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28、風薫る

 不意に風が吹いた。


 さあと木々の葉が擦れ合い、揺れる。


 私の髪を舞わせて頬も撫でていく。


 初夏に近い季節の風は少しひんやりしているが。


 その分爽やかで心地よい。


 今の季節が一番過ごしやすいかな。


 私はコツコツとヒールの踵を鳴らしながら歩いた。


 今日はどうしようかな。


 そういえば、こういう季節に吹く風にちなんで風薫るという言葉があるようだ。


 それがふさわしいかも。


 ふとした思いつきだが。


 当たらずといえども遠からずかな。


 なかなかに良い言葉だ。


 そう思いながら空を見上げた。


 真っ青な綺麗な空だった。

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