぞ!」


白金貨を受け取るリュー。

エリーは何に使うんだろうと不思議な顔をしている。


「リュー? 私達はどうするぅ?」


「あぁ。準備は頼んだから街を散策でもするか?」


「いいわね。そうしましょう!」


ギルドを出ると散策に繰り出した。

ブラウズにはちょっとしたカフェのようなところもある。


「あそこのケーキおいしいのよねぇ」


「じゃあ、寄っていくか」


「いいのぉ?」


「おう」


席に着くとリューはエールを頼み、ララはお茶とケーキを頼む。

飲み食いしながら闘技大会の話題になる。


「ねぇ、リュー。闘技大会の時にファイアーストーム受けても無傷だったでしょ? あれってどうやってやったわけ?」


「あれは、俺の気合いを体の周りに固めて防いだんだ。俺は【ぼう】って名前にしてるけど」


「ふーん。なんかホントに気合いでなんでもできちゃってるのがすごいわぁ」


「俺は今までも気合いで生きて来た。これからもそうだ」


「そう。その恰好はどこの国の服なの?」


「これか? 日本ってとこなんだが、この世界にはないらしい」


リューよ。その服は確かに日本で作られたものだと思うが、標準的な服装ではなかろう。

リューには標準だから基準が違うだけかもしれないが。


「ニホン? 聞いたことないわねぇ。ん? この世界?」


「俺はイセカイジンとかいうものらしい」


「そういうこと。だから見たことない服着てるし強いのねぇ」


「それで納得するのかよ」


「異世界人は強かったって本に残ってるらしいのよねぇ。謎が解けたわぁ」


この世界には本に残されているが、異世界人が来たことがあるらしい。

そのおかげで元の地球の文化も少しあるのだそうだ。


話しているとあっという間に飲み食いが終わった。

リューが会計を済ませ、再び散策する。


「ジェイクは着てた防具?っていうのか皮のやつ」


「えぇ。そうね。魔法使いでも接近された時の為に身に付けたりするわね」


「魔法使いってララみてぇにローブ着るんだろ?」


「大抵はそうね」


「ララのローブはどこで買ったんだ?」


「あぁ。近くの店よ。案内する?」


「おう。頼む」


ララが案内してローブを売っている店に向かう。

到着すると早速中へ入り、物色する。


「うーん。いまいち服はわからねぇ」


「ジェイクに買っていくの?」


「あぁ。どれがいいか選んでくれねぇか?」


「えぇ。いいわよ」


ララがローブを見ながら選ぶ。


「ねぇ。リュー? 魔法で物理耐性、魔法耐性、自己修復、伸縮調整機能付いてるローブにする? 値は張るけど」


「ぶつりたい? なに?」


「フフッ。ごめんなさい。攻撃と魔法に強くてこの布が破れても自分で治るのと、自動で大きさ調整する機能が付いてるのがあるのよ」


「おぉ。それいいじゃねぇか!」


「でも、白金貨1枚よ?」


「ちょうどいいじゃねぇか」


そういうと白金貨を1枚出した。


「さすがね。惚れるわ!」


白金貨を受け取り、会計を済ませる。

袋に入れて貰い持ち帰り用にする。


「よし、これで恰好付くだろ」


「ジェイクのこと?」


「あぁ。俺達について歩くんだからよぉ。ビッとしたもん着ねぇとな」


「フフッ。流石ねぇ」


嬉しそうについて歩くララ。

リューと戦う前まで嫌っていた家族のような扱いであったが、今はそれがとても心地よく胸を温めるのであった。


帰路についた二人は、準備を終えたジェイクとダインと合流する。


「二人でどこ行ってたんだ? 兄者」


「お茶してたのよ」


笑顔でララが答えると。


「羨ましいぜ!」


悔しがるダイン。


「ジェイク。お前明日からこれ着ろ」


袋を渡し、受け取ったジェイクは訳がわからず、不思議な顔をしている。


「なんですか? これ?」


「まぁ、開けろって」


「はい。では」


袋を開けてみて、ジェイクは驚いた。


「なんですか!? ローブじゃないですか!?」


「これ着てビッと歩け! 後ろをコソコソ付いてくるような真似しなくていい!! 俺達は家族だぞ?」


「……はい! 有難う御座います! 一生大切にします!」


ジェイクは泣きじゃくりながらローブを抱えている。


「ジェイク、よかったな!」


「よかったわね! ジェイク!」


ダインと、ララがなだめている。

「嬉しいです」といいながら泣きじゃくる。


「男が泣くもんじゃねぇぞ!?」


「まぁ。いいじゃないのぉ。嬉しい涙なんだから」


ララがリューを諭す。


「明日に備えて今日は休むぞ」


明日から護衛依頼がある為、明日に備えて休むことにした。


ジェイクはこの日の事を忘れないであろう。

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