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25、花筏(はないかだ)
桜の花がひらひらと舞い散る。
川の水面に一枚、また一枚と落ちた。
落ちるたびに水面に輪が広がる。
それをじっと見ていた。
こういうのを花筏というらしい。
凄く風流な呼び方だな。
髪にも花びらがくっついた。
何枚も。
たちまち、花びらだらけになった。
まあ、構いやしないが。
それでも仕方なく両手で頭から取り払う。
たくさん地面に落ちた。
まだ、取り切れないが。
仕方ないかと思った。
花びらに罪はないし。
桜波の中をまた歩き出す。
私は水面の花筏を再び見る。
一際綺麗だと見惚れたのだった。




