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24、花冷え
今日は空気がひんやりしていた。
いわゆる花冷えというやつだろうか。
桜の花が満開に咲いているのに。
風は冬のように冷たい。
ぶるると震え上がりながらアスファルトの道を歩く。
着ているジャケットの裾を掻き合せた。
寒いなと思いながら空を見上げる。
雲ひとつない真っ青な空だ。
綺麗だが。
私はちょっと恨めしく思う。
せめて暖かさがあったならな。
青い空は私を暖めてはくれないから。
さあ、早く家路を辿るか。
そう考えて足を速めた。
桜の花びらがひらひらと風によって舞い散った。
それを横目に急いだのだった。




