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23、春と猫
春の木漏れ日が差し込む中で雲雀が囀る。
縁側で三毛猫が気持ち良さそうに眠っていた。
私は雲雀の鳴き声を聞きながら縁側にそっと近寄った。
三毛猫が片眼を開けて耳をぴくぴくと動かす。
けれど興味を無くしたらしくすぐに片眼を閉じた。
私は三毛猫の喉におずおずと手を伸ばす。
もふもふした柔らかな手触りがなかなかだ。
優しく撫でてやると喉をごろごろ鳴らしながらうっとりと閉じていた眼を開けた。
しっぽがぱたぱたと揺れる。
春は猫の恋の季節でもあるけど。
三毛猫はどこ吹く風のようだ。
縁側に座って喉から背中を撫でる。
みゃあと三毛猫が鳴いた。
ぽかぽか陽気のせいか私も眠たくなってくる。
三毛猫の横にごろんと寝転がった。
瞼を閉じて昼寝をしたのだった。
もう一度、三毛猫がみゃあと鳴いた。




